【GW特集】暗号資産の投資商品相次ぐ―近くSECもETF承認可否を判断か

【GW特集】暗号資産の投資商品相次ぐ―近くSECもETF承認可否を判断か

  • モーニングスター
  • 更新日:2021/05/03
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ビットコイン(BTC)は、20年12月ごろから上昇ピッチを速め、4月13日に史上最高値を更新。価格は今年だけで2倍に膨らんだ。出来高も20年11月ごろと比較すると50%程度も増加している。また、イーサリアムをはじめとするアルトコイン(ビットコイン以外の暗号資産の総称)も同様に上値を切り上げている。ビットコインをコロナ禍で先進国による大規模な金融緩和や景気対策により、余った資金が投資に回るとの期待が高まるなか、米テスラが企業資産を分散するために暗号資産を購入したことをきっかけに暗号資産市場が活況となった。

■ビットコインETFの上場承認、欧州ではETN相次ぐ

暗号資産に対する投資家の関心は高まっているものの、暗号資産は保管に「ウォレット」を利用する。「ウォレット」には「ホット・ウォレット」と「コールド・ウォレット」があり、安全に管理していれば問題ないが、怠れば簡単に暗号資産を流出させる恐れがあり、取引には株や為替とやや異なる知識を要する。こうした煩わしさなく暗号資産を取引できるとして、暗号資産に連動した投資信託や投資証券などの投資商品が注目されている。なかでも、市場で取引が可能なETF(上場投資信託)やETN(上場投資証券)といったETP(上場投資商品)がいま、海外を中心に相次いで登場している。

特に注目されたのが、21年2月。カナダのパーパス・インベストメントがトロント証券取引所に世界初となるビットコインETF「パーパス・ビットコインETF」を上場。2カ月後の4月に資産が10億ドルを突破するなど人気となっている。トロント証券取引所では価格が下がったときに利益が得られる「インバース型」のビットコインETFも上場し、イーサリアムのETFも上場が承認されるなど、投資家の選択の幅が広がった。イーサリアムはNFT(非代替性トークン)やDeFi(分散型金融)のプラットフォームとして利用されるケースが多く、ビットコインとは違った側面で投資家の人気がある。

一方、欧州ではETNの販売が目立つ。最近では米国の資産運用会社ヴァンエックが、20年11月にビットコインのETNの販売をドイツの電子取引プラットフォームで開始しているが、18年ごろからビットコインのETNは登場し、すでにXRP(XRP)やライトコイン(LTC)などアルトコインのETNも販売されている。

ETNはETFと同様、リアルタイムで売買できる。ETFが商品や指数を裏付け資産として保有しているのに対し、ETNは裏付け資産を保有しておらず、発行会社の信用力で発行されている債券である。ETFと違ってETNの発行会社が破たんすると価値がなくなるリスクがあるが、外国人の投資規制が厳しい国の企業の株や、希少資源や農作物など保有が困難なものでも組成できるメリットがある。また、ETNは出来高にも影響しない。欧米ではETFに次ぐ金融商品として取引が活発だ。4月にはスイスでステラ(XLM)とカルダノ(ADA)のETPが上場している。

暗号資産をめぐっては、ETFやETNばかりではない。米国の金融大手も暗号資産に関連する業務を積極化している。1月にはブラックロックがビットコイン先物を投資可能にするファンドの目論見書を提出。ビザは銀行用ビットコインAPIの試験運用を開始している。マスターカードは年内に暗号資産を用いた決済に対応する方針を表明。BNYメロンは暗号資産の資産管理業務を開始する。

■バイデン米政権下でのSECの動きに注目

米国ではどうか。これまでビットコインETFはSEC(米証券取引委員会)に上場申請がなされてきたが、SECはすべて却下してきた。ただ、1月にバイデン米大統領に指名されてSECの委員長に就いたゲーリー・ゲンスラー氏はMIT(マサチューセッツ工科大学)でブロックチェーンを教えており、暗号資産分野に詳しいとされている。暗号資産を理解しているゲンスラー委員長のもとであれば、ビットコインETFが承認されるとの期待が高まっている。

一方、暗号資産運用会社のグレイスケール・インベストメンツは、ビットコインの投資信託「ビットコイン・トラスト(GBTC)」を、ETFに転換することになると発表している。グレイスケールはビットコインの投資信託では先行しているが、OTC市場で取引されており、“上場”投資信託(ETF)ではない。2月にビットコインETFが承認されてからビットコインの現物価格を下回る水準で取引されてきたが、グレイスケールのビットコイン投資信託はゲンスラー委員長の率いるSECに期待し、再申請しており、SECが承認すれば同社の投資信託にも追い風が吹くだろう。

4月23日にはニューヨーク証券取引所が、ヴァルキリーデジタルアセットが組成するビットコインETFの上場申請をSECに提出した。ただ、SECには10件近いビットコインETFの承認申請があり、申請が殺到している状態で、現在は3つを審査中という。SECは直近でも審査入りしていたヴァンエックのETFを承認するか否かの判断を先送りするなど積極的とは言い難い。SECがETFを承認するのは時間の問題との見方がある一方で、承認には時間がかかるとの声も根強い。5月中旬に明らかになるヴァンエックのビットコインETFに対するSECの判断は注目が集まる。

(イメージ写真提供:123RF)

宮川 子平

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