日本のサービスエリアはまるで夢の国...外国人が日本の高速道路を走ると大喜びするワケ

日本のサービスエリアはまるで夢の国...外国人が日本の高速道路を走ると大喜びするワケ

  • PRESIDENT Online
  • 更新日:2023/01/25

外国人が日本に来て驚くことは何か。イギリス在住で著述家の谷本真由美さんは「日本のサービスエリアは、超高級デパートをさらにグレードアップしたようなものだ。清潔なトイレ、多種多様の食事やお土産品がそろっており、ヨーロッパのサービスエリアとはまったく違う」という――。

※本稿は、谷本真由美『世界のニュースを日本人は何も知らない4』(ワニブックスPLUS新書)の一部を再編集したものです。

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写真=iStock.com/y-studio

外国人がビビるETCのすごい機能

外国人と日本国内を移動していて、たいへん驚かれるのが高速道路です。まず高速道路に乗る前の時点ですが、車が動き出すと「ETCが挿入されました」と車に装備されている機械が喋ります。

ETCカードのような物がある国がないわけではないのですが、読み取り用の機械からいちいち人間の声が出るのはすごくめずらしいです。日本だとそれがアニメの声優さんの声になっていて「タッチ」の南ちゃんの声だったりする。すると外国人はいったいこれは何を命令しているのかということで思いっきりビビってしまいます。

そして日本に滞在している間に外国人は「ETCが挿入されました」というフレーズを完璧に復唱できるようになる。車で移動すると何回も聞くことになるからです。そして高速道路に入ると驚くべきことに細かく料金が加算されていく。1回の料金は400円とか600円ですが、積み重なっていくと決して安い料金ではありません。

イギリスの高速道路は基本的に無料

もちろん他の先進国でもトールウェイといって有料の高速道路はあるのですが、しかしそれは国全体というわけではなく、ごく一部の地域でのことが多いです。また高速道路料金が有料である国でも、車がその国の高速道路を走る前に料金を一括で払ってしまってステッカーを車に貼ることで区間ごとの課金はありません、という場合もあります。

イギリスの場合はほとんどの高速道路は無料です。料金所がないし、ETCカードのようなものもありません。車がロンドンに入る場合はロンドン市内を通行する料金は払いますが、先にお金をネットで払っておけば監視カメラがナンバープレートを自動的に読み取って承認するのでETCカードのような仕組みが必要ないわけです。

ですからハイテクなはずの日本でなぜカードを差し入れして細かく料金を徴収されるのか、意味がわからないと言っている外国人は少なくありません。

特産物やお土産品の多さに呆然と立ち尽くす

さらに驚くのは高速道路のサービスエリアです。日本のサービスエリアはかなり地方のほうでも近代的で、飲食やサービス、物販にたいへんな力を入れています。

トイレは数が多く、どこも清潔で温水洗浄便座が当たり前のように設置されています。最近では高速道路のトイレには「現在、◯人が順番待ちしています」という表示が出るものまであります。外には自動販売機やその地域独自の屋台が出ていたりして建物の外もたいへん華やかです。

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写真=iStock.com/winhorse

中に入ればその地域の特産物やお土産品が、目が回るような種類・量で大量に陳列され、対面販売も実に盛んです。どの食品も趣向を凝らし、ありとあらゆる需要に応えるようになっています。家人も息子も日本のサービスエリアに来るとあまりにもたくさんのものが売っており、食べるものも種類が多いので、いったい何を買ったり食べたりすればいいかわからないと、呆然と立ち尽くしてしまいます。

そしてさらに圧倒されているのが日本人のパワーにです。車で長距離を移動しているにもかかわらず、どの人もかなり熱心に地域の特産物やお土産を大量に買う。さまざまな種類のラーメンから好みのものを選び出し、対面販売があればいろんなものを熱心に試食しています。消費意欲も旺盛で、とにかくいろいろなものを買っているのです。

イギリスでは廃墟状態のSAを仕方なく利用

このようなサービスエリアはヨーロッパの感覚からすると、ロンドンやパリにある超高級デパートをさらにグレードアップしたものがサービスエリアの中に一括で入ったようなものです。なにしろヨーロッパのサービスエリアはどこもたいへん酷いところが多く、日本で昭和40年代にあったもの以下のところが多いのです。

イタリアの場合は、食べ物は売っていても硬くて噛むのが厄介なパニーノぐらいだったりするし、チョロっとバール(軽食店)があるだけという場合もあります。

イギリスの場合はさらに悲惨で、ロンドンから北のほうに行く最も主要な高速道路に乗っても各サービスエリアの間隔はかなり長いです。空いていると思っていたサービスエリアに入ってみると、なんとほぼ廃墟状態のレストランにホコリだらけのカフェが一軒しかなくトイレの便器は割れており、入り口は太い鎖で鍵がかかっていたりします。

しかし休息するところがほかにないので仕方なく利用するのです。

常に強盗・暴行事件のリスクと隣り合わせ

ロンドン北部ではこうしたとんでもないサービスエリアが少なくありません。だからガソリンスタンドに併設されている売店で、なんとかマヨネーズだらけのすごくまずいサンドイッチを買い、同時にダイエットコーラも買って、それを車の中でひっそりと体の中に流し込む。もちろん売店内は照明が暗くどんよりしています。

こういうガソリンスタンドでは、車に給油をする際は相当気をつけなければダメです。周囲に人があまりおらず他の客はどんな人かわからないので、給油している間に強盗されるとか因縁をつけられて殴り合いになることがあるからです。

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写真=iStock.com/Iryna Melnyk

トイレも危険な場合があるので必ず同行者に外で監視してもらっておかなければダメです。とにかくさっさと給油し逃げるようにその場を去るのがグッドアンサーです。

運よくトラッカー向けの小屋を改造した食堂があるところだと、トーストにベイクドビーンズをぶっかけたもの、焼いたソーセージとベーコンと卵、マッシュポテト、紅茶、ベイクドポテトぐらいはあります。ただしベイクドビーンズは、カウンターの中の容器に入っていて表面が乾いているのでいつ缶詰を開けたのかよくわかりません。

そういう食堂には人生に迷っている人のために無料の聖書が置いてあります。そして食堂の前は舗装されておらず、雨が降ると靴がドロドロになるのです。だからイギリスで高速道路を使って移動するときは長靴が必須です。昭和30年代の北海道の田舎を想像するとよろしいでしょう。

娯楽はアーケードゲームとスロットマシンだけ

もうちょっと大きめのサービスエリアに入っても、食べるものはマクドナルドかその他のファストフードしかなく、どこの地域でも同じようなものです。床もトイレもドロドロで店員もやる気がまったくありません。

そして売店は品切れが続出で地域の特産品などは一切ない。だいたい特産品を買うような客はおらず、お金もなく、開発しようとする企業もないからです。もともと貧困な土地だらけなので特産品にするような食料もないのです。

お客さんを喜ばせるものといえば、日本の基準だと30年ぐらい前のボロボロのアーケードゲームに、ギラギラと光るスロットマシンで、そういうところにいる人はプリン頭で歯が抜けていたりします。

“修羅の国”からしたら日本のSAは夢の国のよう

イギリスのサービスエリアでは他のお客と目を合わせるのは危険です。それがきっかけでカツアゲや乱闘も発生するからです。とにかく不特定多数とはかかわらず、地味に目立たないようにするのがポイントです。とはいえ、ここで気を抜いてはいけません。

高速道路に車を停めているとトランクやドアをこじ開けられて物品を盗まれる可能性が非常に高いので、車内には誰かが残っていたほうが安全です。

どうしても車から離れなければならないときは、荷物はすべてトランクに置き貴重品は身につけておきましょう。そして車のハンドルには頑丈なハンドルロックをつけます。それでも安心できませんので、「Apple」の「AirTag」やGPSの追跡デバイスを車に仕込んでおきます。サービスエリアで車の盗難は、まったくめずらしくないのです。

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谷本真由美『世界のニュースを日本人は何も知らない4』(ワニブックスPLUS新書)

だからハンバーガーとポテトをコーラで流し込んで、燃料を補給したら即その場を離れるのがサービスエリアの正しい使い方です。

このような“修羅の国”状態のサービスエリアからすると、日本のサービスエリアはまるでディズニーランドが日常生活の中にあるようです。車の旅がそれだけでも楽しくなります。でも日本人はあまり休暇がとれないので出かけることができないです。

イギリスやヨーロッパ大陸の場合、休暇はたくさん取れるのですが、とにかくインフラやサービスがあまりにもヒドイ!

でも自力でなんとかする場合は楽しい休暇を過ごせますよ。

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谷本 真由美(たにもと・まゆみ)
著述家、元国連職員
1975年、神奈川県生まれ。シラキュース大学大学院にて国際関係論および情報管理学修士を取得。ITベンチャー、コンサルティングファーム、国連専門機関、外資系金融会社を経て、現在はロンドン在住。日本、イギリス、アメリカ、イタリアなど世界各国での就労経験がある。ツイッター上では、「May_Roma」(めいろま)として舌鋒鋭いツイートで好評を博する。
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谷本 真由美

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