ラグビー早慶戦は早稲田大が逆転勝利。「深夜まで行なったミーティング」がFW陣の心をひとつにした

ラグビー早慶戦は早稲田大が逆転勝利。「深夜まで行なったミーティング」がFW陣の心をひとつにした

  • Sportiva
  • 更新日:2022/11/25

10点差で迎えた後半、"アカクロ"のFW陣が吠えた──。

11月23日、東京・秩父宮ラグビー場で関東大学ラグビー対抗戦「早稲田大vs慶應義塾大」が行なわれた。今季はともに4勝1敗で迎えた伝統の「早慶戦」。今年は99回目の対戦でちょうど100周年にあたり、記念すべき一戦となった。

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早稲田FW陣を牽引する2年生HO佐藤健次

例年は快晴に恵まれることの多い早慶戦だが、今年は珍しく雨。それでも、秩父宮には1万人を超えるラグビーファンが集まった。

前半は、慶應大がSO(スタンドオフ)中楠一期(4年)を中心にキックと激しいタックルを仕掛け、プレッシャーを受けた早稲田大は0-10とリードされてしまう。

しかし後半、早稲田大FW陣が「ワンパック」ひとつの塊(かたまり)となって奮起する。モールを起点に2トライ、さらにスクラムから1トライを奪取。畳みかけるように得点を重ね、19-13で逆転勝利を収めた。

これにて「早慶戦」の直近の成績は、早稲田大が引き分けを挟んで11連勝。通算成績は早稲田大の72勝7分20敗となった。

0-10の劣勢で迎えたハーフタイム、早稲田大のコーチ、フィフティーンたちは下を向くことはなかった。ロッカールームで大田尾竜彦監督が「(接点で)もう1回、チャレンジャーとして戦え! 自分たちから仕掛けろ!」とハッパをかける。

すると、臙脂のジャージーは見事な修正力を見せた。接点の寄りは速くなり、キック合戦でも優勢に進めるようになる。

勢いに押されて慶應大がペナルティを重ねると、後半は早稲田大がほぼ相手陣でプレーするようになる。FW陣がモールで攻め込むと、慶應大はたまらず反則で止めてLO(ロック)アイザイア・マプスアがシンビン(10分間の一時的退場)に。数的有利となった後半9分と14分には、今季No.8(ナンバーエイト)からHO(フッカー)に転向した佐藤健次(2年)が2トライを挙げた。

帝京大戦の完敗で覚悟を決めた

この試合のマン・オブ・ザ・マッチに選ばれた佐藤は、トレードマークの大きな笑顔を見せながら後半の様子を振り返る。

「(試合前に)『いけると思ったら行きます!』と言って、そのとおりになりました。僕がトライしたらみんなが寄ってきてくれた。FW全体で取れたトライです。今日がワンパック、チームがひとつになれました!」

佐藤の"トイメン(向かい合わせ)"に位置する慶應大のHO中山大暉(2年)は、桐蔭学園時代の同期で「花園」全国高校ラグビー大会をともに連覇した仲だ。大学の公式戦では初対決となっただけに、「大暉は誰が見てもいい選手。負けたくない気持ちが出た」と振り返る。

11月6日、早稲田大は昨季の王者・帝京大に17-49で大敗を喫した。特にFW陣が完敗で、佐藤も世代トップを走る同ポジションのHO江良颯(4年)に後れを取ってしまった。憮然とした表情で試合後の会見に出席していたことを佐藤に聞くと、「負けず嫌いなので......すぐに顔に出ちゃう。悔しかったです!」と語っていた。

帝京大戦から数日後、今季の早稲田大を引っ張るキャプテンFL(フランカー)相良昌彦(4年)はFW陣を集めてミーティングを開いた。「FWが変われば、このチームは変わる。覚悟を決めて、本気で話し合った」(佐藤)。21時頃から意見を交わし合い、話が終わった頃は日付が変わっていた。

佐藤もミーティングで気持ちを伝えたという。

「(大学選手権の決勝まで)残り9週間。今が変われるチャンス。僕はラグビーに(時間を)全部かけるから、みんなもかけてほしい!」

このミーティングがなかったら『ワンパックのFW』になれていなかったと佐藤は語る。

もちろん、今季から加わったコーチ陣の影響も大きい。今季スポットからフルタイムになった元日本代表PR(プロップ)仲谷聖史コーチがスクラムを、6月にトヨタヴェルブリッツを引退した元U20日本代表FL佐藤穣司コーチがモールや接点を指導してきた。

国立で9年ぶりの早明戦

今季から「桜のジャージーを着るために」No.8からHOへと転向した佐藤。さらにフィジカルを強化するため、体重は100kgから一時期111kgまで増やした(現在は105kg)。プレー中のGPS数値を見ると、走る距離やスピードは昨季より上がっているという。

早慶戦で勝負の肝となったセットプレーを振り返ってもらうと、佐藤は「スクラムは40点、ラインアウトは50点」と決して納得した表情は見せなかった。「ラインアウトスローは、まだまだ自分のなかで成長できるところです。スクラムはもっと押せたと思います」。

一方、逆転勝利できたことで「いいFWになってきた」と、大きな手応えも感じている。次に狙う目標は、大学選手権で帝京大にリベンジを果たし、日本一を奪還することだ。

その前に、早稲田大にはもうひとつ大きな舞台は待っている。12月4日の対抗戦・最終戦で、東京・国立競技場で9シーズンぶりに明治大との「早明戦」を迎える。

「新国立は秩父宮ラグビー場と違う環境だと思うので、しっかり準備してやっていきたい」

HOに転向した2年生の佐藤を中心に、再びアカクロのFW陣がワンパックとなって、明治大の擁する"重戦車"に挑む。

斉藤健仁●取材・文・撮影 text & photo by Saito Kenji

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