坂本勇人にチーム全体が甘える巨人の現状 どうなる「後釜がいない」大問題

坂本勇人にチーム全体が甘える巨人の現状 どうなる「後釜がいない」大問題

  • NEWSポストセブン
  • 更新日:2022/06/23
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“頼れる主将”だが…(写真/共同通信社)

5月末から行なわれた交流戦で10位という結果に終わった巨人。浮き彫りになったのは、“頼れる主将”がいないと勝てないチームということだ。交流戦の結果について巨人の番記者がこう分析する。

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「大きく点差が開いて負ける試合が多かったことも問題ですが、一番は主将でショートの坂本勇人(33)がいないと投打ともに噛み合わないという点です。クリーンアップは繋がらないし、守備でもピンチに間を取るために、マウンドに歩み寄って投手に声を掛ける選手がいない。

ケガで欠場していた坂本の一軍復帰は交流戦後の見通しだったが、ヤクルトが好調だということと、巨人があまりに打てないことで合流の予定が早まった。坂本の後継者が育っていないことが露呈する形になりました」

事実、4月30日の阪神戦で坂本がケガをして離脱するまでの巨人は勝ち越していたが、離脱中は14勝18敗と落ちこんだ。「坂本頼り」を象徴した試合もあった。

40日ぶりに復帰した6月9日の西武戦では、坂本が三回に先制適時打を放つなど猛打賞の活躍。エース・菅野智之(32)が当日に発熱で先発登板を回避する緊急事態を主将が救い、3連敗から脱出する立役者となった。

球団OBで野球評論家の堀内恒夫氏は、翌10日のスポーツ報知の紙面で、〈あんたは天才! だから、もう休むんじゃねえよ! そんな声を坂本には掛けたくなったね〉

と絶賛した上で、

〈私の現役時代で言うなら(坂本は)ON。掛けてくれる言葉で何度癒やされたり、冷静さを取り戻したか。ONはそういうことを自然にできた。坂本はその域に近づきつつある〉

と、坂本が代えの利かないスーパースターであることを認めた。勢いづいた巨人は10日の楽天戦でも勝利を収めた。

チームに支柱がいることは心強い一方で、坂本依存のチームは大きなリスクをはらんでいる。V9の後半を支え、現役引退後は巨人の投手コーチも務めた野球評論家の関本四十四氏が語る。

「坂本は衰えて使えなくなるまで頼らざるを得ない選手であることは確かです。あれほどインコース打ちが上手いバッターはいないし打率も安定している。

しかし問題は守備範囲の広いショートというポジションが負担になってくること。その負担が大きくなる前に坂本の代替となる選手を見つけなければ、坂本と若手の切り替えが上手くいかず、3年間ぐらいショートが固定できない時代が来るかもしれない」

失われた競い合いの精神

坂本は高卒2年目の2008年にショートのレギュラーに定着して以来、ゴールデングラブ賞を5回受賞。2016年に首位打者、2019年にMVPを獲得するなど、巨人で不動の地位を築いている。

一方で、坂本の「後継者探し」は数年前からチームの懸案事項として浮かび上がっていた。別の巨人番記者はこう語る。

「坂本が30歳ぐらいの時から、球団は後継者を探し始めました。守備の負担が大きいポジションだし、故障のリスクもある。実際に近年は故障で戦線離脱するケースが増えており、今年は開幕直前、4月末と2回離脱しているし、腰痛という持病も抱えている。いつまでもショート兼主将という負担を背負わせるわけにもいかない。

昨年の開幕前に先発ローテーション左腕の田口麗斗(26)を放出してまで廣岡大志(25)を獲得したのは、ポスト坂本を育てたいとの思惑が球団にあったからです」

そのほかにも坂本の後釜と言われた選手は数多く、湯浅大(22)、若林晃弘(28)が期待されているが、これまで坂本ほどの目立った活躍はできていない。在京スポーツ紙デスクが分析する。

「廣岡は守備でイージーミスが多く、湯浅は打撃面で課題が残るなど、どの選手も実力面で坂本に劣りますが、それ以前に一番の問題は精神面です。いずれの選手も坂本を尊敬のまなざしで見ていて、“超えてやる”という気概がない。それは他のポジションの選手も同じです。

坂本が復帰した試合後に4番の岡本和真(25)は『坂本さんがいると僕らも凄く安心感がある』と話していましたが、本来はチームを引っ張っていく立場の選手。チーム全体が坂本に甘える精神状況になっているので、次期ショートも次期主将も生まれてこない」

そうした中で光明となっているのが、高卒2年目の中山礼都(20)だ。坂本が戦線離脱した期間にショートのスタメンで多く出場し、守備では俊足を生かした広い守備範囲でチームを再三救った。だが、まだまだ坂本の「正統な後継者」の地位は築けていない。

“坂本頼り”なのは、選手だけでなく球団側も同じだ。読売関係者が語る。

「坂本はファンの人気が高く、グッズの売り上げも図抜けています。実際、坂本を観たいが故に球場に足を運ぶファンは多い。正直、人気でも他の若手選手では全然太刀打ちできません。収益的な面でも坂本にはまだまだ第一線で頑張ってほしい」

何よりポスト坂本が生まれない大きな原因は、「巨人から『競い合いの精神』が失われていることだ」と球団OBの黒江透修氏は訴える。

かつて巨人で長嶋茂雄氏と三遊間を守り、V9に貢献した黒江氏は、広岡達朗氏からショートのポジションを手にした経験をもとにこう語る。

「僕は広岡さんには守備では敵わなかったので、打撃で抜こうと必死に練習しました。もちろん守備も広岡さんに追いつき、追い越すために、頭を下げて広岡さんに教わったりもした。荒川博コーチから“今のうちに広岡から守備を盗め”と言われて、広島から帰京する夜行寝台で一晩中、守備を教えてもらったこともありました。今の巨人の選手がそこまで努力して、何が何でもポジションを奪い取ろうとしているかと言われれば、そうではないでしょう」

かつて坂本も二岡智宏からショートのレギュラーを奪い取った。黒江氏が続ける。

「広岡さんは聞かなくても“こうやったほうがいい”とアドバイスをくれましたが、坂本だって後輩たちが頭を下げてくれば教えますよ。広岡さんが“オレの後釜は黒江”と認めてくれたように、坂本にもそう思わせる選手が生まれないといけないよね。今の選手たちを見ると、坂本に一日でも長くやってほしいと祈っているように感じます」

※週刊ポスト2022年7月1日号

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