注入すると脳を修復するメッシュワイヤが開発される

注入すると脳を修復するメッシュワイヤが開発される

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  • 更新日:2016/10/20
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リボンのような柔らかい素材のメッシュワイヤを脳に注入することで、ニューロン1つ1つの活動を観測し、さらには電気刺激を与えることで脳を修復するという新素材が開発されました。脳の一部が変性することを原因とするパーキンソン病や、統合失調症などの治療に役立てられると見られています。

Injectable Nanowires Monitor Mouse Brains for Months - IEEE Spectrum

http://spectrum.ieee.org/the-human-os/biomedical/devices/injectable-nanowires-monitor-mouse-brains-for-months

Injectable Wires for Fixing the Brain

https://www.technologyreview.com/s/602488/injectable-wires-for-fixing-the-brain/

パーキンソン病の治療の1つとして、現在は患者の脳深部に電気的刺激・磁気的刺激を送り込む脳深部刺激療法が行われています。脳深部刺激療法では脳に電極を埋め込むという方法が採られていますが、柔らかい脳に硬い電極を埋め込むということは、本来、望ましくありません。また、ニューロンを活性化させるためには電圧を上げ続けなければならないため、非常に危険でもあります。

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一方、ハーバード大学の化学者でありナノマテリアルのパイオニアでもあるCharles Lieber教授が率いるLieber Research Groupが開発したのは非常にソフトで柔軟な素材です。

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研究チームは金をポリマーで挟んだワイヤを使い、メッシュ状のリボンを作成。リボンは電極とは異なり非常に柔らかい素材なので、巻いた状態で針の中に入れ、脳に「埋め込む」のではなく「注入」することが可能になっています。

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この時、メッシュワイヤは電界効果トランジスタのような仕組みになっており、液体の中でカールする特性を持ちますが、いったん脳に注入されるとまっすぐに伸びてニューロンに接触します。

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水の中に入れるとゆらゆらとたゆたっています。

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実験では、メッシュワイヤをマウスの脳に入れたところ、ニューロン1つ1つを刺激し、脳細胞の活動を観測することに成功。研究では各ニューロンの個別の活動を記録することに成功したため、これまで脳内の活動は不明瞭な部分がありましたが、メッシュワイヤを使えば学習中の視覚野の様子といった細かな脳内マップが作れるようになると見られています。

メッシュワイヤを脳に注入したとき、メッシュワイヤのトランジスタは脳細胞よりも小さいために、注入された時に免疫反応を起こす心配もありません。また、現在使われているインプラントは時間がたつにつれて効果が小さくなっていきますが、マウスを対象とした実験において、メッシュワイヤは8カ月にわたって機能し続けることに成功しました。

もし初期段階のパーキンソン病患者に生じる脳の異変を見分けることができるようになれば、脳刺激を行うことで病気の進行を遅らせることも可能になるとして、Lieber教授はメッシュワイヤによる治療法が脳疾患の治療に役立てられることを望んでいます。また、そのほかに、メッシュワイヤが網膜から得た情報がどのようにニューロンと結びついているのかを明かにできる可能性もあるとのこと。

なお、研究はまだ動物実験の段階なので、今後は人間を対象としたさらなる実験を行う必要あります。また、現在メッシュワイヤは外界のコンピューターとコードで接続された状態ですが、最終的には電力供給やコントロールも体内に埋め込まれた機器によって行えるようにする予定とのことです。

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