有村架純もちょっと心配...NHK朝ドラ主演女優の「その後」

有村架純もちょっと心配...NHK朝ドラ主演女優の「その後」

  • 現代ビジネス
  • 更新日:2017/09/17
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知名度が一気に上がる朝ドラのヒロインは、若手女優にとって、「登竜門」であることは間違いないだろう。ただし、あくまでもキャリアのスタートにすぎず、本当の勝負は放送終了後から始まる――。

あの朝ドラ女優が語る

現在放送中のNHK朝ドラ『ひよっこ』でヒロインを演じる有村架純(24歳)。9月30日放送の最終回に向けて、同作はますます盛り上がりを見せているが、その一方で、有村の「その後」が話題となっている。

本誌先週号でも報じたとおり、『ひよっこ』の終了直後である10月7日から公開される映画『ナラタージュ』で、有村は激しい濡れ場シーンに挑戦しているのだ。朝ドラでおっとりした素朴な女性を演じた後になぜ?

元毎日放送プロデューサーで同志社女子大学教授の影山貴彦氏が語る。

「朝ドラのヒロインを演じると、その役のイメージからはなかなか脱却できないもの。そのため有村は思い切って次作の映画で濡れ場を演じるのでしょう。それは本人の自覚、器の大きさもありますし、所属事務所の上手さもあると思います。

ただ主演クラスの女優は、いつまでもどこかに清純さや清潔さを残していく必要もあり、そのバランスが物凄く難しい。その分、女優と事務所はやりがいがあるでしょうね」

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「朝ドラ主演女優」は、とてつもなく大きな肩書だ。ドラマ評論家の黒田昭彦氏は、その歴史をこう振り返る。

「『水色の時』('75年)で、当時高校生ながら抜擢された大竹しのぶ(60歳)は当時から大器といわれ、いまは押しも押されもしない大女優。

また、大竹しのぶと同じく紫綬褒章を受章している朝ドラ出身の大女優と言えば、『おしん』('83年)の田中裕子(62歳)ですね。

これに続くのは、『はね駒』('86年)の斉藤由貴(50歳)。斉藤は第一回東宝シンデレラオーディションで沢口靖子(52歳)に敗れたものの、沢口が主演した『澪つくし』('85年)の一年後に同じ朝ドラ主演を勝ち取り、女優としても追いついた」

民放のトレンディドラマで大ヒットを飛ばし、「視聴率の女王」と呼ばれた朝ドラ女優もいる。

「『純ちゃんの応援歌』('88年)の山口智子(52歳)と『ひまわり』('96年)の松嶋菜々子(43歳)。どちらも大ヒットというほどではなかった。それでも朝ドラを足がかりにして、それ以上のヒット作に恵まれました」(ドラマライター・田幸和歌子氏)

朝ドラが不評でも、そこから立ち直るのはやはり本人の努力だ。

「それをやりとげたのが、『君の名は』('91年)の鈴木京香(49歳)。今時すれ違いのメロドラマかと批判され、数字も振るわなかった。それでも、その後の鈴木は脚本家・三谷幸喜の作品でコメディエンヌとして開花し、『セカンドバージン』でも注目を集めた」(前出・黒田氏)

朝ドラの現場を経験することで、演技力など皆無だった新人も、女優としての「地力」がつく。

『和っこの金メダル』('89年)に主演した渡辺梓(48歳)が語る。

「私も仲代達矢さんの無名塾に入って間もない頃にオーディションを受け、女優としては初めての仕事が朝ドラ主演でした。

すぐに作品のテーマでもあるバレーボールの練習から始まり、そのまま約8ヵ月はほぼ完全に朝ドラの撮影とその関連イベントの仕事だけでした。

1週間のうち1日目はリハーサルで、3日間がスタジオ撮影、1日がロケという流れでしたね。それも早朝から深夜までかかり、(大阪放送局制作のため)大阪のホテルに泊まる生活です。土日も朝ドラ関係のイベント出演など、缶詰の日々でした」

この過酷な日々が新人女優を鍛えていく。

「朝ドラならではの撮影方法が、丁寧な稽古とリハーサルです。1日かけて朝から夜まで収録せず稽古だけに時間を費やします。

本番前にも稽古をする場合もありますね。さらにカメラを回して2回リハーサルをし、3回目に本番となります」(元NHK朝ドラスタッフ)

『純と愛』夏菜は気の毒だった

脚本家のジェームス三木氏が語る。

「朝ドラは『連続テレビ小説』とも言います。ナレーションが入ってストーリーを説明する。だから、役者の演技が下手でもドラマが成り立つんですよ(笑)。

私は『澪つくし』の脚本を担当しましたが、主演の沢口靖子さんは初めてテレビドラマに出演したので、彼女のセリフはできるだけ短めにしました。その分、彼女の表情をアップで撮影するなど、監督がカメラアングルの工夫をしていた。

あとは脇役の津川雅彦と草笛光子が彼女のセリフをカバーしてくれました。彼女はあれから大きく成長し、いまもドラマで主役を張っていますから、嬉しいかぎりです」

ヒロインを生かすために、周囲も悩み苦しむ。『あぐり』('97年)を執筆した脚本家の清水有生氏もこう明かす。

「『あぐり』の主演の田中美里さん(40歳)は、初めての芝居が朝ドラ。当然、当時はまだ演技が上手い女優さんではなかった。まして、泣くというシーンはまったくできなかった。だから、無理にできないことを演じさせても仕方がないと思ったので、底抜けに明るくて前向きなコとして書いたほうがいいな、と思いました。

ただし台本は先行して書いています。撮影の途中から、泣くというト書きをすべて台本から消した覚えがあります」

朝ドラにおいては、ヒロインの魅力を引き出すことが最優先なのだ。

「田中さんが疲労からか、途中で何度か身体の具合が悪くなって撮影を中止したのを覚えています。

撮影現場では田中さんがコホンと咳をしただけでも、ADが彼女のもとに飛んで行って『大丈夫ですか』と声をかけるくらい神経をつかっていました。これは朝ドラならではだと思います」(清水氏)

朝ドラでは、スタッフ全員、作品の成否を主演女優にかけているのだ。

そうして鍛えられた若手女優は土台ができている。たとえ朝ドラ自体の視聴率が低迷したとしても、それによって女優生命が絶たれることはない。

「視聴率低迷期の作品に主演した『ちりとてちん』('07年)の貫地谷しほり、『瞳』('08年)の榮倉奈々、『つばさ』('09年)の多部未華子、『ウェルかめ』('09年)の倉科カナは肩の力が抜けながら、地に足をつけて活躍していると思います」(黒田氏)

その一方、朝ドラで演じた役柄のイメージから抜け出せず、何年経っても代表作が朝ドラのままという女優は少なくない。

「たとえば、松下奈緒(32歳)は『ゲゲゲの女房』('10年)以上の役に出会っていないでしょう。NHKのヒロイン像からハミ出すくらいの存在感が垣間見える女優がやっぱり大器ですよね。

そういう意味では、松下奈緒や『どんど晴れ』('07年)の比嘉愛未(31歳)は、現在も活躍中ですが、ちょっと物足りない。やっぱり視聴者にとってまだ優等生です」(影山氏)

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『純と愛』('12年)に主演した夏菜(28歳)は今年6月、バラエティ番組で衝撃発言を連発した。

「(撮影時は)マジで毎日酒まみれ。飲まなきゃやってられなかった」

さらに昨年は10ヵ月も仕事を休んでいたと言い、こう続けた。

「(朝ドラで)完全燃焼してしまって……。楽しめないし、演じるのも怖い」

「民放のヒロインの話もあったんですけど、もう嫌になっちゃってとにかく全部断った」

いったいなぜこんなことになったのか。

「高視聴率を獲得した『梅ちゃん先生』の次に放送された『純と愛』は、自己主張の強いヒロインに次々と不幸が襲ってくる実験的な作品で、そのため視聴率は低迷しました。

しかも次に始まった『あまちゃん』は大ブームになった。人気作の狭間で、低視聴率を獲得したヒロインとして、夏菜さんが過剰に責任を感じてしまったのでしょうね……」(前出・スタッフ)

波瑠が明かした本心

吉高由里子(29歳)も朝ドラで「燃え尽き症候群」に陥った一人だろう。'14年8月に『花子とアン』の撮影終了後、約1年間の長期休養をとった。

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「吉高の場合はプロデューサーのオファーでキャスティングされたので、新人女優とはキャリアが違いますが、それでも朝ドラの撮影は過酷だったのでしょう。

彼女は会見で、『私は〈この仕事が最後になってもいいや〉という気持ちでやっていた』と明かしています。信頼するマネジャーが撮影後に退職したこともあって、リセットする期間が必要だったのでしょう」(スポーツ紙芸能担当記者)

1年後に復帰した吉高は、明らかに女優として考え方が変わった。

「復帰作は舞台でしたし、やりがいのある仕事をマイペースで厳選するようになっています。しかも交際中と言われる『関ジャニ∞』の大倉忠義とも堂々とデートするなど、私生活も充実させている。

事務所としてはもっと働いてほしいところですが、吉高にムリを言うことはもうなかなかできないでしょうね」(前出・記者)

『あさが来た』の波瑠(26歳)は自身のブログで、朝ドラの撮影をこう振り返り、周囲を驚かせた。

〈現場は、たくさんの人がいて成り立つものです。その中でささいな事の積み重ねで人を信用できなくなり、それを何度か経験しているうちに、誰にも何も話せなくなり、挙句に誰かと目を合わせるのも怖くなった時間すらありました〉

〈そのなかで感じた孤独や不安は、思い出すだけで今でも涙がでてきて、わたしのなかで卒業できていない感情です〉

波瑠が明かしたように主演のプレッシャーは尋常なものではないようだ。

天狗になる女優もいる

一方で、近年では脇役からブレイクする場合が多い。満島ひかりは『おひさま』、木村文乃は『梅ちゃん先生』、橋本愛と松岡茉優は『あまちゃん』、高畑充希は『ごちそうさん』――数え切れないほどの若手女優が脇役からチャンスを手にした。

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「主演に比べて脇役は拘束時間も短いですから、平行して次の仕事のブッキングや準備もできるんです。主演は、朝ドラ放送中は新規のCM主演はできないという制約もあります」(広告代理店社員)

また、なかには勘違いしてしまう主演女優もいるという。

前出の影山氏が語る。

「僕がプロデューサーをやっていたバラエティ番組の生放送の開始直前、部外者の女優Aがなんの断りもなしに突然スタジオに入ってきたことがありました。

Aは最終回を迎えたばかりの朝ドラのヒロインで、当時は人気絶頂でした。スタジオ内で彼女は親しい番組出演者と会話を始めました。

さすがに私は『ちょっと待て。何を考えているんだ!』と大声で叱ったんです。彼女はきっと、スタッフに叱られたこともなかったんでしょうね。ビックリした顔をしていました。

これは、本人が朝ドラのヒロインとして有頂天になってしまったケースでしょう。そうなってくると、やっぱりスタッフは使いたくないですよね。

おそらく、そういうところがほかでもあったんじゃないかなと思います。実るほど頭を垂れる稲穂という存在でないとダメだと思います」

確かにAは、今は鳴かず飛ばずの存在だ。

前出の女優・渡辺梓もこう振り返る。

「出演後にCMの仕事も4本ほど決まり、当時は、ザ・女優のように自分で意識していた感覚は若干あったかもしれません。

とはいえ、当時のマネジャーから『朝ドラが終わった直後は仕事が来るけれど、それを継続させられるかどうかはあなた次第』と言われたことはよく覚えています」

渡辺も朝ドラの呪縛を感じていたという。

「私はいつか『陰』のある役をやりたいと思っていました。そう思っている時に、火曜サスペンス劇場の暗い殺人者の役のオファーがきて、その出演をきっかけに、幸薄い役の仕事がよく来るようになったんです。

でも、知り合いのディレクターからは『元気で明るい役もやらないと』と言われました。『朝ドラのヒロインにそんな仕事はさせられない』など事務所が言ってくれることもあり、朝ドラのブランド力を感じることもありました。

当時の私は生身の自分が本当はどうしたいのかという葛藤や、事務所の方針とのギャップによく悩みましたし、そのバランスを取るのも難しかったと思います」(渡辺)

「リセットするために脱いだ」

清純派のイメージから脱却するため、ヌードになった女優も多い。『ほんまもん』('01年)の池脇千鶴(35歳)は映画『ジョゼと虎と魚たち』('03年)ではバストを露に、カラミのシーンを演じた。

「朝ドラ後にイメージがもっとも変わったのは、池脇さん。彼女は朝ドラからリセットする意味もあって、テレビドラマからはやや距離をおいた。映画や舞台に活躍の場を移して、実力派女優として成功しました」(前出・田幸和歌子氏)

他にも『すずらん』('99年)の遠野なぎこ(37歳)、『私の青空』('00年)の田畑智子(36歳)や『わかば』('04年)の原田夏希(33歳)、『風のハルカ』('05年)の村川絵梨(29歳)ら10人ほどが映画でヌードを厭わず演技を披露。今は個性派として再浮上している。

遠野なぎこが語る。

「ヌードのシーンのある映画『海は見ていた』('02年)に出演したのは、熊井啓監督に声をかけていただいたから。光栄なことなので迷いはなかったですね。

最近はバラエティ番組にもよく出させていただきますが、どの仕事でも『朝ドラ出身』という看板は大きい。ただただ過激な発言をしても注目されないですし、朝ドラがなければ今の自分がないのは間違いないです」

『ノンちゃんの夢』('88年)に主演した藤田朋子(52歳)も言う。

「朝ドラがテレビデビューの出発点だったことが一番大きいです。若いころしか挑戦できない仕事ですから。

プロデューサーさんからは『君がのびのびと演技ができるキャストを揃えたから』と言われたことも覚えています。スタッフさんや共演者の方みんなが私を守り立ててくれたのが分かったので、本当に幸せなことだったと思います」

朝ドラに主演したからといって、女優としての将来が保証されるわけではない。その後の人生は、やはり本人次第なのだ。

「週刊現代」2017年9月9日号より

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