洗濯時に発生するマイクロファイバーによる海洋汚染を防ぐ『コーラボール』

洗濯時に発生するマイクロファイバーによる海洋汚染を防ぐ『コーラボール』

  • @DIME
  • 更新日:2018/01/12

■連載/鈴木拓也のクラウドファンディング・ウォッチャー

最近になって、プラスチックの廃材、なかでも「マイクロプラスチック」とよばれる5mm以下の細片が海洋環境に悪影響を与えるものとして注目され、調査・研究が進められている。このマイクロプラスチックの影に隠れて話題にはあまり上らないが、同じくらい大きな問題になるうるのが、洗濯時に衣類から出る「マイクロファイバー」。これは、非常に細かい糸くずのことで、フリース(羊毛)の上着1枚を洗濯すると、25万本ものマイクロファイバーが出るという。洗濯するたびに生まれる膨大な数のマイクロファイバーは、そのまま排水されて、最終的には海に行きつく。その大部分は海洋汚染源となり、一部は魚介類の消化器系に入って、それを食べた人の体内に入る可能性もある…

マイクロファイバーの問題を、洗濯する時点で解決しようとして開発されたのが、今回紹介する『コーラボール』(Cora Ball)。プラスチック製の渦巻き状のパーツを、球形に重ねたもので、サンゴ(Coral)の形状をモチーフにしたものだという。色は数種類あるが、性能はみな同じである。

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色も様々な『コーラボール』

使い方はいたって簡単で、洗濯時に洗濯機に放り込むだけ。『コーラボール』の特殊な構造が、衣類から次々と出てくるマイクロファイバーをからめとってしまう。1個の『コーラボール』で、マイクロファイバーの約35%をキャッチできるので、開発元のロザリア・プロジェクトは、2~3個使うことを推奨している。

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1回の洗濯で『コーラボール』がキャッチしたマイクロファイバー

仮に米国の全世帯の1割が『コーラボール』を使用する場合、ペットボトルに換算して3千万本分が自然界に排出されるのを防ぐことができるという。海洋環境の悪化を防ぐ効果は、非常に大きいことがわかる。

『コーラボール』は、クラウドファンディング最大手のKickstarterにて製造費を募っており、1万ドルの目標額に対し、6千人近いサポーターから24万ドル近くを集めて大成功を収めている。資金をサポートすることで、単価20ドル以下で入手できるが、クラウドファンディング・キャンペーン終了後の一般小売展開については、詳細は明らかになっていない。おそらく最終的に集まった資金額に応じて、ホームセンターなどでの小売化の計画を立てるものと思われる。

<クラウドファインディング・ウォッチャー鈴木の目>
意表性     ★★★★★
リーズナブル性 ★★★☆☆
継続性     ★★☆☆☆

マイクロファイバーという、ほとんどの人が知らない環境問題に目を向けさせ、その簡単な解決策を提示した点で意表性が大きく、多くのサポーターの支持につながった点では、最高の評価点をあげたい。

一方で、価格については完璧にマイクロファイバーを食い止めるには3個必要で、計60ドルかかる点がネック。何年もの使用に耐えることを考えれば、及第点といえるものの、もう少し安くしたかった。そして、もっと大きな問題に思えるのは、手作業でコーラボールにからんでいるマイクロファイバーを取り除く必要があること。面倒に感じて、何回か使ってやめてしまう人が続出する気がする。10回の洗濯につき1回の除去作業でOKというふうに、面倒を軽減させる改善策が今後必要になるだろう。

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洗濯のたびに手でマイクロファイバーを取り除く必要性がネック

文/鈴木拓也
老舗翻訳会社の役員をスピンオフして、フリーライター兼ボードゲーム制作者に。英語圏のトレンドやプロダクトを紹介するのが得意。

※記事内のデータ等については取材時のものです。

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