バルサBの安部裕葵、来季への分かれ道。2部昇格最終プレーオフへ

バルサBの安部裕葵、来季への分かれ道。2部昇格最終プレーオフへ

  • Sportiva
  • 更新日:2021/05/03

今シーズン、バルセロナのセカンドチームであるバルセロナBは2部B(実質3部。ただし来季から下部リーグは大幅に再編成される)に在籍し、2部A昇格を目指して戦ってきた。コロナ禍による変則リーグ構成で、昇格戦は二度のプレーオフを戦う形に。第一次プレーオフに進出したバルサBは5月2日、イビサに2-1と際どい勝利を収め、1試合を残して最終プレーオフに勝ち進んでいる。

2019年夏に鹿島アントラーズからバルサBへ移籍し、2年目になるアタッカー・安部裕葵(22歳)は、昨年12月に右足ハムストリングを負傷し、長期離脱を余儀なくされていた。しかし今年4月、戦列に復帰。イビサ戦では3試合連続となる後半途中出場を果たしている。

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バルサBの昇格、そして安部のトップチーム昇格はあるのか――。

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ケガから復帰し、ここ3試合は途中出場している安部裕葵(バルセロナB)

バルサは、下部組織であるラ・マシアの発展とともに強くなってきた。

「マシアこそバルサ」

1990年代にドリームチームと言われるバルサを作ったヨハン・クライフがそう指針を定め、クラブの根幹を築いた。バルサがバルサらしくあるため、マシアの最終地であるバルサBはバロメータと言える。

近年、バルサが停滞するようになった理由は、そこが揺らいでいたからだろう。29歳になるセルジ・ロベルト以降、トップで定位置を確保するマシア出身者が出ていない。大金を叩いて各国の代表選手を買い集めるたび、バルサの色は薄れていった。

それがようやく昨今、DFロナウド・アラウホ(22歳)、オスカル・ミンゲサ(21歳)、MFイライシュ・モリバ(18歳)、FWアンス・ファティ(18歳)らが台頭しつつある。

中でもモリバは、マシアの"新たな系譜"と言えるかもしれない。エドガー・ダービッツ、ヤヤ・トゥーレ、ケイタ、パウリーニョなど、これまで外から補強していたパワー系MF。局面での対決に優れ、ゴール前に入れるだけに、バルサBでも主力として異彩を放ってきた。今年に入ってからは、トップでの存在感が増している。

彼らはバルサ新時代の旗手と言えるだろう。2部昇格をかけて戦っている現在のバルサBには、来季のトップ選手候補が他に4人いる。

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その筆頭は、アメリカ代表の19歳、FWコンラッド・デ・ラ・フエンテだろう。ドリブルはネイマールを想起させるが、カウンターから一発で沈めるなど、ストライカー的な要素が強い。トップデビューを果たす一方、バルサBのエースとして活躍。一次プレーオフ正念場のアルコジャーノ、イビサ戦で連続して得点を記録するなど、有力株として急上昇中だ。

19歳のMFニコ・ゴンサレスも、トップへの足掛かりを作りつつある。伝統の4-3-3システムで、アンカーとしてプレー。セルヒオ・ブスケッツの系譜で、スキルとビジョンを併せ持つ。現代ボランチに必要な高さ(身長188センチ)もあり、弱点がない。1990年代から2000年代にデポルティーボ・ラ・コルーニャで活躍した左利きMFフランの息子というサラブレッド。久保建英(ヘタフェ)とはチームメイトだった。

アレックス・コジャードは22歳の左利き万能アタッカーで、2018-19シーズンにすでにトップデビューしている。今シーズンはキャプテンとしてバルサBをけん引。ビジャレアルB戦で左足のFKを決めるなど、技術的には申し分なく、トップ昇格がない場合は他の1部クラブへの移籍が有力だ。

大穴が「ペケ」と呼ばれる18歳、ジェラール・フェルナンデスだろう。「右利きのメッシ」といった風情で、小さい体でペナルティエリアに突っ込む様子は迫力満点。ビジャレアルB戦では得点につながるFKとPKを奪い、イビサ戦でも決勝点をアシストした。

安部も、復帰直後にいきなり運命のプレーオフを戦うなど、非凡さは示している。左サイドが主戦場だが、ゼロトップや右サイドも担当できる攻撃のユーティリティ。スキルと戦術眼の高さは疑いようがない。

ただ、現状はトップフォームを取り戻すことが先決だろう。

復帰2試合目のアルコジャーノ戦は後半途中から出場し、ドリブル突破で相手のイエローカードを誘い、右サイドから決定的クロスも送った。ただ、パスのタイミングが合わず、ドリブルでボールを失い、ゴール前の競り合いでボール奪い切れずに相手にミドルを叩き込まれた。試合勘の不足を含め、本来の出来ではない。

直近イビサ戦でも、相手選手にフタをする守備を献身的に行ない、攻撃でも自陣からのドリブルでコンラッドに決定的スルーパスを送っていた。しかしラストプレーで、アウトのキックでゴール前に通そうとしたボールが相手GKに渡り、その逆襲でクロスバーを叩くシュートを打たれ、冷や汗をかくことになった。

安部はほぼシーズンを棒に振ったこともあり、来季は2部で戦うのが現実的だろう。バルサBで継続的にプレーできたら、間違いなく鍛えられる。トップ昇格の可能性も、その先に見えるはだ。

その点、2部昇格プレーオフは安部の命運をも握る。

5月15日に開幕する最終プレーオフは、エストレマドゥーラ州での集中開催。トーナメント戦で、同じように勝ち抜いてきた2チームを下すことが昇格条件だ。

小宮良之●文text by Komiya Yoshiyuki

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