「昔の同級生とホテルの一室へ...」更年期女性が見る“変な夢”の本当の意味

「昔の同級生とホテルの一室へ...」更年期女性が見る“変な夢”の本当の意味

  • 文春オンライン
  • 更新日:2021/04/06

世界で一番睡眠時間が少ない日本人女性。中でも、40代〜50代の日本人女性の睡眠は圧倒的に足りていない。そんな日本人女性に必要な「夢」にまつわる知識を取材した(前後編の前編/後編を読む)。

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世界一眠れていない日本人女性

日中イヤなことがあっても、一晩よく眠って翌朝スッキリできればいい。人は睡眠中に体と脳の疲れを修復し、再生させている。

しかし睡眠の質は、男女とも加齢にともなって低下し、寝つきが悪くなったり夜中に目が覚めたりしやすくなる。女性の場合、とくに更年期は女性ホルモンの減少により「不眠」が起こりやすく、代表的な更年期症状の一つとされている。

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そもそも、世界一睡眠が少ないことで知られるのが、40~50代の日本女性だ。

経済協力開発機構(OECD)が15~64歳を対象に行った調査(2018年)によれば、OECDに加盟する主要各国の平均睡眠時間が8時間25分であったのに対し、日本女性は7時間15分と圧倒的に短かった(図1)。さらに国民健康栄養調査(2017年)によれば、40~50代女性の約半分が6時間未満、約9割が7時間未満しか寝ていない(図2)。原因として考えられるのは、社会的役割として、家事、育児や介護の負担が圧倒的に女性にかかってしまうという構造だ。

そんな眠りが足りていない更年期世代の日本女性のために、今回紹介したいのが、眠りとは密接な関係にある「夢」との科学的な付き合い方だ。

睡眠中は「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」が交互に現れる。レム睡眠では全身の筋肉は弛緩している一方で、脳は覚醒状態に近い。ストーリー性のある夢を見るとされるのはこのときで、一晩に通常4〜5回現れる(図3)。特に朝方に安定して出現するため、朝方の浅い眠りの最中に目が覚めることで、みた夢を思い出しやすい。

だが、疲労や生活リズムの乱れがあると、その影響を受けて、レム睡眠の出現リズムが乱れる。これが悪夢や奇妙な夢、金縛りなどを導くのだという。

生理学的な立場から夢や睡眠中の情動を研究する小川景子さん(広島大学大学院人間社会科学研究科准教授)が解説する。

「睡眠中の脳波に表れる中途覚醒の回数は40代ぐらいまでは一晩10回以下ですが、50代になるといっきに増え、30回に近くなります。それだけ眠りの質が低下するのですから、熟眠感が減る人が出てきます。さらに更年期の症状で日中の体調が悪く、夜も寝心地が悪いような女性だと、それがレム睡眠のリズムの崩れにつながり、悪夢や奇妙な夢を引き起こすことがあります」

更年期女性の性的な夢、なぜ?

更年期の女性が「奇妙な夢」と感じるものとして、性的な夢が挙げられる。

《夫とケンカをした数日後、「学生時代の同級生とばったり会い、手をつないでホテルの一室に入る」という夢を見た》

この夢をどう捉えるかは、その人の状況によって違う。「目が覚めたとき気分爽快で、日常のイライラが解消されたと感じた」ならいいが、現実に夫とうまくいっていないこととの対比で「自分の中に、欲求不満や不倫願望があるのだろうか」と焦る人もいるかもしれない。

「なぜ、あの男なのか」と、いきなり夢に登場した同級生を不快に感じたり、あるいは「手をつかんでホテルに引きずり込まれ、逃げたいのに逃げられない」という展開もついてくれば悪夢になる。

「夢は確率論。記憶にある人や物は、何が出てきてもおかしくありません」というのは、前出の小川さんだ。

「レム睡眠は、体は寝ているのに脳の活動レベルが上がっている状態ですから、記憶の中からいろいろな断片を引っ張り出しては夢を作るという活動を行います。このとき特に気持ちがこもっている記憶、最近体験した記憶は、確率的に引き出されやすくなるといえます」

また、夢の発生メカニズムとして、最初に引き出された記憶に対して連想ゲームのように次の記憶が引きだされていくとも考えられている。たとえば、“りんご”から白雪姫→王子様と連想がすすみ、好きなイケメン俳優が出てくる人もいれば、りんご→赤→出血という展開になる人もいる。

「その人が頭の中でどのように知識を保存しているかにも関係するし、出てきた記憶をどう結びつけてストーリーを作っていくかには、その人の性格やものの考え方が反映されるともいえます。また、目覚めて夢を思い出すときにもその人の考え方が反映されるのです」(同前)

中高年世代の夢には、過去のできごとや昔の知人が登場

一方、臨床心理学の立場で悪夢や不眠症状軽減のための認知行動療法を研究する松田英子さん(東洋大学社会学部社会心理学科教授)は、「夢は脳が記憶の整理や定着を行う過程で生み出されるイメージ」と捉える。

「起きている間にうまく整理できなかった情報や感情を整理し、カテゴリー分けするのですが、このとき古い記憶の中から同じカテゴリーに類する情報がたまたま引き出され、『なぜこんな人が?』と思う人や物が夢に出ることがあります」(同前)

それは、単に処理したい情報と「名前の音韻が似ている」「同じ世代や年代」「学生という分類」「スーツ姿という分類」などにすぎなかったりする。または「認めてほしいのに認めてもらえない」など同じ感情のカテゴリーに入っていたために、まったく予期しない「昔の同級生」が出てきたとも考えられる。

「中高年世代は人生の終盤に近付き、さまざまな見直しが起きてくる時期でもあります。そこで、『この相手でよかったのか』『このままの人生でいいか』などの見直しとともに、自分の履歴をたどるようなかたちで、過去のできごとや昔の知人が夢に出てくる人も多いのです」(同前)

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「なぜ好きでもない人が性的な夢に」…心理師が教える”セルフ夢分析”術へ続く

(南雲 つぐみ/週刊文春WOMAN 2021年 春号)

南雲 つぐみ

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