錦鯉、なすなかにしだけじゃない...! エンタメ業界で「おじさん芸人」ブームが止まらない“納得の理由”

錦鯉、なすなかにしだけじゃない...! エンタメ業界で「おじさん芸人」ブームが止まらない“納得の理由”

  • 文春オンライン
  • 更新日:2022/05/14

芸歴が長くても、MCやご意見番のポジションにはおさまらず、若手芸人と同じようにネタ番組ではアグレッシブなショートネタを披露し、ひな壇に座り、いろんなロケにも顔を出す「おじさん芸人」。

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数年前からじわじわと注目されていたが、『M-1グランプリ 2021』で合計年齢93歳(当時)の錦鯉が優勝を飾って以降、おじさん芸人の勢いが加速している。

錦鯉・長谷川「ラストイヤーは56歳」発言

錦鯉の『M-1』優勝がお笑い界にもたらしたものは、「何歳になっても諦めなくて良い」とチャレンジし続ける気持ちと、年齢的なリミットの意識を崩したことである。

雑誌『Meets Regional No.405』(2022年/京阪神エルマガジン社)のなかで藤崎マーケット・トキは「芸人ってライバルも多いし、後輩が先に売れたら不安になることもある。5年目くらいまでガンガン行っていたけど、賞レースに全然引っかからないと10年目くらいで焦りだし、区切りがいいからとその辺りで辞める人も多い」と語っていた。

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史上最年長でM-1グランプリ優勝者となった長谷川雅紀 ©文藝春秋

だが、錦鯉の長谷川雅紀は優勝インタビュー時「諦めないでやってきて良かったです。僕はラストイヤーが56歳で、その前に今年で決められて良かったです」とコメント。この「ラストイヤーは56歳」というワードがクセモノでもあり、なかなか結果が出なくても「錦鯉ですらラストイヤーは56歳だったんだから、まだ大丈夫」と自分に言い聞かせる要素になり得るのだ。

また2019年3月13日放送『水曜日のダウンタウン』(TBS系)では、ダウンタウン世代のなかでもひときわ異彩を放っていたリットン調査団が、芸歴34年目(当時)でもアルバイトで生計を立てながら納得できるお笑いを追求する様子が映し出された。現在、藤原光博は59歳、水野透は61歳だがそのスタンスは変わらない。彼らのストイックな姿も、芸人にとっては「何歳になってもがんばってみよう」と励みになるかもしれない。

そうやって「芸人を続ける材料」が増えてきたことで、区切りを設けない、もしくは区切りを伸ばす芸人がこれからますます多くなり、その存在が目立つようになるのではないだろうか。

なすなかにしは若手から刺激を得て飛躍

おじさん芸人のタイプは、大きく分けるとふたつ。長い芸歴を生かして安定感たっぷりに物事を進行させるものと、良い大人なのに全力でバカをやって笑わせるもの(錦鯉の長谷川はまさにこのタイプ)。

前者で今もっとも脚光を浴びているおじさん芸人が、なすなかにしだろう。那須晃行は41歳、中西茂樹は44歳だ。特に定評があるのがロケの運び方のうまさ。2021年5月17日放送『笑神様は突然に…』(日本テレビ系)のロケバトルの回では、ロケの達人・宮川大輔が「なすなかにしは何かに対しての答えを持っているところがすごい。最強のコンビ」と絶賛。内村光良(ウッチャンナンチャン)も「(ロケの)教科書を見たような気がする」と舌を巻いたほど。

2001年結成の同コンビは、デビュー時期からベテランのような卓越したしゃべくりを披露し、実力派と称されていた。所属する松竹芸能では当時、ますだおかだ、オセロ、TKO、アメリカザリガニらが台頭していたが、なすなかにしにかかる期待はそれを上回っていた。しかし東京進出で躓き、さらに「いまぶーむ」への改名も悪循環に(ちなみに改名は、ますだおかだ・岡田圭右の助言だ)。やがて長いトンネルに入った。ただ2015年に始まった『こそこそチャップリン』(テレビ東京系)のネタコーナーへの出演で、全国区へ近づいた。

雑誌『日経エンタテインメント! お笑いspecial 2018』(2017年/日経BP)のインタビューで中西は「若手に目を向け過ぎやないかって思うときありますもん。もっと上にいいのいるぞって」と、このときからおじさん芸人としてのアピールをおこなっていた。一方、同書内で二人は「楽屋で後輩と話をするのが刺激的。勉強にもなる」と語っている。彼らはキャリアにおごることなく、常に若々しい感性を取り入れ、時代の動向を追いながら芸のスタイルを作っていった。その姿勢がようやく実を結んだのだ。『ラヴィット!』(TBS系)での彼らの活躍を観ていると、すべてが噛み合ったベテランコンビがいかに強いかよく分かる。

「乱暴もいけるし、上品もいける。ゲストも立てられる」

シソンヌの43歳・長谷川忍も、おじさん芸人として実に良い味わいを出している。『キングオブコント2014』で王者に輝くなどコンビとしての力は実証済み。長谷川に関しては、2022年1月から始まった『黄金の定食』(テレビ東京系[2022年4月4日で番組終了])でみせる「おじさんらしい食べっぷり」が実にすばらしい。背広を着て定食をかきこむ姿に親近感は増すばかり。「ご飯をおかずで汚したい」と白飯におかずをバウンドさせて食べることを夢想し、幸福そうな表情を浮かべるところも中年独特の愛らしさがある。

同番組を手がけるテレビプロデューサー、佐久間宣行はYouTubeチャンネル『NOBROCKTV』の1月12日配信回「芸能界天下取り将棋 ノブコブ吉村キングダムの布陣は?」で、博多大吉(博多華丸・大吉)、川島明(麒麟)で感じたセンサーが長谷川に対して発動したと言い、「乱暴もいけるし、上品もいける。ゲストも立てられる」と高評価。吉村崇(平成ノブシコブシ)は「3年くらい前まで上品はいけなかった」と、年齢を重ねて腕が上がったと語った。長谷川はすでに売れっ子ではあるが、おじさん芸人の話題では外せないところだろう。

ネタ番組でよく見かけるのは45歳・カンカンと46歳・前すすむのコンビ、TOKYO COOLだ。

おじさんらしいベタベタなノリは、『M-1』など賞レースを目指す若手や第七世代以降のニュージェネレーションとは色味がまったく違う。その昭和感が同世代のお笑いファンにはウケているそうで、トレンドに流されない分、息の長い活躍が見込めそうだ。

当分はテレビ番組などを賑わせそうな、おじさん芸人たち。昨今のお笑いブームもあって、中年期からお笑いに挑戦したり、養成所へ通ったりする者も増えているのではないだろうか。どんなおじさん芸人がこれから出てくるのか、楽しみである。

(田辺ユウキ)

田辺ユウキ

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