FM-8以来40周年を迎えた富士通、記念碑として世界最軽量ノートのキーボードを

FM-8以来40周年を迎えた富士通、記念碑として世界最軽量ノートのキーボードを

  • ASCII.jp
  • 更新日:2021/07/20
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FCCLの「Day 1000」の記者会見において、齋藤邦彰社長(当時)のプレゼンテーションで公開していたキーボード

富士通クライアントコンピューティング(FCCL)が、2021年7月15日午前11時に開始したモバイルキーボード「LIFEBOOK UH Keyboard」のクラウドファンディングが、わずか4時間を経たずに、目標支援総額の500万円を到達した。現在も支援総額は増加しており、7月20日午前9時過ぎには、3000万円を突破し、達成率は600%以上となっている。

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月20日午前9時過ぎには支援総額が3000万円を突破した

FCCL社内では、営業部門を中心に、「支援総額が1000万円に到達すれば上出来」といった声もあがっていたが、ふたを開ければ、予想を大幅に上回る結果となった。

同社にとっては、初めてのクラウドファンディングとなったが、FCCLの齋藤邦彰会長や大隈健史社長は、早い段階からこの取り組みを支援することを、社内に表明していたのに加えて、この製品の市場投入に強い意欲をみせていた開発部門が関連部門との調整に奔走。その踏ん張りが成果に表れた格好だ。2021年10月12日までクラウドファンディングを実施。出荷開始は2022年3月以降が予定されている。

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モバイルキーボード「LIFEBOOK UH Keyboard」は、世界最軽量ノートPC「FMV LIFEBOOK UH-X」で採用しているキーボードを単体製品として独立させて開発したものだ。

FCCLでは、富士通PCが誇る「匠」の技術を継承する技術者を「マイスター」と呼んでおり、今回の製品は、キーボードマイスターの藤川英之氏と、プロダクトデザイナーの星真人氏が監修。CCC(TSUTAYA)グループのワンモアが運営するクラウドファンディングサイト「GREEN FUNDING」で実施した。

40年の歴史を持つパソコンメーカーが開発したキーボード

富士通パソコンは、1981年5月に、第1号パソコンとして「FM-8」を発売。今年は40年目の節目を迎えている。

今回のモバイルキーボード「LIFEBOOK UH Keyboard」によるクラウドファンディングは、「FUJITSU PC 40th Anniversary」の第1弾として展開されたもので、今後、40周年モデルや40周年サービス、オンラインイベント、記念グッズの販売などが予定されている。

LIFEBOOK UH Keyboardは、世界最軽量を実現したUHシリーズの軽量化技術を採用。350gという圧倒的な軽さを実現。19mmピッチのフルサイズキーボードでありながら、幅約302mm、奥行き約161mmというコンパクトな筐体を実現している。iF DESIGN AWARDをはじめとする世界的なデザイン賞を受賞するなど、高い評価を得ているUHシリーズのデザイン性を継承。スタイリッシュなモバイルキーボードとして、あらゆるシーンで利用できるという。

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また、キーキャップ表面の印字には、「かな無し印字」を採用。バックライト対応により、暗所での作業にも適している。また、タッチパッドを装備しており、マウスを持ち歩くわずらわしさは不要。最大3台までのPC、タブレットに接続できるマルチペアリング技術を採用している。

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サポートパネル

同社では、「改良を重ねたパンタグラフ構造、高レスポンスのキーボード、2段階押下圧設定など、UHシリーズの開発で培った、快適にタイピングするためのノウハウを凝縮した。キートップの端を小指で押しても確実に入力しやすい。これらのFCCL独自技術をさらに進化させるとともに、キーボード内部に採用しているサポートパネルを極限まで最適化し、底づき感を軽減させ、打鍵感をさらに向上。押した感覚(クリック感)が、より明確に伝わるキースイッチ特性を持たせた」と自信をみせる。

Windows10搭載パソコンのほか、MacやiPadでの利用できるようにする予定だ。

会長肝いりのプロジェクト?

実は、今回のLIFEBOOK UH Keyboardは、2021年1月25日に行われたFCCLの「Day 1000」の記者会見において、齋藤邦彰社長(当時)のプレゼンテーションの映像のひとつとして、背景に映し出した経緯がある。そのときの説明では、この製品にはまったく触れなかったため、一部ではこのキーボード単体の存在が話題になっていた。

齋藤氏のプレゼンテーションで、このキーボードの画像が映し出されたことでもわかるように、齋藤氏自身が、この製品の投入にコミットしていたのは明らかだ。そして、2021年1月時点では、商品として、かなり仕上がっていたことがわかる。

だが、それから約半年を経過して、クラウドファンディングを開始し、さらに出荷時期が2022年3月以降ということを考えると、当初予定以上に、製品化に時間がかかったといえる。

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キーボード

実は、その間、社内では、侃々諤々の議論が行われていたようだ。

開発部門では製品の完成度には自信を持っており、当初は通常製品のひとつとして、量販店ルートを通じて販売することを目指し、Day 1000のタイミングをターゲットに開発を進めていた。

その一方で、キーボード単体のビジネスが成り立つのかどうかといった点を慎重に精査。その結果、クラウドファンディングという新たな手法を模索することにしたのだ。

だが、ここでも同社初のクラウドファンディングであることに対して、慎重な意見が続出。その調査や検討、意思決定にも時間を要した。コスト計算なども繰り返し行って、2万2000円という支援価格を算出したという。支援者には、最大30%(単品の場合)となる早期割引特典を用意した。

最終的には開発部門、営業部門を含めた全員の意思で、クラウドファンディングに踏み出すことを決定。それが今回のタイミングになったようだ。

FCCLにとっては、まさに前例がないことばかりの取り組みとなったが、それがわずか4時間での支援額の目標達成につながり、多くのユーザーからも製品に対する期待の声が数多くあがっている。

一方、クラウドファンディングの開始から4日間を経過した7月19日午前11時には、FCCLの齋藤邦彰会長が、LIFEBOOK UH Keyboardに関して、YouTubeで新たなメッセージを公開した。

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齋藤会長は、自ら製品を説明。

齋藤 「キーボードは軽くて、薄くなると、打ち心地やフィーリングが落ちる。一時は、それは仕方がないことだと思っていた。だが、心を入れ替えて、そうではなく、打ち心地も妥協しないことを目指した。キーボードは、入力デバイスとして最も重視されるものであり、ディスプレイやスピーカーなどとは異なり、こちらからアクションを起こして、それに対して感性が伝わってくる。そして、その感性は増幅されるものになる。楽器のようなものともいえるだろう」

「これは、世界最軽量のノートPCのキーボードを切り出したものであり、持ち運びだけでなく、フィーリングも妥協していない。これを、FCCLの最軽量ノートパソコンのなかに閉じておくのではなく、スマホやタブレットでも利用してもらえるようにした。ニューノーマル時代の働き方でテレワークでの利用が増えている。だが、ノートパソコンの内蔵カメラの位置を顔に合わせると、設置場所を高い位置にする必要があり、キーボードの位置も上にきてしまい使いにくいということも怒っている。そうした課題も解消できる。完成度が高い自信作である。このキーボードを満喫してほしい」

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なお、今回のクラウドファンディングは、カラー展開を含めたチャレンジとなっており、各色1000台を達成して製品化となる。Dark Silver、Garnet Red、Light Silverの3色を用意しており、Garnet Red、Light Silverを選択した場合、希望のカラー申し込みが1000台に達成しない場合は、Dark Silverに振り替えとなる。

支援者の実績を見ると、3色の内訳はほぼ均等だといい、Dark Silverが若干多いという。

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3色のカラーバリエーション

現時点では、Dark Silverでの発売が決定となっているが、今後、それぞれの色が1000台に到達するかどうかが注目される。

今回のキーボードは、FCCLにとって、起死回生に向けた重要な取り組みのひとつとなりそうだ。

27年ぶりの歴史的大敗

MM総研の調べによると、2020年度の国内パソコン市場において、富士通のシェアは10.9%に留まった。前年度の16.2%から5ポイント以上もシェアを落としている。

長年、20%前後のシェアを維持してきた富士通が10%のシェアとなったのは、1993年に10.1%を記録して以来、27年ぶりのことだ。当時は、その翌年には、FMV DESKPOWERシリーズを投入し、個人向けパソコン市場において販売を急増。19.4%にまでシェアを高めその後、トップシェアを争うまでに存在感を高めた。こうした歴史を振り返れば、2020年度の状況は、27年ぶりの「歴史的大敗」を喫したともいえる。

富士通のパソコンは、量販店などを通じた個人向けパソコンはFCCLが担当。法人向けや教育分野向けルートは富士通の法人営業部門が担当している。

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個人向けパソコンシェア

量販店市場においては、デスクトップパソコンでは4年連続トップシェアを維持。ノートパソコンでも、テレワーク需要を取り込んで、好調に推移しており、前年度よりもシェアを0.2ポイント高めている。FCCL自身は、過去最高益を叩き出すほどの好調ぶりだ。

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企業向けパソコンシェア

だが、法人ルートでは、GIGAスクール需要の波に乗れず、この分野を担当する富士通本体のユビキタスソリューションは、売上収益が前年比26.5%減と、事業規模を4分の3にまで減らした。法人市場におけるシェアは、2019年度16.8%から、2020年度は9.4%と大きく減少している。

2020年度は過去最高の出荷台数を記録した国内パソコン市場において、富士通の法人ルートは、その需要をキャッチできずに、それが「歴史的大敗」につながったといえる。

2021年度は、富士通パソコンにとって40周年目の節目。それを記念した第1号製品で、キーボード単体という新たなビジネスをスタートし、クラウドファンディングにも挑戦し、成果を収めたことは大きく評価できるだろう。

FM TOWNSをはじめとする新たなパソコンを投入してきた歴史や、世界最軽量ノートパソコンの座を維持しつづけているFCCLは、新たなことに果敢に挑戦してきた歴史がある。新たな挑戦はそれに通じるものがあり、これから発売される40年記念モデルへの期待感を高めることにもつながっている。挑戦する姿勢はこれからも維持してほしいと感じる。

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クラウドファンディングページ

大河原克行 編集●ASCII

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