
日本代表がシリアと対戦するジッダのアルファイサル・スタジアム
【ジッダ(サウジアラビア)21日=岡崎悠利】サッカー日本代表のW杯アジア2次予選のシリア戦は、試合当日まで国内テレビ局、サイトでの放送や生配信の予定はなかった。試合当日直前まで、試合を見たい人たちがSNSで情報を交換し、海外サイトを探し回る異例の事態となった。
当初シリア戦は午後8時(日本時間22日午前2時)開始予定だったが、2週間前に午後5時45分(同午後11時45分)に変更。中立地開催も1カ月前に発表されたばかりだった。日本協会の田嶋幸三会長は「時間が変わる、ベニュー(会場)も変わる、我々はついていけていない。それじゃあ、なかなか契約してくれるところはないだろうなと思います」と国内の放送局の思いを代弁。「見合う額になれば、どこかがやってくれることがあるかもしれませんが…」と、高額な放送権料もネックになっていることを示唆した。
これに対し、20日の前日会見では試合の放送権に関わっているというUAEの代理店「PRO」の最高経営責任者(CEO)であるユーセフ氏が報道陣の前に姿を見せた。「先週の時点で日本側からの条件を受け入れたが、2日前になって破談になった。理由はわからない」と、1度は条件面に合意したと説明。代理店の「儲け」につながる放送権料の高騰についても交渉の当初より3割から4割減額されたとし「そこは問題ではなかった」と、法外な金額を要求したわけではないと主張した。
来年3月26日には北朝鮮と、6月6日にはミャンマーとのアウェー戦が待つ。再び放送・配信の調整が難航する可能性はある。MF久保建英は「日常から注目してほしい。実力だけで注目してもらえる代表になりつつあると思うので。強い代表を次の試合も見せたい」と言う。選手の思いとは別に、今までのように気軽に、簡単に代表戦を楽しめるかは不確かなままだ。