窪塚洋介・窪塚愛流に親子インタビュー「父と息子の気持ちいい天然関係」

窪塚洋介・窪塚愛流に親子インタビュー「父と息子の気持ちいい天然関係」

  • OCEANS
  • 更新日:2023/03/19
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窪塚洋介と窪塚愛流、親子でありながらも友達のようでもあり、兄弟のようでもある。型にはまらないナチュラルな関係。

普通なら相手を傷つけかねない、感情純度100%で交わすむき出しの会話も、どこか漫才のよう。

初春の柔らかな日差しと暖かなそよ風がふたりの間を優しく包み込む。これこそ気持ちいいふたりの時間だと思う。

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窪塚洋介・窪塚愛流のナチュラルな親子関係

「初めまして、窪塚洋介と言います。よろしくお願いします」。

「あ、初めまして、窪塚愛流です」「あれ……、同じ名字ですね!」「そうですね(笑)」。

愛流がメイクをしている最中に、洋介が冗句交じりに挨拶をすると、愛流も戸惑いつつもそれに応じる。親子共演は今回が2回目だという。

インタビューの冒頭、撮影の感想について訊くと、まずは洋介がビールで唇を湿らせてから話す。

「広告の仕事で1度一緒に撮影をしたことはありますが、インタビューも含めてしかも表紙をやらせてもらうなんて初めて。新鮮さもありますけど……。ただまあ息子なんでね。気楽っちゃ気楽でしたよ」。

逆に愛流はどこかバツが悪そう。はにかみながら答えるその姿から初々しさが漂う。

「僕は少し恥ずかしかったです。幼いときは近い距離で接してもらっていましたが、思春期を越えての今だと、なんかちょっと変な感じでした(笑)」。

「おまえはまだまだやなぁ。俺的には今日はキスシーンまで想定してたから、逆にこんなもんでいいんだって思った(笑)」。

芸歴も含め、お父さんのほうが一枚も二枚もうわ手。

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今回のテーマは“気持ちいい”。「ちょっとまじめなことを言うと」と前置きをしつつ、ここでも洋介から語る。

「取り立てて言うこともないような日常というものが、実はいちばん気持ちいい。でもそのときには気付けないもので。だからその瞬間は実感がないけど、振り返ると『あの時間、すごく良かったなぁ』って感じています。それも含めて気持ちいい」。

「そんな素敵なこと言われたら何も言えないよ」と、愛流は少し困った表情を浮かべながら。

「当たり前のことで申し訳ないですが、こういう天気のいい日に木漏れ日の下を散歩したり、冬の冷たい風を肌で感じた瞬間はすごく気持ちがいいです。あと仕事や家のことなど、溜めていたことをやりきったあととかもすっきりします」。

これを聞いた洋介は「あ、おまえよく言えるよな、そんなこと」と言うと、現場にいたスタッフに「ちょっと聞いてくださいよ」といい、あるエピソードを披露した。

「俺がこいつの家に荷物を送っても受け取らないんですよ。だから、俺のところに荷物が戻ってくるわけです。俺が送った窪塚愛流宛の荷物が。それでイラッとして『なんで受け取らねーんだ! 』って言うじゃないですか。

そうすると『忙しくて……』とか言っちゃって。いくら忙しくても荷物くらい受け取れるじゃないですか。そんなやつの今の発言ですからね。溜まってたことをやったらすっきりするだと! 俺のほうがすっきりするわい(笑)」。

ここでもバツが悪そうに愛流は「それに関しては本当にすみません……(笑)」と平謝り。

親が子を叱る展開とはいえ、ふたりの間には温かくて柔らかい、何とも気持ちのいい風が吹いている。特に窪塚洋介という男は、俳優として世に出てからずっと、そんな風をまとっているように感じる。

「夜寝るときに、“今日は楽しかったな”とか“最高だったな”みたいな気持ちで寝られるように意識しています。“今日”という日は二度と戻ってこないから、だったら自分がいる場所で本当に楽しまないと。

サーファーの人がよく『二度と同じ波はこない』って言うじゃないですか。やっぱり日常に起こることって、職業や国籍、性別とか関係なくみんなに起こってる波だから、それを楽しくライドしていくというのは本当に大事なことだと思います」。

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日々の瞬間を楽しむ。そんな話を日常的に聞いて育ったという愛流が、洋介との思い出を語る。

「母と妹が寝たあと、父はお酒を飲んでいて、そのときに父は、学校の先生やほかの大人たちが教えてくれない、父が見てきたこと、父が感じたことをそのまま僕に教えてくれました。

それは父からしか教えてもらえないことで、すごく貴重なもの。ただそのときの父は酔っているから、最後のほうは何を話しているのかよくわからなかったですが(笑)」。

愛流は洋介が楽しげに働く姿に憧れ、今の仕事に興味を持ったという。

「気持ちを伝えたとき、父からは『舐めんなよ』って言われました。そのときは『ぜんぜん舐めてねえよ』って思っていましたが、父の言葉の重みが、作品を重ねるごとにわかってきたような気がします。大変なときにこそ『絶対にこの山を越えてやる! 』という思いでいます」。

これを聞き、洋介は先ほどまでの高めのテンションから打って変わり、我が子に優しいまなざしを向けながら、噛んで含めるように語り始めた。

「いいか、言っておくけどそれはおまえの山だからな。おまえが越えるべき山はおまえしか越えられない山だから。

お父さんが登っている山も、お父さんにしか登れない山だ。おまえが登っている山は、お父さんの山じゃない。だから誰もほかの誰にもなれない、つまり誰もが自分の道しかないんだぞ。それをはき違えて何者かになろうとするとめちゃくちゃミスるから。

もちろん俺より有名になって稼いでほしいって思うけど、もしそうなってもそれは決しておまえは俺の道を踏み越えたわけじゃない。おまえはおまえなりの道を行っただけだからな」。

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同業者になることに対し父親としてどう思うか訊くと「息子なので、まあいいんじゃんって感じです」とあっさりしたものだったが、これが娘となると話が変わってくるようで。

「俺にはこいつの母親とは違う、また別のお母さんから生まれた娘がいるんですけど、もし芸能界に入りたいって言ったらやめさせようかな。本人の意思を尊重しつつうまく誘導して、別の仕事に興味を持たせるかも。

あ、そうそうワンチャン、アラブの石油王の嫁とかにならないかなって思います(笑)」。

洋介は20〜30代は国民的俳優でありながら、周囲の視線を気にせずファッションや音楽などストリートカルチャーの海で気持ちよく泳いでいたが、40代になった今はそれに加え、腸活や農業などの魅力を自由に発信している。まったくシーンが異なるが、ちゃんと共通点がある。

「これもただ自分が楽しい、気持ち良くいたいと考えて行動した結果ですね。自分の心のコンパスが、そういうところにちゃんと自分を導いてくれるんです。

俺のコンパスは北とか南とかを向いているんじゃなくて、まず楽しいかどうかで反応するから、楽しくなさそうならやらない。胸のドキドキっていうのかな。『ワンピース』のルフィみたいなこと言っちゃっていますけど(笑)」。

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窪塚洋介●カーディガン43万8900円、Tシャツ6万6000円/ともにザ・ロウ(ザ・ロウ・ジャパン 03-4400-2656)、パンツ7700円/古着、その他すべて私物、窪塚愛流●シャツ28万3800円、リング(左中指)6万3800円/ともにメゾン マルジェラ(マルジェラ ジャパン 0120-934-779)、パンツ3万580円/古着、その他すべて私物

撮影中でも下ネタを話したり兄妹で母が違うなど、一般的な家族だとナイーブなものとして扱いそうなことも洋介と愛流の間では当たり前のこととして会話にあがる。“父がクボヅカ”という現実を、愛流は息子としてどう受け止めてきたのか。

「父親なんですけど父親って感じがしない」と言い、さらに続ける。

「例えば友達の父親の関係性と比べると、うちは親子の距離がすごく近いんです。それは父が僕目線に立ってくれているというか、いつまでも子供心を忘れないということが大きいのかもしれません。

父が僕の目線でナチュラルに物事を見て、考えてくれるからこそいい意味で父親っぽくないといいますか、友達とか兄弟みたいな。兄妹で母親が違うことやエグい下ネタも子供みたいに言ったりするので。

そんな中で育ったので、いつしか恥ずかしいと思うほうが逆に変だなと思うようになりましたね」。

当事者である洋介に、愛流を育てる際に目線を合わせることを意識していたのか訊くと、答えはNO。

「全然(笑)! ただ、例えば教育のひとつとして、横断歩道を渡るときに信号が青であるかどうかを教えるわけじゃないですか?

それと同じくらい大事なのは、この世界で生きているっていうことは“マジで楽しい”っていうこと。こいつが生きていくうえで“楽しい”ということを知ってもらうことは必要だと思っていました。だからそれだけはすごく意識していましたね」。

インタビューを終えた瞬間「あー、なんかいつもより疲れた(笑)」と言いながら、どこかほっとしている愛流。これに洋介が「こんなんで疲れたとか言ってたらおまえやばいよマジで」とつっこむ。

一連のやりとりを見たスタッフが「本当にふたりは友達みたいですね」というと、洋介が何かを思い出したように。

「高校の卒業式の日、旅立ちの記念に愛流と愛流と仲が良かった男友達ふたりに、俺の大好きなセクシー女優さんのDVDを贈ろうと思って、手書きのメッセージまで書いていたんだけど、こいつが『お父さん、それだけはほんまにやめて』って。

だからいまだにリビングのテレビの横に3つ置いてあるんですよ。おい愛流! あれどうすんねん(笑)!」。

窪塚洋介●1979年生まれ。神奈川県出身。'95年に俳優デビュー。18年ぶりとなる邦画長編映画単独主演作『Sin Clock(シンクロック)』が公開中。窪塚が演じるタクシー運転手の高木シンジが、ひょんなことから大金を得るチャンスが舞い込み、強奪する計画を立てるが意外な方向へと展開する……、という目が離せない作品。窪塚愛流●2003年生まれ。神奈川県出身。'18年に映画『泣き虫しょったんの奇跡』でスクリーンデビューを果たした。'21年から本格的に俳優活動を開始し、みずみずしくも躍動的な存在感を放ち着実に出演作品を重ねている。現在公開中の映画『少女は卒業しない』では佐藤駿役で出演中。

OCEANS編集部

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