3年生座談会 県立三本松高等学校(香川)「甲子園優勝へあと3つ」までの記録帳【前編】

3年生座談会 県立三本松高等学校(香川)「甲子園優勝へあと3つ」までの記録帳【前編】

  • 高校野球ドットコム
  • 更新日:2017/10/13

2017夏の甲子園、四国勢で最高成績となるベスト8入りを果たした香川県立三本松高等学校。夏3回目、通算4回目の聖地で下関国際(山口)相手に初勝利をあげると(試合記事)、二松学舍大附(東東京)にも快勝(試合記事)。準々決勝・東海大菅生(西東京)戦(試合記事)で力尽きたものの、彼らの外連味なき戦いは四国のみならず全国公立校に勇気を与えた。

ただ、彼ら自身の最終目標は「あと3勝=甲子園制覇」だったことは意外にも知られていない。では、三本松はいかにして甲子園制覇を目指したのか?その記録帳を3年生選手5人、女子マネージャー1人の対談で再現していきたい。

<メンバー>
渡辺 裕貴(わたなべ・ゆうき)前主将・捕手・168センチ70キロ・右投右打・東かがわリトルシニア出身
川﨑 愛弥(かわさき・まなや)前副主将・右翼手・180センチ81キロ・右投左打・東かがわ市立引田中出身
佐藤 圭悟(さとう・けいご)投手・右投左打・174センチ68キロ・東かがわリトルシニア出身
黒田 一成(くろだ・いっせい)遊撃手・173センチ66キロ・右投右打・東かがわ市立白鳥中出身
盛田 海心(もりた・かいしん)一塁手・182センチ67キロ・右投左打・さぬき市立長尾中出身
川田 奈菜(かわだ・なな)マネージャー・東かがわ市立引田中出身

「甲子園優勝」目指すため、冬の劇的改善へ

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渡邉 裕貴(三本松)

――まずは昨年、新チームが立ち上がった時の目標を教えてください。

渡邉 裕貴(以下、渡邉):最終目標は「甲子園優勝」。その下に中期目標・月間目標を決めていきました。

佐藤 圭悟(以下、佐藤):そのため、僕たちの秋の目標はまず「香川県大会優勝・四国大会出場」。その上で四国大会に優勝して明治神宮大会に出場することを目指しました。

――そこに対する練習試合などのテーマ付けはしていたのですか?

川﨑 愛弥(以下、川﨑):実はそれがなかったんです。「四国大会優勝」、そこに向かって練習をこなしていきました。秋に敗戦して内容が変わってきた感じです。

――その秋の県大会では準々決勝・英明戦で8回裏に5失点。9回表に2点返すも届かずの3対6。ここで得た収穫や課題が冬以降につながったと思います。

渡邉:僕らは新チーム結成時から打ち勝つチームを目指してきましたが、そこまでも手数が少なく、英明戦では相手投手のいいボールに手が出せずに負けてしまいました。試合翌日のミーティングでも「打席で自分のスイングができていない」という意見が出てきたので、冬の練習では一日500スイングなど、もう1つ打撃に特化したメニューに取り組んでいきました。

佐藤:英明戦での5失点はバッテリーの力のなさが出たものだったと思います。ですので、その後は渡邉とも相手打者の特徴など話を密にするようにはなりました。

盛田 海心(以下、盛田):僕は秋はベンチで試合を見ていましたが、打撃で勝っていくチームを掲げていたにもかかわらず、バットが振れず。後ろに控える選手の層も厚くはありませんでした。

川﨑:守備面では下級生時代は上級生からの指示の声に従っているだけでした。でも、英明戦を終えてみて「やはり守っている選手が相手の状況を見て、守備位置を変えていかないと抑えられる部分も抑えられなくなる」という意見が出て、練習から声を掛け合うようにしていきました。

黒田 一成(以下、黒田):僕も下級生時代は三塁手の先輩に言われて守備位置を変えていただけでした。そこは改善しないといけないと思いました。

――となると、中期目標が「春の県大会優勝」に変わった冬練習の質も……。

渡邉:今まではノックでミスが出ても流しがちでした。でも、冬練習からはノックでミスが出ると、1回ノックを止めてかかわった選手間で「もっとカットマンの距離が近い方がいい」とかいう具体的な話が出るようになったんです。

佐藤:日下先生からも冬を前に「お前らはまだ甲子園でプレーできていることが想像できているかどうか疑問や」という話を頂いて、ブルペンやフィールディングでも自分でも想像を働かすようにはできました。チームでも1球をより大切にする意識が出て、「1球で負けるぞ、もっと集中していけ」という声も多く出るようになりました。

渡邉:選手間で意見を取りまとめたりして、選手だけで練習メニューを組むようなこともありました。そこで話し合いをすることで、チームも1つになったし、自発的に意見がでうようになったと思います。

――実は、その時期に女子マネージャーの川田さんも主体的に動いていたようですね。

川田 那菜(以下、川田):ちょうどいいタイミングでホワイトボードの余りも出ましたこともあって、(日下 広太)監督さんと相談して、デイリーで選手全員が書く「目標ボード」を作りました。

それと「高校野球ドットコム」とかを調べてみると、やはり体重が走塁や打撃に影響することが解ったので、平日は1週間に1回、休み期間中は毎日体重を計って意識付けをすることと、プロテイン摂取も以前は練習後にしていたものを、運動後30分以内のゴールデンタイムに水を入れる成分とかも考えて摂取するようにしました。

――実際に体重は増えたのですか?

渡邉:以前はウエイトトレーニングも終わったらそのままだったのが、マネージャーが言った通りのことをしていくことで、身体も大きくなりました。そこから身体を使いこなしていくことを覚えていきました。体重も冬で5キロ増えました。

川﨑:僕も5キロ増です。同級生同士の「負けん気」を持っていたことがチーム力アップにつながっていったと思います。

県優勝、早稲田実撃破、苦しみながらも夏の頂点へ

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川﨑 愛弥(三本松)

――そして迎えた春は決勝で英明を破って3年ぶり5度目の県大会優勝、四国大会ベスト4。6月の県高野連招待試合では清宮 幸太郎(3年)がいる早稲田実業を2対0で完封し、状態を崩さず大きくその名をアピールしました。

渡邉:春に県を優勝した後には、日下先生からも「数年前の先輩も春に優勝したが、夏に負けてしまった。それは優勝するまでは目標としていたものが、優勝した瞬間に目標とされる側に変わる。そこで選手がプレッシャーを感じたり、安心感を持ってしまう」という話もあったので、「そこはなくしていこう」という話はしていました。

招待試合ではインコースを見せ球にすることと、球種を試すことをテーマにしていましたが、ここで完封できたのは自信になりましたし、後に夏の甲子園3回戦・二松学舎大附戦でこの配球が非常に参考になりました。

川﨑:春季四国大会準決勝で松山聖陵に負けた後も「僕たちの目標は全国制覇。なのに四国で負けているのだから、もっと意識を高めていこう」という話し合いました。

盛田:僕は四国大会から4番で試合に復帰しましたが、チャンスで打線に入ることが多かった。打力が上がったことを感じました。

黒田:自分は打撃でストレート対応の弱さを感じたので、春の香川大会が終わった後に上からバットを出す意識を持って、状態を上げていきました。

佐藤:招待試合は楽しみな試合だった一方で完封したい願いは持っていました、実際に試合が始まってみると、自分の持っている球種で打ち取れたので、「全国でも通用するのかな」と思えるようになりました。

川田:招待試合では「甲子園の予行演習」として考えていた中、ベンチの雰囲気もよかったです。

――とはいえ、第1シードで臨んだ香川大会では苦しい試合が続きました。

佐藤:香川大会ではストレートが浮いたり、決めに行く変化球が決められなかった。大漁失点も多かったし、勝つことは勝ったんですが、自分では喜べなかったです。

川﨑:ただ、僕らは春の結果から佐藤が簡単に抑えられないことは分かっていたし、夏の香川大会は冬から取り組んできた打撃や守備位置の練習を発揮する場所だと思っていました。

で、予想通り佐藤が打たれて(一同:笑)楽な展開ではなかったですが、冬の練習で最後まで粘っていたことが成果としてできたと思います。落ち着いて攻め切ることができたことが大手前高松戦の逆転や、同点とされた高松商戦での勝ち越しにつながったと思います。

盛田:佐藤が打たれた時は打線が打たないと勝てない。そこは甲子園を見据えた上でも実践できました。

黒田:秋に負けてからずっとスイングし続けてきたことが香川大会での好成績につながったと思います。

佐藤:助けられました。試合の間はずっと「ありがとう」と思っていました。

川田:これまでは三本松といえば「エース佐藤」というイメージがあったと思いますが、守備や打撃の冬から取り組んできた成果を、多くの方に知って頂ける機会になったと思いますし、決勝戦でも佐藤くんが本来の形で投げられて最高の形で優勝できたと思います。

後編では甲子園での3試合、そしてこれからの意気込みについて語っていただきます。

(構成/寺下 友徳

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