「なんか安っぽいよ」と男から言われた女。複数の男と楽しむ、26歳の美女に訪れた悲劇

「なんか安っぽいよ」と男から言われた女。複数の男と楽しむ、26歳の美女に訪れた悲劇

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  • 更新日:2020/10/23

2020年。今までの「当たり前」が、そうではなくなった。前触れもなく訪れた、これまでとは違う新しい生活様式。

仕事する場所が自宅になったり、パートナーとの関係が変わったり…。変わったものは、人それぞれだろう。

そして世の中が変化した結果―。現在東京には、時間が余って暇になってしまった女…通称“ヒマジョ”たちが溢れているという。

さて、今週登場するのはどんなヒマジョ…?

▶前回:子どもが産まれたばかりで、どうして他の女と…?許せない夫の行為に、妻がやった事とは

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ー2019年9月

「文香、聞いてよぉ〜彼氏からもう1週間も連絡がないの。もう飽きられちゃったのかな...」

『EVOLTA』のテラス席で、パスタを食べながら嘆いているのは、親友のひかりだ。

付き合って3ヶ月になる商社マンの彼氏の悩みを、私は彼女から頻繁に聞いているのだが、毎回内容は似ている。

連絡が遅いだの、会いたい頻度が合わないだの、そういう悩みだ。

私とひかりは同い年で、26歳。お互いに昔は、それなりに有名なブロガーだった。

私は今もインスタグラマーとして案件をこなしているが、本業は会社員。渋谷区にあるPR会社に勤めている。

特定の彼氏はずっといない。…というか、必要だと思わない。

さっきから延々と愚痴をこぼし続けるひかりを見て、私は小さく微笑んだ。

「なんか、いいね」

「え?文香ってば、何がいいの〜。最悪だよ。ストレスで夜もなかなか寝つけないしさ」

「いやいや、そのくらい悩む恋をしてるのが羨ましいなって。恋愛はそうやって時々"病む"のが醍醐味でしょ」

そう言ったものの、全然羨ましくなんかなかった。だって、精神がすり減り、睡眠障害になる恋愛に何の意味があるのだろう。

私は、嘘の笑顔を浮かべたままグラスに残ったシャンパンを飲み干し、スマホを手に取った。

Fumika♡:仁さん何してる?

お気に入りの美容師・仁に素早くLINEする。ひかりの話に耳は傾けているが、頭の中は彼のことでいっぱいだ。

Jin:撮影おわったとこ。会えるの?

Fumika♡:うん!場所教えて。

ーほらね。すぐ返事がきた。

会いたい時に好きな男とすぐ会える私は、ひかりとは違う世界にいるのだ。

特定の彼を作らず、様々な男と楽しむ文香。ところが状況は急変し…。

「私は、しばらく彼氏はいらないや。ひかりの話でお腹いっぱいだし」

「そんなこと言って、遊んでいられるのもあと何年かだよ?文香も結婚願望あるでしょ?」

「んー。それもないんだよね」

ひかりは消化不良な顔をしている。きっと共感して欲しかったのだろう。

「ごめん、そろそろ私出るね」

私は会計を済ませ、仁に指定された場所へタクシーで向かう。

いつドラマのような展開が待っているかわからない刺激的な日々は、特定の彼氏がいるひかりには、味わえない。

「早かったね」

ホテルのドアを開けると、仁は私の腕を強く引いて部屋に招き入れる。そして満足気な表情で、私を優しく抱き寄せた。

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長身で中性的な顔。悪そうな雰囲気の中に見え隠れする甘ったるい色気が最高にソソる。

この人はおそらく、私に対して性的魅力しか感じていない。でも、それでよかった。

女として求められることが、私の心を唯一満たしていくのだ。

「俺に彼女いるの知ってるのに、ほんと悪い女だよな」

「悪い女か...いい響き」

彼女がいる男に抱かれるのは、どうしてこんなに気分がいいのだろう。仁の首に腕を巻き付けながら、ふっと笑みが溢れた。

浮気される女も、自分の女を大事にできない男もバカだ。

だとしたら、一番利口なのは私。

特定の男とは付き合わない。付き合いたくない。

これから先もその意志は変わらないと、この時は何の迷いもなくそう思っていた。

ー1年後、2020年9月

新型コロナウイルス感染症が猛威をふるい、状況は依然として変わらぬまま、気付けば季節は夏から秋へと移行していた。

ネイルサロンに行った帰りに、渋谷のスクランブル交差点を通りがかった私は、ふと辺りを見回した。

人が多く、いつのまにか以前の活気を取り戻しつつあるようだ。しかし、人々のマスク生活は続いている。昨年とはガラリと変わってしまった光景。

当然、私の毎日も変わってしまった。

親密なボーイフレンドたちから、パタリと誘われなくなったのだ。

私のことが嫌いになったわけではない。それはわかる。だって、何かしたわけじゃないし。

ただ確かなことは、私より大事な存在のためにそうしているのだろう。

「つまんない...」

一人暮らしの自粛生活では、今までに感じたことのない孤独を味わうことになった。

女友達の少ない私は、リモート飲み会だとかそういうのとも縁遠かったし、SNSでそこそこ顔が知れているだけに、マッチングアプリで出会いを求めるわけにもいかない。

ようやく外食できるような生活に戻ってきたのに、肝心の相手がいないのだ。

唯一誰かと繋がっているのは、本名で登録して、ほとんど更新したことのないFacebookだけだ。

ーとりあえず見てみるか...

リモート勤務を定時ピッタリに終えた私は、何年かぶりにFacebookを開いた。

するとタイムラインのトップに飛び込んできたのは、大人になってから唯一“ちゃんと交際した”元彼だった。

元彼の“現在”を知った文香。喜び勇んで会いに行くが、そこで言われた衝撃の一言…。

「広告代理店経営...?」

プロフィールには、付き合っていた時に勤めていたはずの総合商社を辞めたことが記されていた。

ステイタスは既婚になっていないし、さらに経営者になっている。その事実に、意気揚々としている自分がいた。

とりあえず私は、無難なメッセージを送ってみる。

鮎川 文香:久しぶり、覚えてる?

櫛崎 優介:文香?久しぶり。生きてたんだ!笑

元彼から返信が来て嬉しいなんて、我ながらダサすぎる。でも心は素直に反応していた。

まだ純粋に恋愛をしていた頃、愛は永遠だと信じていた頃の自分に、タイムリープしたような感覚に陥る。

ー何やってるんだろう...

自分の行動に戸惑いながらも、手は自然と次の言葉を入力していた。

鮎川 文香:ねぇ、会おうよ。飲み行きたい。

櫛崎 優介:どうした?仕事帰りに軽くならいいけど。

久しぶりのデート。それが元彼でも、私は浮かれていた。

いや、元彼だから気合いが入るのだ。

だって、いい女になったと思わせなければならないから。

身体のラインが綺麗にでるSelf-Portraitのワンピースに、歩いても痛くならないヴァレンティノのヒールを合わせた。髪は巻いてからわざと手で崩して、抜け感を出す。

ー完璧。

秋っぽいブラウンレッドの口紅を引き、鏡の前で微笑んだ。

こんな風に着飾って出かけるなんて、いつぶりだろうか。

優介には、数年前に私の方から別れを告げた。一緒に住んでるわけでもないのに、私がどこにいるのかを知りたがったり、連絡がマメすぎて嫌気が差してしまったのだ。

でも、今なら誰かに気にかけてもらえることの有り難さがわかる。

待ち合わせ場所に指定されたのは、『BALCÓN TOKYO』だった。

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久しぶりの六本木。東京タワーが見える最高のロケーション。着飾った自分に相応しい艶やかな雰囲気に、うっとりした。

「文香、相変わらず綺麗だね」

優介の視線が、私のくびれから脚へと流れていくのがわかる。

「とりあえず、モエのグラスにしようか?」

付き合っていた頃は、ビールしか飲まなかった優介がスマートにオーダーするのを見て、胸がいっぱいになった。

これは、絶対に私の影響だ。

シャンパンで乾杯してから、いくつかアペタイザーを注文した。しかしお腹が空いていないのか、優介はほとんど手をつけようとしない。

それからしばらくお互いの近況を話していたが、本音を言えば、仕事の話も思い出話もどうでもよかった。そんなことより、昔と同じように私を強く抱きしめてほしい。

ー早く誘って。

そう心の中でつぶやいた瞬間、優介が「そろそろ行くわ」と立ち上がった。

「帰っちゃうの?やだよ」

甘えるような声と、トロンとした目で見つめてみる。これで落とせない男はいない。

確信があったのに、優介は低い声で言い放った。

「文香、そういうのもうやめな。たしかに見た目はいい女だけどさ、やってることすげー安っぽいよ」

「え...」

ちがう。私はただ...。

ーえっと、どうしたいんだっけ。

何も言えないことが、猛烈に悔しかった。

「ごめんね、同棲してる彼女に内緒で来ちゃったんだ。心配させたくないからさ」

「そう...わかった」

私は頷きながら、着飾っている自分が急に恥ずかしくなった。

不安定な社会だ。大切な人との関係を、より強固なものにしたいと思う人が増えて当然だろう。

私だって、以前のように、ただ寂しさを紛らわせるために抱かれたかったわけじゃなかった。

誰かに、必要とされたい。文香じゃなきゃダメだって、言って欲しい。

彼らの本命彼女に対する優越感だけで保っていたプライドが、あっけなく崩れていく。そんな薄っぺらいもので心が満たされてると、本気で勘違いしていたのだ。

あの頃、私がバカにしていた浮気サレていた女たち。結局、最後に幸せになるのは私ではなく、”恋人”という立場である者たちだ。

ー彼氏...欲しいかもしれない。

一人で飲み続けるお酒はほろ苦く、でも、久しぶりに見た晴れ間のように心は清々しかった。

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もしかして妊娠!?ひかりの彼氏の反応は予想通りで…

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