大勢の観光客が訪れる倉敷市。ふと会話が耳に入り、地元を教えたい思いに溢れ...。

大勢の観光客が訪れる倉敷市。ふと会話が耳に入り、地元を教えたい思いに溢れ...。

  • 幻冬舎ゴールドライフオンライン
  • 更新日:2023/11/21
No image

倉敷市内篇

鶴形山~阿智神社~美観地区散歩  2008年6月22日(日)

本町に出ると、観光客が大勢歩いています。そこからはアイビースクエアの塀の外側を歩き、お団子屋さんやお煎餅屋さん、蒲鉾屋さんなどの前を通り(それぞれ買って食べながら歩く人も)、川沿いを歩くと観光客の会話も耳に入ってきて、倉敷に長く暮らしている私は「それはこうなんですよ」とつい教えてあげたくなる衝動に駆られたりします。

考古館方面へ出て、蔵の中を改装してできた豆菓子屋さんに入ってみました。豆ってこんなに種類があったの?と思うくらいに多種類の豆。そら豆を炒ったような昔ながらのものやら甘納豆のようなもの、ピリ辛のものなど加工も色々、ずらりと試食用の小皿も並んでいて楽しい。

中橋のたもとの川に降りる石段、雨模様の予想が出ていたせいか、好評の観光川舟の運行はこの日はなく、高札のような看板も、舟もありませんでした。そういえば客待ちの人力車もこのあたりにいつもはいるのに、この日は見かけず。

中橋の上にはボランティアガイドを中心にした10人ぐらいのグループがなにやらガイドの説明を聞いていました。知らない町へ行くときはやっぱりガイドさんについて歩くと数段理解が深まると思います。

柳の下にはどじょう、ではなく1段下の部分に立ってアクセサリー屋さんが雨が降りそうな天候にもかかわらずいつものように店開きしていました。夫いわく、「場所代は要るのかねえ」?(無許可営業を40年ほども続けていたそうですがこの時点からさらに12年たった2020年2月、排除されました)

また、高梁川からの暗渠(あんきょ)の水が出てくる、倉敷川の端っこのところには2羽の白鳥が。寄り添って格好のいい写真はなかなか撮らせてくれません。

そしてその脇の倉敷国際ホテルが経営するレストラン「亀遊亭(きゆうてい)」の前のところに、最近できたのか、石碑があるのをこの前見つけました。何でも、1911年9月、倉敷教会がここに最初の会堂を建てた、とあり、竹中幼稚園発祥の地だそうです。

倉敷では歴史ある竹中幼稚園、夫もそこの卒園生なので、へえーっと驚いて見ました。犬も歩けば棒にあたる、というのはこんなことを言うのでしょうか。歩くと色々な発見があるものです。

倉敷駅前の居酒屋「とん平」にて  2008年7月4日(金)珍しく夫が夜の外食に行こうというので、どうせなら主婦の立場としてはなかなか行けない、しかも夫の同級生の経営する居酒屋さん「とん平」を思いつきました。

私の運転で近くまで行ってコインパーキングへ駐車し、そこから歩きました。駅前の路地裏。数年前に火事があり、ごく近所のところまで焼けたのに、幸いすぐ前の鉄筋の建物が防火壁になったようで、類焼を免れました。

店主のカエちゃんは、お母さんの店を引き継いでやってるのです。夫の元の勤務先の兄貴分が東京からやってきたときにも何度かお連れして、気に入ってもらったそうです。

路地を入ると、立ちションよけの赤い鳥居が足許に。それがミニチュアながらけっこう本格的作りなので妙に感心しました。

のれんをかき分け店内へ。すると正面から奥へ向かって10席くらいあるカウンターにはずらりとオジサンばっかりでほぼ満席状態。手前左手のテーブル席は、やはり年配のリタイア組らしいオジサンたち。手前右のテーブルは唯一若者グループで、予約して集まったらしく、料理があらかじめ置いてありました。

仕方なく入り口寄りの角の、料理人とは一番遠くて話がしにくい席に陣取りました。カエちゃんはこちらを見て目で挨拶、金曜夜だもの、書き入れ時、おまけに2階に予約していたという9人のグループが入り、大忙しでカウンターの向こうの狭いスペースながら手際よくお刺身を盛り付け、2階へ運んでいました。

カウンターの上には大鉢に盛られたもつ煮込みだの大根の煮付けだの酢の物だのの品々。向かいには階段下のスペースを上手に利用して、お品書きの木札の掲げられた壁面の下にはビールサーバーやら、冷蔵庫やらレジやらが並んでいて、こちら側のカウンターのところの調理台の上と冷蔵庫などの間をカエちゃんを含め30代後半から60代くらいの女性4人が会話もせずてきぱきと動いているのを眺めていました。

揚げ物を揚げる、盛り付ける、運ぶ、注文をとる、ビールをサーバーから注ぐ、運ぶ、焼酎の水割りを作る、などなどを無駄のない動きで一人ひとりが動くのが隙のないチームプレーに見えて感動的ですらありました。

夫は「生中」を頼み、私は運転してきたのでウーロン茶。あーあ、下戸でも歩いてきてせめて1杯くらい飲みたかったなあ。せめてお料理をと、しっかりしょうがの味の効いたもつ煮、おいしい。イカ刺し、新鮮で甘くてこりこり。タコ、ぶつ切り、もぐもぐ。写真を写せばよかった。

何を食べたのかあまり覚えてない。あまりほかでは食べられないもの、と思って、「乙島シャコ」の空揚げを私、「どぜう」の空揚げを夫が頼みました。「どぜう」という表記の仕方は、カエちゃんの母親、先代の女将の書いたものを継承しているためか?階段下の壁に和服姿の先代の肖像画が飾ってありました。

【前回の記事を読む】招待券をもらい倉敷民芸館の花展へ。日本で2番目にできた民芸館の魅力とは?…。

花房 啓子

この記事をお届けした
グノシーの最新ニュース情報を、

でも最新ニュース情報をお届けしています。

外部リンク

  • このエントリーをはてなブックマークに追加