新型コロナの「懸念される変異株」の出現によりワクチンだけでは不十分になったとの指摘、専門家は「最大限の抑制戦略」の実施を提言

新型コロナの「懸念される変異株」の出現によりワクチンだけでは不十分になったとの指摘、専門家は「最大限の抑制戦略」の実施を提言

  • GIGAZINE
  • 更新日:2021/04/07
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査読制の医学雑誌・The Lancetが設立した国際的な新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策委員会であるLancet COVID-19 Commission Taskforce on Public Healthの専門家らが、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の変異株のまん延により「もはやワクチンだけでは勝利は保証されない」との声明を発表し、各国の保健当局に対して強力な公衆衛生対策を継続するよう求める提言を行いました。

New COVID variants have changed the game, and vaccines will not be enough. We need global 'maximum suppression'

https://theconversation.com/new-covid-variants-have-changed-the-game-and-vaccines-will-not-be-enough-we-need-global-maximum-suppression-157870

ニュージーランド・オークランド大学の公衆衛生学教授で、Lancet COVID-19 Commission Taskforce on Public Healthの共同議長を務めるクリス・バーレン氏ら8人の専門家らは、学術系メディア・The Conversationに寄稿した記事の中で「2020年末までは、ワクチン接種が十分に行われることにより、人類がCOVID-19の原因ウイルスであるSARS-CoV-2に対して優位に立つことができると強く期待されていました。しかし、新たに『懸念される変異株(Variants of Concern:VOC)』が出現し世界中に感染が拡大しているため、ワクチンを含む現行のパンデミック対策では計画が頓挫するおそれがあります」と指摘。ワクチンやCOVID-19からの回復により獲得された免疫では、対処ができない変異株が登場するリスクが高まっていることに対する懸念を表明しました。

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これまで存在が確認されているVOCは、以下の3種です。

1:南アフリカで初めて報告されたB.1.351

2:イギリスで初めて報告されたB.1.1.7

3:ブラジルから日本への渡航者で確認されたP.1

これらの変異株に対するワクチンの効果は未知数です。例えば、イギリスで発見されたB.1.1.7に対しては、ファイザー製のワクチンとアストラゼネカ製のワクチンの両方が機能すると考えられていますが、有効性が低下するとの懸念もあります。

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感染力の強い新型コロナウイルスの英国型変異株がワクチンの有効性を低下させる変異を獲得しつつある - GIGAZINE

また、2021年3月までの時点で少なくとも48カ国で検出されているB.1.351は、これまで確認されている変異株より感染力が約50%高く、免疫による防御も部分的でしかないとのこと。さらに、B.1.351は軽度から中等度のCOVID-19患者に対するアストラゼネカ製ワクチンの効果を低下させる可能性があるとの報告がなされています。

こうした理由から、バーレン氏らは「似たような変異がさまざまな国で同時に発生しているということは、国境管理やワクチン接種がしっかりしている地域であっても、その地域でCOVID-19の感染がかなり進んでいる場合は、自国産の変異から国民を守ることは難しいということを意味しています。このため、地域社会でのまん延を食い止めるのが肝要です。SARS-CoV-2の拡散を防ぐには、単一の対策では不十分なので、各国はワクチン接種と並行して強力な公衆衛生対策を維持すること、つまり『(PDFファイル)最大限の抑制』を行う必要があります」と述べました。

バーレン氏らが提唱する「最大限の抑制」とは、これまで行われてきた感染対策を徹底することで、文字通りSARS-CoV-2の感染拡大を最大限に抑制することです。具体的にはマスクの着用物理的な距離を置くこと、室内の換気などです。

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バーレン氏らによると、ウイルスが1回複製されるごとに突然変異する機会が3回発生するとのこと。そのため、ウイルスの感染率を可能な限り低減させることが、VOCの出現を抑える上で重要だとバーレン氏らは強調しています。

こうした点からバーレン氏らは「誰もがCOVID-19から安全になるまで、本当に安全な人はいません。私たちは、新しい変異株が出現する前に、拡散を防いで世界的なCOVID-19感染率を十分に低くしなければならないという時間との戦いを強いられています。多くの国では、ウイルスのゲノムを分析して新しい変異株かどうかを調べる能力はありません。つまり、既にVOCが少なくとも3つ発見されているというこの状況は、見た目以上に深刻です」と述べて、世界的なワクチン接種の推進と公衆衛生対策の重要性を改めて訴えました。

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