社説:11歳以下の接種 慎重な議論が欠かせぬ

  • 京都新聞
  • 更新日:2021/11/25

新型コロナウイルス感染対策として、ワクチン接種の対象を11歳以下の子どもにも広げるかどうかの検討が、厚生労働省のワクチン分科会で始まった。

子どもは感染しても重症化する事例が少ないなどの理由から、接種の必要性を巡っては、専門家の間でも意見が分かれている。

他国の先行事例なども参考に、慎重な議論が求められる。

米製薬大手ファイザーは今月、5~11歳への接種の承認を厚労省に申請した。約2300人を対象にした海外での臨床試験で、投与量を従来の3分の1にしても発症が90・7%抑えられ、目立った副反応もなかったとしている。

世界では子ども向けの接種を承認する国が増えている。

今月に入り、米国とイスラエルは5~11歳への接種を始めた。冬を前に集団感染による休校の懸念があることや、新規感染者に占める子どもの割合が増えていることなどを考慮したとみられる。中国や南米アルゼンチンでも11歳以下への接種を既に行っている。

米国では5~11歳の感染の死者が約190人に上っており、今年前半にはコロナが子どもの死亡原因の10位以内になった。だが、米民間機関の調査によると、「すぐに受けさせたい」とした親の割合は34%だったのに対し、「様子見」が32%で、「絶対にさせない」も24%だった。

子どもへの接種を進めるには、保護者の不安を取り除くことが重要になりそうだ。

日本では現時点で10歳未満の死者はゼロにとどまる。厚労省の分科会では、国が費用を負担して対象者全員に強く接種を推奨することに「慎重にすべきだ」との意見が出ている。

一方、国民の7割以上が接種を終えたが、「周りの大人が接種しても完全に守られるわけではない」などとして、子どもが接種を受ける機会は確保すべきだ、との声も上がっている。

コロナに感染した子どもには、複数の臓器で重い炎症が起きたり、後遺症とみられる症状が出たりする例が世界で報告されている。

こうした状況で、国に求められるのは、科学的な観点で議論を尽くし、メリットと弊害を精査することだ。

厚労省は、5~11歳の接種が早ければ来年2月にも始まる可能性があるとして各自治体に準備を呼び掛けている。接種ありきではなく、多くの人が納得できる結論を出してもらいたい。

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