米疾病対策センター(CDC)によると、20歳以上の米国人のうちおよそ9400万人(人口の約40%)は、高コレステロールだという。CDCは、血中のコレステロール値が高いと心疾患(米国の死因の第1位)や脳卒中(同第5位)のリスクが高まることを指摘している。
高コレステロールを原因には、飽和脂肪酸やトランス脂肪酸を多く含む不健康な食事、座りっぱなしの生活、過度の飲酒、慢性的なストレス、喫煙・受動喫煙、肥満などが挙げられる。
2種類のコレステロール、善玉と悪玉
体内でコレステロールを運ぶリポタンパク質には、高密度リポタンパク質(HDL)と、低密度リポタンパク質(LDL)の2種類がある。血中を循環しているコレステロールのほとんどが「悪玉コレステロール」と呼ばれるLDLだ。
アメリカ心臓協会(AHA)によると、LDLは血管に沈着して血流を悪くすることから、心臓発作や脳卒中、末梢動脈疾患(PAD)のリスクを高めるという(PADは動脈硬化により手足の血管が狭くなり、血流が悪くなることでさまざまな症状がひき起こされた状態)。
一方、CDCによれば「善玉コレステロール」と呼ばれるHDLは、その値が高いと心臓病や脳卒中のリスクが低くなる。AHAはこれについて「HDLは動脈からLDLを運んで肝臓に戻し、LDLは肝臓で分解され、体外に排出される」「ただ、HDLが肝臓まで運べるのは、血中のコレステロールの25~30%程度だ」と説明している。
高コレステロールが特に心配なのは、目に見える症状がないことだ。そのため重要なのは、定期的に検査を受け、コレステロール値を確認しておくことだ。
日常の心がけがポイント
心疾患のリスク因子には家族歴、性別、年齢などコントロールできないものもある。一方、コレステロール値は生活習慣に大きく左右されることから、日常的な習慣によって、数値を健康的な範囲に保つことが可能だ。
以下、自然にコレステロール値(特にLDL値)を下げるため、心臓の専門医が推奨する5つの方法を紹介する。
食物繊維を多く取る
食物繊維、特に植物性食品に含まれるものは、胆汁酸の再吸収を抑制し、LDLの排出を促す。食物繊維を取るのに最適の食品はアボカド、リンゴ、ベリー類、芽キャベツ、デーツ、オーツ麦や大麦などの全粒粉、ナッツや種子など。
植物ステロールを取る
植物ステロール(植物に含まれる天然化合物)は腸でのコレステロールの吸収を抑制し、LDL値を低下させる効果がある。植物ステロールが特に多いのは、ほうれん草、ケール、にんじん、オリーブオイル、さつまいも、いちご、ひまわりの種など。
不飽和脂肪酸を控える
不飽和脂肪酸(常温で液体の油脂)を選ぶことは、LDL値を下げることにつながる。心臓の健康に良い不飽和脂肪酸を含む食品にはアボカド、オリーブオイル、ピーナッツバター、クルミ、アーモンド、脂の多い魚、ひまわり油、ゴマ、亜麻仁(フラックスシード)などが挙げられる。
単純炭水化物を避ける
高度に加工された炭水化物や糖類を添加した食品はインスリンレベルを大幅に上昇させ、HMG-CoA還元酵素(肝臓でコレステロールを生成する酵素)を活性化させ、悪玉コレステロールの合成を促す。そのため、こうした食品は摂取を避けることが重要だ。
特に「超加工食品」に分類される冷凍ピザやポテトチップス、食パン、クッキー、ケーキ、ドーナツ、ベーコンやソーセージといった加工肉の摂取は控えるべきだ。
中性脂肪値に注意する
「トリグリセリド(中性脂肪)は、糖やデンプンから最初に形成される脂肪。運動をする、アルコールやトランス脂肪酸の摂取を控えるといったより健康的なライフスタイルを心がけることで、LDLとともに、数値を大幅に下げることができるとされている。
人の体は、それぞれ異なるものだ。まずは現在の健康状態について医師などの専門家に相談し、それぞれに必要な生活スタイルの変更を行うことが重要だ。