「食事写真のSNS投稿を強要」「吐くまで食べさせられ...」蔓延する“メシハラ”の異常な実態

「食事写真のSNS投稿を強要」「吐くまで食べさせられ...」蔓延する“メシハラ”の異常な実態

  • 文春オンライン
  • 更新日:2020/10/16

朝の情報番組で特集されたりするなど「メシハラ」が大きな関心を集めている。

実際のところ、メシハラは昭和の時代によく見られたハラスメントだが、令和になっても上司や先輩に「無理やり食べさせられた」と訴える怒りの声は相変わらず多い。メシハラ被害に遭った人たちの声を集めて実情を探ってみた。(取材・文=押尾ダン/清談社)

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©iStock.com

グルメレポートのロケで余った食事を完食させられるAD

メシハラとは、上司や先輩など、立場が強い者が無理やり食事に誘ったり、出された食事の完食を強要したりする行為のことだ。

以前、タレントの上沼恵美子が仕事終わりで疲れ切っている番組スタッフを有無を言わさず高級焼肉店に誘い、とても食べきれないような大量の肉を注文、残さず完食することを半ば強要したと報じられた。しかし、「テレビ業界では、その手のメシハラは日常茶飯事です」と話すのは、とあるバラエティ番組のADをしているAさん(28歳、男性)だ。

「テレビの収録では出演者のために弁当を用意するんですが、余ると『若いんだからお前が全部処理しておけ』とディレクターに残さず食べることを強要されるんです。でも、それより嫌なのはタレントさんが実食するグルメレポートのロケですね」(Aさん)

グルメレポートのロケでは、実食用とインサート(料理をおいしそうに見せる別撮りの映像)用の2つの料理を用意する。番組を観る視聴者にはおなじみの光景だろう。

「ところが、演者さんは少ししか食べないし、残すと店に悪いので、その料理はディレクターの命令で結局ADの僕が全部食べさせられるんです。ディレクターは『こんなうまいもの普段食べられないだろ。味わって食え』と恩着せがましいことを言うんですが、2軒も3軒も続くと吐きそうになりますよ。実際に後で吐いたこともあります」(同)

メシハラの特徴は「恩着せがましい」「吐くまで食べさせる」

このように、「恩着せがましいことを言って完食を要求する」「気持ち悪くなるほどの量を食べさせる」というのがメシハラの特徴のひとつだ。

たとえば、事務用品の営業をしているBさん(32歳、男性)は、上司と一緒に営業用の社用車で得意先回りしていると頻繁に「恩着せ型」メシハラに遭うという。

「社用車の営業の場合、ランチは駐車場のある店に行くことが多いんですが、その上司と一緒のときは高確率でロードサイドの大衆焼き肉チェーンに連れて行かれます。ランチにしては食べ放題で1人2000円弱と少し高めなんですけど、上司はかまわず『俺がおごってやるからどんどん食べろ』と、『おごり』を強調して次々に注文するんです。

ある日は、1周目終盤のホルモンで満腹になったところで『まだいけるだろ』とまさかの2周目に突入。しかも、カルビ、豚トロとヘビーな肉が相次いだので、なんとか水で胃袋に流し込んだものの、食後にトイレで吐きました。昼からそんなに食べられるはずないじゃないですか。自腹でいいから食べられる分だけを食べたいです」(Bさん)

建築関係の会社で営業をしているCさん(34歳、男性)も「恩着せ型」メシハラを受けたひとり。しかも、その理由は「体を大きくしてやる」だったという。

「僕は身長160センチ台前半の痩せ型なんですけど、筋トレをバンバンやっているゴリマッチョの先輩社員に『食べないから体が小さいんだ。もっと肉を食え』とステーキハウスに誘われたんです。すると、先輩は1キロ近い肉と大盛りライスを注文して僕に完食を要求し、おまけに料理が来る前にビールの大ジョッキを一気飲みさせられました。

当然、ヒョロヒョロの僕がそんな大量の肉を食べられるはずがなく、テーブルの上に盛大にリバースしてしまいました。この先輩は同じ理由から飲み会後に僕を牛丼チェーンの松屋に連れていき、7~8杯の牛丼を無理やり食べさせたこともあります」(Cさん)

総重量2キロのカツカレーを完食させる恒例行事

さらに、業界によってはメシハラが業務命令になっているケースもあるようだ。上の命令には絶対服従の警察や自衛隊はその典型で、公務員のDさん(29歳、男性)は数年前にそうした組織特有の理不尽なメシハラを受けたことがある。

「僕が当時所属していた組織は、昭和どころか戦前の日本軍の体質がそのまま残っているような旧態依然としたところで、総重量約2キロの超特大カツカレーを完食しなければならない毎年恒例の行事がありました。食べさせられるのは新人だけで、苦しそうに食べている姿を上司や先輩が見てゲラゲラ笑うという最悪の行事です。

建前上は、厳しい訓練を乗り切る体力と精神力を身につけるための行事とのことですが、結局は新人いじめですよ。でも、完食しないと根性なしのレッテルを貼られるので、泣きながらでも食べきるしかないんです」(Dさん)

「お前は安いものばっかり食べているな」「パパ活やっているか?」

公務員とは180度違うイメージのある華やかなIT業界でも、じつはメシハラが横行しているという。大手IT企業に入社して2年目のEさん(24歳、女性)が語る。

「IT企業ということもあり、入社早々、30代の男性上司が私のツイッターやインスタグラムのアカウントを確認してきて、それ以来SNSの投稿が全部チェックされるようになりました。上司が見るなら当たり障りのない内容しかアップしなくなりますよね? そうしたら『面白くない』と言われ、食事の様子の投稿を要求されたんです。

それで、普段の食事とかをアップし始めたんですが、すると今度は『お前は安いものばっかり食べているな』とケチをつけられ、彼氏とホテルのレストランで食事したら『パパ活やっているか?』とひどいことを言ってくる。もうホント最悪です」(Eさん)

妻からメシハラ被害を受けている上司世代

ここまで見てみて、メシハラ被害に遭っているのが20~30代ばかりということに気がついたかもしれない。メシハラはおもに上司や先輩によるハラスメントなので、被害者は若手に偏るわけだ。しかし、上司世代の40代がメシハラに遭わないとは限らない。

「じつは私、妻からメシハラを受けています」と話すのは、デザイン会社を経営するFさん(44歳、男性)だ。そのきっかけは、数年前に発覚した浮気にあるという。

「会社の女性社員と不倫していたんですが、あるとき妻にバレてしまい、当然ながらかなり揉めました。幸い離婚にはいたらなかったんですけど、それ以来、私には晩ごはんを用意してくれなくなって……。しかも、仕方なく外で食べるようにしたら、その食事の様子をスマホで撮って妻のLINEに送らなければならないルールを課せられることになった。

ひとりで食べるのも寂しいので社員を誘うんですけど、おごるからと言ってもみんな忙しがって付き合ってくれないんですよ。つらい時代になりました」(Fさん)

このケースは自業自得だが、Fさんが嘆くように、いまや上司が食事に誘うこと自体が部下にとって迷惑な行為になりがちなのはたしか。完食を強要しようがしまいが、食事をおごる=メシハラと捉えられてしまうかもしれない。上司世代は肝に銘じておくべきだろう。

(清談社)

清談社

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