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頭でっかち、言い訳ばかり...光浦靖子(50)が「言葉が通じんところに行ってこい」と自分に命じるワケ

頭でっかち、言い訳ばかり...光浦靖子(50)が「言葉が通じんところに行ってこい」と自分に命じるワケ

  • 文春オンライン
  • 更新日:2021/07/22

「自分でも不思議なくらい嘘が嫌い」…“生きにくい”人間・光浦靖子(50)が芸能界で見つけた「居場所」から続く

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50歳になりまして』(文藝春秋)の大きなテーマでもある「老後」。光浦靖子が老後を考える時、最初にしたのが自身の「子育て」だった――。

「自分のことばっかり考えていた」光浦が、敢えて自分にとって「茨の道」を選択するのは何故なのか。彼女を前へ前へと突き動かす「怒り」の正体とは。年齢との折り合いの付け方、女友達と良好な関係を築く秘訣……老後と向き合うために必要な、人生の「おさらい」方法を訊く。(全3回の第3回/第1回から読む)

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光浦靖子さん

◆ ◆ ◆

永久就職を信じていた世代が共感してくれた

——この本のきっかけになった『文藝春秋』のエッセイは、本当に多くの方に読まれて。光浦さんのようなキャリアがある人でも、「不安」を抱えてるんだなって、当たり前なんですけど。そこに共感が集まったのではないでしょうか。

光浦 みんなやっぱりね。だって、永久就職、誰もできないんだもんね。うちらが子どもの時は、1個職業に就いて10年ぐらい死に物狂いで頑張れば、一応定年までは会社が面倒を見てくれた。そういう親を見てた世代だから。

——そう信じてました。

光浦 信じて頑張ってたら、そうじゃないのか、って私はなりました。「明日クビになるのかい」とか「明日仕事なくなるのかい」って。

共感を持ってくれたのは、たぶんオーバー40とかそっちのほうの人かもしれない、もしかしたら。それより下の子たちは最初から、リーマンショックやら不景気やらを知ってる。バブルがはじけた後に生まれてる子たちはきっと「永久就職できるわけないだろ」って身をもって知ってるんじゃないですか。

——永久就職なんて思ってもないかもしれません。

光浦 うちらは途中まで信じてたから。だからまだ、なんかあたふたあたふたしちゃう。40代、50代の方たちは。

年齢と折り合いをつけるための『おばあちゃん育て』

——私なんかまだ大人になったという感覚も薄くて。もう40過ぎて全然大人、なんなら老後の方が近いというのに、大人という実感も持てないままここまできちゃいました。

光浦 そうなんですよ。私も50歳になったってビックリします。まだ26歳ぐらいの感覚。あと、老けた服なんか着たくもないし。まだ全然若い服着れるし。

——商店街にあるブティックの服とか、いつかこういうのを着るようになるのかなって思ったけど、気持ちが追いつかない。

光浦 着ないですよね。いまだに「ちょっと大人っぽい」と言っちゃいますもん。50歳になっても「ちょっと大人っぽいかな」って。

——いつ自分の年齢と折り合いがつくんだ、みたいなことを思っていたので。本に出てくる『おばあちゃん育て』という言葉に衝撃を受けたんですよね。

光浦 そうそう。親が私を育ててくれることはもうないし、周りを見ても、誰も私のことに責任持ってくれそうにないから、そうなったら自分が自分を守り育てるしかないわよ、と思いました。それが『おばあちゃん育て』です。

——『おばあちゃん育て』のコツは?

光浦 うんざりするぐらい自分のことばっかり考えてきたから、「こういうとこはいいけど、ここはあんまりよくない」って知り尽くしてるんですよ、自分のこと。そうなると自分のことを分析できるじゃないですか。そういう人間が笑って生きていける環境を今からちょっとずつ作っていこうと思って。

赤の他人だと思って自分の老後を考えてるんです。こんなにすぐ傷ついちゃう人が、人としゃべりたくないけど本当はすごい人としゃべりたい人が、ただのわがままな人が、それを全部うまいことやるためのレールを今のうちに敷いておこうかなと。

——レールというのは具体的に?

光浦 自分を分かってるからこそ、今のうちにどういう試練をさせるべきか、どういう体験をさせるべきか考える。だから、子育てみたいな感じ。あんまり打たれ弱い子どもはキャンプにでも行かせろとか、そういう感じ。海外に行くっていうのは、それもちょっとあるんですよ。

——ああ、そういうことですか。

光浦 頭でっかちになりすぎちゃって、わがままで言い訳ばっかりする癖が私にはあるので、このままはちょっとめんどくさい。日本語を上手に駆使するから、何でも言い訳できちゃうんですよ。そこが自分の悪いところだなと思ったので、だったら一回言葉が通じないところに行ってこい、って。

——言葉で生きてきた人から言葉という武器を取り上げる……。

光浦 その武器、いいふうに使ってないなとも思ったんですよ。言葉尻とかに敏感になりすぎちゃった。日本語に敏感になりすぎて、人の発する言葉にイヤ~ッてなったり。

——そうやって自分を今から育てる、時に厳しく。

光浦 そう。そうして思いのほか強気になる可能性もあるでしょ。それはそれで面白いなと思って。

——光浦さん、強気になって帰国する可能性ありますよね(笑)。

光浦 そう。やっぱり帰国子女とか、うちらよりちょっと上の世代の海外で働いてた人って、やっぱり面白いですよ。強いし。

強い女の人が好きな理由

——本の中でも光浦さんは「強い女の人が好き」と公言されていますよね。

光浦 大好き、大好き。もともとは本当にフィジカルで強い人にあこがれたの。男の人をぶっ倒すっていうのが本当に子どもの時から好きで。

——「男性との体力差がなかったらどうなっていたんだろう」ということは本の中でも度々出てくる。

光浦 電車に乗るたびに毎日感じてます。たとえば向こうから人が歩いてきて、私は98パーセント道を譲ってる。道を譲られたことなんて2パーセントぐらいしかないんです。その98パー道を譲ってない人たちってどういう感覚なんだろうとかね。

——なんなら思いっきり正面からぶつかられたり。そうですね、女性だからなのか、おばちゃんだからなのか、なめられてるなと感じることは多々ある……。

光浦 ねえ。なんていうか、今、50代前後の女性がレボリューションを起こす気配がプンプンにおってると思うんです。もうみんなの怒りがふつふつというか、ちょっとたまってるから。

——先ほどのお話ではないですけど、親を見て社会を信じてやってきたけど、今それが違うっていうことを突き付けられた世代。

光浦 そういう空気がうごめいているから、面白いと思う。うちら世代の女性が本気で動き出したら、日本は立ち直ると私は思ってる。

——ずっと我慢してきましたけど……みたいな怒りはありますね。

光浦 「我慢してきたけど、結局何も良くなってないじゃないですか」っていうのを、同時多発的にみんなが言いそうな感じがして。そうなったら面白いな。

——コロナが後押ししたものは大きいかもしれません。

光浦 私がちょっと留学してる間に、日本がそんな風に変わってればいいのにとは思います。我慢してきた同世代の女性たちがもっと一緒になって「幅」きかしてる社会になっていればいいな。

うまくいってるのは、たぶん、深入りしないから

——本にも出てくる光浦さんと女性芸人同士の友情関係がすごくうらやましいんです。清水ミチコさんとか(森三中)黒沢(かずこ)さんとか、(たんぽぽ)白鳥(久美子)さんとか。

光浦 楽しいんですよ。

——「女同士は仲悪い」みたいな、そこもちょっと引き裂かれてきたじゃないですか。

光浦 「裏で悪口言ってる」とかね。私はテレビの世界に入って、悪口言ってるのは男の人ばっかりだなって思いましたよ。

——光浦さんは友達同士で、他愛もない話をするとか、誰かが困っていたら助けるとか、そういう自然な関係性をつくってる。それってもしかしたら結婚して家庭というコミュニティを作るより難易度高いのではないかと。

光浦 うまくいってるのは、たぶん、深入りしないからかな。昔みたいに気を使って「行きたくないのに行かなきゃ」はゼロですね、今は。20代ぐらいの時からそういうのはやってないです。そうしたら、そういうのをやらない人たちと仲良くなるようになりました。自然とそういう人たちばっかりになった。「え~、お腹痛い。行きたくない」って。

——自由ですね。

光浦 でも大事なのはそれに対して「せっかくセッティングしたのに!」ってちゃんと怒れるかどうか。断ってもいいけど、こっちもちゃんと怒ります。「あ、いいよいいよ」ってしてたら、そっちが我慢になっちゃうので。「何だよ、セッティングまでさせて!」ってそこは怒る。

——怒るの難しい……。

光浦 でもそんなの些末なことでしょ。行く行かないなんて。でも、私たちも4人だから、ご飯した時に最悪誰かドタキャンしても3人いるからね。これが2人だとね……3人も意外と……だから、4人ぐらいからがちょうどいいんじゃない?

——女グループは4人がいい。

光浦 あっ、そうね。『セックス・アンド・ザ・シティ』も4人だったね。

——確かに。

光浦 4人はいいかもね。1人抜けても3人いればいいっていう。最悪2人ドタキャンしても、2人でしっぽり話せばいい。そうだね。4人を提唱していきましょうか(笑)。で、最初に集まる時から、「ドタキャンしても怒らない」「ドタキャンされたら怒ってよし」みたいな、契約書を書いておけばいい。

——察し合って疲れるのを防げますね。

光浦 気を使い合ってね。もったいない。だって優しさなのに。だから、最初に「俺たちのグループはこれだ」みたいな。「これが掟だ」みたいなのを作ればいい。不良みたいにね、ルールを決めて。不良はルール好きだから。

撮影=鈴木七絵/文藝春秋

(西澤 千央)

西澤 千央

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