◆首都圏を守る「3000個の目」
北朝鮮の長射程砲を探知する対砲兵レーダーIIの核心は「3000個の目」にある。ここには能動電子走査配列(AESA)レーダー技術が適用されている。簡単に言えば、アンテナの中にぎっしりと配置された約3000個の送受信モジュール(TRM)がそれぞれ送信信号を作り出し、別々の目のように北朝鮮が発射したロケットを追跡する。
すなわち、3000個の目を大きく開いて「ソウル火の海」を防ぐというのがこのレーダーだ。一つの高出力送信機だけで運用されて故障が多かったPESAレーダーより進んだ技術の集約体だ。LIGネクスワンのイ・ジュンハ首席エンジニアは「AESAでは全体TRMのうち60-70%だけが稼働しても探知性能発揮に特に問題はない」と話した。TRMを一つ交換するのにかかる時間は約30分にすぎない。
LIGネクスワンによると、国内開発AESA技術は最近、韓国型戦闘機KF-21ボラメ(=鷹)に適用されて話題になったが、実際、最初に適用されたのは対砲兵探知レーダーIIだ。AESA技術を韓国国内で初めて適用して量産と配備まで進めた武器体系は対砲兵探知レーダーIIということだ。
対砲兵探知レーダーIIは2011年11月に開発を開始し、5年5カ月後の2017年4月に試験評価を終えた。2000年代半ばにAESA技術確保に取り組んだ経験を基礎に短期間で目標を達成した。
◆延坪島砲撃戦当時に痛感…国産化率99%達成
対砲兵探知レーダーIIが誕生したきっかけは、長射程砲攻撃で人命被害までが発生した2010年の延坪島(ヨンピョンド)砲撃戦だった。北朝鮮の先制攻撃当時、北朝鮮の長射程砲の発射原点を直ちに把握して撃滅してこそ被害を最小化できるという現実を痛感した。
このため海外から購入した第1世代対砲兵探知レーダーに代わる対砲兵探知レーダーII事業が迅速に進められた。防衛産業業界の関係者は「2011年5月に事業推進基本戦略が樹立された当時、海外先進国に比べて韓国が確保した技術レベルは60%程度と評価された」とし「それでもAESA技術を適用したレーダーの開発に拍車を加えた」と説明した。
結局、技術開発を通じて探知距離は従来のレーダーに比べ30-40%長くなり、同時標的処理能力も倍に向上した。国産化率は99%にのぼる。海外輸出交渉も進められた。
LIGネクスワンは現在、対砲兵探知レーダーIIを小型化・軽量化した師団級対砲兵探知レーダーを開発している。外国産レーダーを短時間内に国産に変える計画だ。防衛事業庁のイ・ミョン火力事業部長は「対砲兵探知レーダーIIは政府や企業など機関の努力を集めた結果」とし「国家防衛力だけでなく防衛産業の活性化にも寄与した」と評価した。