うっかりか? 恣意的な不正か?? 不正発覚のロッキー/ライズ衝突安全試験を改めて自社内試験で「クリア」公表

うっかりか? 恣意的な不正か?? 不正発覚のロッキー/ライズ衝突安全試験を改めて自社内試験で「クリア」公表

  • ベストカー
  • 更新日:2023/05/26
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ダイハツが4月28日に公表した海外向け車両の側面衝突試験の認証申請の不正に続いて、その後の車内での点検を行うなかで、5月19日、新たにダイハツロッキーHEV、トヨタライズHEVのポール側面衝突試験の認証手続きに不正があることを公表。その後、5月24日にダイハツは車内試験を実施し、その結果を発表した。その中身はどうだったのか、紹介していこう。

文/ベストカーWeb編集部、写真/ベストカーWeb編集部、トヨタ、ダイハツ

■国内向けのロッキーHEV、ライズHEVの認証申請の不正を受け集荷・販売停止

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ダイハツ独自開発のシリーズハイブリッド、e-スマートハイブリッドを搭載したロッキープレミアムG HEV。28.0kmLという低燃費が特徴

海外向けの車両の側面衝突試験の認証申請で不正行為があったことを発表したのが4月28日。ほんとに海外だけかと疑心暗鬼になっていた人もいたハズだ。

その後、他に不正があったかどうか、社内の点検を行うなかで、5月19日、新たに国内向けのダイハツロッキーHEVと、ダイハツがトヨタにOEM供給しているトヨタライズHEVにもポール側面衝突試験に関する認証手続きに不正が見つかったのだ。やっぱりか……。

これを受け、ダイハツ、トヨタはロッキー、ライズの出荷・販売を同日停止した。対象車種はダイハツロッキーHEVが2万2329台、ライズHEVが5万6111台(5月18日現在)。

このポール側面衝突試験においては、左右の試験を実施する必要があり、運転席側は右側の社内試験データを提出すべきところ、左側のデータを提出してしまったという。

こうなると、ロッキーHEVとライズHEVを購入したユーザーは安全なのか、不安を感じていることだろう。そうした状況を鑑み、ダイハツは5月24日、滋賀テクニカルセンターにおいて自主的に安全性能を確認するための社内試験を実施した。

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試験イメージ(出展:国交省)

試験の目的は、「車両が電柱などに横から衝突した際の安全性について確認」。電柱等を模したポールに、時速32㎞で車両側面を衝突させ、「乗員の衝撃(傷害値)が法定基準を満たしていること」、「ドアの外れや開放が無いこと」、「衝突後の燃料漏れの量が一定値以下であること」の3つを確認したという。

■ダイハツが行ったポール側突(運転席側)社内試験結果について
●試験日時/場所
5月24日/ダイハツ滋賀テクニカルセンター
●試験概要
目的:車両が電柱などに横から衝突した際の安全性について確認する試験
概要:電柱等を模したポールに、時速32kmで車両側面を衝突させ、以下を確認
1/乗員の衝撃(傷害値)が法定基準を満たしていること
2/ドアの外れや開放が無いこと
3/衝突後の燃料漏れの量が一定値以下であること

以上の通り、法規に定められた安全性に関する基準を満たす結果となった。

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今回の試験結果。全項目で法定基準を満たすと記載されている

■今後の対応はどうなるのか?

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ダイハツからOEM供給を受けているトヨタライズ。今後、トヨタはダイハツ生産のOEM車に対してどのように対応していくのか

ダイハツでは「今回の試験は、ダイハツ社内試験であり、認証当局にご確認頂いたものではありません。出荷・販売の再開に向けては、認証当局立会いでの試験や、ダイハツロッキーHEVやトヨタライズHEVに関するその他の認証項目の確認など、必要な手続きを当局と相談しながら進めてまいります」としている。

また、「当社としましては、この度の不正は、経営マネジメントが現場に寄り添えず、法令遵守や健全な企業風土の醸成が疎かになる中で、正しいクルマづくりを見失い、不正行為を発生させたと考えられます。全員で立ち止まり、不正行為をせざるを得なくなった背景・環境・真因を徹底的に究明し、改善・再発防止に取り組み、課題を出し切ることで、二度と同じ過ちを繰り返さない会社へと変わる決意で、現場の声に耳を傾けながら、全社を挙げて取り組んでまいります」。

いっぽう、トヨタも同時刻にプレスリリースを出し、以下のようにコメントしている。

「トヨタグループとして、5月12日(金)にグループ各社トップが集まり、「トヨタグループとして誠実にものづくりに向き合う」べくトヨタグループとしての認識を新たにいたしました。現在、弊社も含め各社が全社を挙げて、これまでのガバナンスの在り方などにつき、改めて検討し、徹底的に見直しを始めております。本件についても、個人や職場の問題としてではなく、個人や職場が不正を行わざるを得なかった会社全体の問題としてとらえ、ダイハツと共に現場の声に耳を傾けながら、丁寧に対応してまいります」。

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今回、国内向けのロッキーHEV、ライズHEVのユーザーの安全性に関する不安を払拭するために、即日社内試験を実施し、安全基準をすべて満たしていることを発表したわけだが、まだ認証当局の立ち会いで行われたものではない。

とはいえ、今回行われた社内試験においては、法規に定められた安全性に関する基準を満たす結果となったのでひと安心といえるだろう。

結果的に不正を行わずとも、安全基準は満たしていた、ということになったのだが、これはうっかりミスなのか、恣意的に行った不正なのか。

また「運転席側は右側の社内試験データを提出すべきところを左側のデータを提出してしまった理由」についても明らかにされておらず腑に落ちないので、事実関係を早急に究明し、報告してもらいたい。

【画像ギャラリー】ダイハツがロッキーHEVとライズHEVの側面衝突試験で不正行為を行ったのはなぜ?(6枚)

ベストカーWeb

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