「Resizable BAR」の効果をGeForce RTX 30シリーズまとめて検証!人気ゲーム13本でフレームレートを計ってみた

「Resizable BAR」の効果をGeForce RTX 30シリーズまとめて検証!人気ゲーム13本でフレームレートを計ってみた

  • ASCII.jp
  • 更新日:2021/05/01

GeForce RTX 30シリーズの「Resizable BAR」で パフォーマンスはどう変わる?

AMDがRadeon RX 6800シリーズ発表と同時に存在を明らかにした「Smart Access Memory(SAM)」とは、PCI Expressの規格に昔から存在していた「Resizable BAR」を利用し、GPUの描画パフォーマンスを大幅に引き上げた技術だ。CPU→VRAMへのデータ転送におけるボトルネックを減らすことで、転送する描画データが大きいゲームに恩恵がある。

実際、RX 6800シリーズのレビュー前編および後編では、いくつかのゲームにおいてフレームレートの劇的な向上を確認できた。

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AMDがRX 6800シリーズ発表時に出したSAMの構成図。当初はRyzen 5000シリーズ+AMD 500シリーズチップセット+RX 6800シリーズの3つがないと動かないような印象を与えたが、PCI Express規格にあった機能を使っているだけなので、そこまで縛りの厳しい機能ではなかった

Resizable BARをWindows環境で使うには、マザーボード側のBIOSに加えて、GPUそのものもResizable BARに対応している必要がある。

AMDがRX 6800シリーズを発売した当初はチップセットも対応CPUもAMD製の最新モデルに限定されてきたが、その後対応範囲は拡大し、昨年はインテルZ490マザーボードでも対応した(もちろん最新のZ590でも対応済)。つまり、昨年の段階でインテル製CPU+Radeonの組み合わせでもResizable BARは効くようになっていた(参照記事:Intel環境でもRadeon RX 6000シリーズのSmart Access Memoryが使えるのか検証してみた)。

一方NVIDIAだが、この状況を静観していた訳ではない。GeForce RTX 30シリーズでも、Resizable BAR対応video BIOS(vBIOS)に更新することでパフォーマンス向上が期待できるのだ。すでに3月末には、各GPUメーカーからRTX 30シリーズ向けのResizable BAR対応vBIOS配布が始まっている。なお、RTX 3060は出荷時点から対応済みなのでvBIOS更新は必要ない。

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NVIDIAも3月30日にRTX 30シリーズがResizable BARに対応するという内容のニュースをアップした

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NVIDIAの発表後、各GPUメーカーが自社製RTX 30シリーズ搭載ビデオカードでResizable BARに対応するvBIOSの提供を開始した。画像はASUS製「ROG-STRIX-RTX 3080-O11G-GAMING」用のvBIOSアップデーターのDL画面。言うまでもないが、異なるメーカーや異なる製品向けのアップデーターを利用するのは絶対に止めておこう

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マザーボードのBIOSもResizable BAR対応BIOSに更新しておこう。図はGIGABYTE「X570 AORUS MASTER」のBIOSだが、バージョンF32でResizable BAR(ここではRe-Size barと表記)対応となる。USB周りの不具合を解消したF33iはF32の内容も含まれているので、適用するならF33iの方が好ましい

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図はRTX 30シリーズのFounders Edition向けのvBIOS書き換えツール。アプリを開くとコマンドプロンプトが出現するが、テキストを読み進めていくだけで更新そのものはすぐ終わる。ただ、更新作業中にPCの電源を切ったり、停電したりするとそのビデオカードは高確率で故障するので十分注意しよう

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Resizable BARを利用するには、GeForce 465.89以降のドライバーも組み込んでおこう。NVIDIAコントロールパネルの“システム情報”もしくは「GPU-Z」の画面上でResizable BARの項目(赤枠で囲んだ部分)が「はい」または「Enabled」になればOKだ

そこで今回は、RTX 30シリーズでResizable BARを利用すると、ゲームのパフォーマンスはどのように変化するか検証してみた。RTX 3060のファーストレビューでは精彩を欠く印象しかなかったGeForceのResizable BARだが、上位GeForceでは様子が違う可能性がある。Resizable BARはRTX 30シリーズに新たな覚醒をもたらすのだろうか? 様々なゲームで検証してみたい。

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発売当初からその性能の高さ(&消費電力も)が話題になったRTX 30シリーズだが、Resizable BAR対応にすることで、さらに覚醒ステージに入る可能性を秘めている。ただし、どんな状況でも有効、という訳ではなさそうだが……

Resizable BARの利用要件と対応ゲームは?

ここで改めてRTX 30シリーズのResizable BARを利用するための要件をまとめておこう。若干の例外はあるものの、概ね以下の通りになっている。

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RTX 30シリーズのResizable BARを利用するための要件。CPUとマザーボードの要件はRX 6000シリーズと同じだ

2021年4月時点では上の通りとなっている。ただしRyzen 3000シリーズのうち、GPUを内蔵したRyzen 3000Gシリーズは中身がZen+世代なのでResizable BARには対応しない。

AMDの300シリーズチップセット用にResizable BAR対応BIOSが出ているマザーボードもあるが、旧世代チップセットということで全メーカーで対応している訳ではない。Resizable BARはPCI Expressの仕様を利用した機能だが、ある程度新しいCPUやチップセットである必要がある。

そして、本稿のテーマであるRTX 30シリーズのResizable BAR対応によってゲームの性能向上があるかないかに関しては、既にNVIDIAが検証を行ない、効果のあるゲームのリストを挙げている。下のリストは2021年3月末の時点で、NVIDIAによって確認されたResizable BAR対応ゲームである。

Assassin's Creed Valhalla

Battlefield V

Borderlands 3

Control

Cyberpunk 2077

Death Stranding

DIRT 5

F1 2020

Forza Horizon 4

Gears 5

Godfall

HITMAN 2

HITMAN 3

Horizon Zero Dawn

Metro Exodus

Red Dead Redemption 2

Watch Dogs: Legion

「Battlefield V」や「Watch Dogs: Legion」はNVIDIA肝いりのゲームだが、「Assassin's Creed Valhalla」や「DIRT 5」のように、起動時にAMDロゴが出るようなゲームもある。ゲームの設計上でより効く・効かないが分かれているのであって、特にゲームの“派閥”的なものとは関係ないようだ。

また、NVIDIAによれば、Resizable BARによって逆効果になるゲームも中には存在するという。ただ、そういうゲームの場合はドライバー側でResizable BARは無効化されるとのこと(ただし、そのゲームが何か、までは教えてくれなかった)。とりあえずはマザーボードのBIOSでResizable BARを有効化し、RTX 30シリーズもvBIOS更新しておけばいい、程度の考えで良さそうだ。

RTX 30シリーズ全モデルで検証!

それでは検証に入ろう。まずは検証環境の紹介からだ。CPUはいつものRyzen 9 5950XにX570マザーボード、ビデオカードはRTX 3060~3090まで全て用意した。基本的に全てFounders Edition(FE)で用意したが、RTX 3060はFEが存在しないため、RTX 3060ファーストレビュー時に使用したZOTAC製カード「ZOTAC GAMING GeForce RTX 3060 Twin Edge OC」を使用している。

ドライバーは前述の通りGeForce 465.89。Resizable BAR対応をBIOSで有効化した場合と無効化した場合で、各ゲームのフルHD(1920×1080ドット)、WQHD(2560×1440ドット)、4K(3840×2160ドット)解像度でのフレームレートを比較する。グラフ中では、有効化した場合はGPU型番の後に“@ReBAR”と表記し、無効化時はGPU型番のみ表記している。

RX 6000シリーズほどの効果はなかった 「Assassin's Creed Valhalla」

まずはRX 6800シリーズレビュー時にResizable BARの絶大なる効果が確認できた「Assassin's Creed Valhalla」から検証をスタートしよう。画質は“最大”とし、ゲーム内ベンチマーク機能を利用してフレームレートを計測した。

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「Assassin's Creed Valhalla」1920×1080ドット時のフレームレート

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「Assassin's Creed Valhalla」2560×1440ドット時のフレームレート

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「Assassin's Creed Valhalla」3840×2160ドット時のフレームレート

RX 6800シリーズでは平均fpsが2ケタ%伸びたゲームだったが、RTX 30シリーズでは最高でも7.5%前後しか伸びていない。もともと起動時にAMDのロゴが出るゲームであるため、最適化が進んでいるとも考えられるし、RX 6800シリーズのInfinity CacheとResizable BARの組み合わせが極めて有効だと言うこともできる。

また、GPUの上位/下位の違いという観点で眺めてみると、RTX 3060だとフルHDで平均fpsが2fps(3%)と小さいが、RTX 3080だと7fps(7.5%)伸びるなど、上位GPUほどResizable BARの恩恵が強くなることが示されている。RTX 3060のファーストレビュー時はRTX 3060のResizable BARの効かなさ加減に軽く失望した記憶があるが、GPUのスペック不足に原因があることがここで判明した。

デメリットも観測された「Borderlands 3」

続いては「Borderlands 3」で試してみよう。APIはDirectX 12、画質“バッドアス”に設定。内蔵ベンチマーク機能を利用してフレームレートを計測し、出力されたフレームレートログを分析した結果で比較する。

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「Borderlands 3」DirectX 12、1920×1080ドット時のフレームレート

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「Borderlands 3」DirectX 12、2560×1440ドット時のフレームレート

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「Borderlands 3」DirectX 12、3840×2160ドット時のフレームレート

Resizable BAR有効化の恩恵は、どのGPUでも平均fpsの慎ましい伸び(多くて4%前後)となって現れた。しかし最低fps(1パーセンタイル点)は、逆にResizable BARを有効にした時の方が下がってしまった。平均fpsの引き上げよりもカクつきを抑制したいなら、Resizable BARは無効にした方が良いようだ。

Resizable BARで上位GPUを超える性能が観測できた「F1 2020」

「F1 2020」もResizable BARが有効と判定されたゲームなので、これも検証に組み込んでみた。画質は“Ultra High”、アンチエイリアスは“TAA”、異方性フィルタリング“16X”に設定。ゲーム内ベンチマーク機能を利用してフレームレートを計測する。

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「F1 2020」1920×1080ドット時のフレームレート

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「F1 2020」2560×1440ドット時のフレームレート

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「F1 2020」3840×2160ドット時のフレームレート

Assassin's Creed ValhallaやBorderlands 3まではResizable BARがあっても低迷感があったが、このF1 2020ではどのGPUも驚くべきパフォーマンスゲインを果たしている。特に注目すべきは、Resizable BARを効かせると、Resizable BARを無効にした1ランク上のGPUの平均fpsに並ぶどころか、上位GPUでは上回ることもあると言う点だろう。

例外はRTX 3060で、このGPUの場合はResizable BARを効かせてもRTX 3060 Ti FEに並んでいないが、これはメモリーバス幅も狭く、CUDAコア数も少ないエントリー寄りGPUならではの制約といえる。

また、フルHDならほとんどのGPU(RTX 3090 FEを除く)で平均fpsが11~17%弱伸びており、WQHDではRTX 3070 FE以上のGPUで10%以上平均fpsが伸びている。RTX 3090 FEのフルHDで平均fpsの向上が鈍いのは、恐らく負荷が低すぎるためだろう。

ともあれ、GeForce環境におけるResizable BARでも、ゲームエンジンとのかみ合わせが良ければ、フレームレートが全体に大きく伸びる例が確認できたのは収穫といえるだろう。

「HITMAN 3」もよく伸びた

次は「HITMAN 3」を利用する。画質は各設定を最高にセットし、ゲーム内ベンチマークの“Dartmoor”を起動。ただ最低fpsがベンチ開始直後の数秒間に局限して発生するうえにGPUの差異が見えなくなるほど激しく下落するため、「CapFrameX」を利用して平均および1パーセンタイル点のフレームレートを計測する。

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「HITMAN 3」1920×1080ドット時のフレームレート

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「HITMAN 3」2560×1440ドット時のフレームレート

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「HITMAN 3」3840×2160ドット時のフレームレート

このゲームもフルHDであれば、Resizable BARを効かせた下位GPUが、Resizable BARを無効にした上位GPUを平均fpsで上回るのを期待できると分かった。F1 2020と違うのは、今回一番下のRTX 3060であっても、RTX 3060 Ti FEに肩を並べることができる点にある。Resizable BARを有効活用するゲームが増えれば、下位GPUの価値ももっと高まることは確実だ。

もう少し細部に目をむけると、フルHDではRTX 3060 Ti FEで平均fpsが13%弱向上しているが、RTX 3080 FEでは2%程度しか伸びていないので、結果がブレやすいベンチマークといえる。WQHD以上の解像度ではどのGPUも4~8%伸びており、HITMAN 3ではResizable BARは一様に効果が期待できるといえるだろう。

一方、最低fpsはかなりブレているが、4K時のみ最低fpsがどのGPUでも伸びていることが分かる。

上位GPUほど旨みがあった「Horizon Zero Dawn」

次は「Horizon Zero Dawn」で試してみる。画質は“最高画質”とし、ゲーム内ベンチマーク機能を利用してフレームレートを計測した。

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「Horizon Zero Dawn」1920×1080ドット時のフレームレート

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「Horizon Zero Dawn」2560×1440ドット時のフレームレート

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「Horizon Zero Dawn」3840×2160ドット時のフレームレート

このHorizon Zero Dawnは、まず4K時のグラフに注目してみよう。RTX 3090 FEはやや例外だが、それより下のGPUの間には容易に乗り越えがたい壁があるように見える。

解像度を下げていくとその壁も低くなり、フルHDならばResizable BARによって下位GPUが上位GPUを逆転する目も生まれてくる。だが、WQHDや4KではGPUの地力がモノを言うため、Resizable BARの価値は相対的に低くなるようだ。

平均fpsの伸び幅に注目すると、フルHDでは4~9%ほど平均fpsが伸びるが、解像度が高くなるにつれて伸びが鈍くなり、4Kでは効果なし~最大4%強程度にまで下がる。

平均fpsは劇的に伸びる「Red Dead Redemption 2」

描画の重さではAssassin's Creed ValhallaやHorizon Zero Dawnに負けていない「Red Dead Redemption 2」も、Resizable BARの恩恵があるとされているゲームだ。画質を左右する精密度は最大に設定し、ゲーム内ベンチマーク機能を利用してフレームレートを計測する。

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「Red Dead Redemption 2」1920×1080ドット時のフレームレート

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「Red Dead Redemption 2」2560×1440ドット時のフレームレート

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「Red Dead Redemption 2」3840×2160ドット時のフレームレート

基本的にこの手のフレームレート計測は、最低3回計測して平均/最低fpsで中央値(Median)を出した時のデータを採用しているが、このタイトルに限っては3回のトライで最低fpsが最も伸びた時のデータを採用している。

その理由は、コア数の多いCPU環境では最低fpsが激しくブレるからだ。ベンチマークの尺も長く、トライできる時間も限られたためこういう結果になった。そのため最低fpsはあくまで参考値として見ていただきたい(あえて省略するのもわざとらしいので、データは削除せずに記載している)。

前置きはこの辺にしておくと、RTX 3080およびRTX 3090におけるフルHD~WQHDでの伸びが飛び抜けて高い一方で、RTX 3070以下の下位モデルはどの解像度でも微々たる差、もしくは逆にResizable BAR無効時よりもわずかに下がるという結果が得られた。

最低fpsはブレまくっても平均fpsのブレはさほど大きくないベンチではあるので、傾向としてはメモリーバスが広くCUDAコア数がある程度多いGPUでないと、Resizable BARの効果が発揮できないようだ。

DXR/DLSSの有無も比較する「Cyberpunk 2077」

さて、ここからはDirectX Raytracing(DXR)対応ゲームでResizable BARがどう影響するか調べてみよう。ただDXRを有効にするとRTコアがボトルネックになり、結果として差異が帳消しになってしまう可能性もある。そこで、DXR有効時には描画負荷を軽減するDLSSも有効化した。DXRを使わない状態と、DXR+DLSSを有効にした状態で検証してみる。

1つ目は「Cyberpunk 2077」で検証しよう。まずはDXRを使わない“ウルトラ”設定で検証する。群衆密度も最高に設定した。マップ内の特定ルートを移動した際のフレームレートを「CapFrameX」を使用して測定している。

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「Cyberpunk 2077」1920×1080ドット時のフレームレート

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「Cyberpunk 2077」2560×1440ドット時のフレームレート

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「Cyberpunk 2077」3840×2160ドット時のフレームレート

平均fpsに注目すると、基本的にどのGPUでも伸びてはいる。フルHDで最も伸びたのはRTX 3080で最大6%弱、逆に最も伸びなかったのはRTX 3060の1.7%。4Kになると1%伸びれば良い方で、逆に下がることもある。ただ手動計測であることと、群衆や車の密度がランダムに変わるため、ある程度の誤差はある点はご容赦いただきたい。

続いてはDXRを有効にした時のパフォーマンス比較といこう。画質“レイトレーシング:ウルトラ”をベースに、DLSS“パフォーマンス”を明示的に追加した。それ以外の設定や検証方法は前と共通である。

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「Cyberpunk 2077」1920×1080ドット時のフレームレート

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「Cyberpunk 2077」2560×1440ドット時のフレームレート

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「Cyberpunk 2077」3840×2160ドット時のフレームレート

フルHDでは概ね3~6%程度平均fpsが伸びるが、解像度が上がるほどに恩恵は減ってゆく。DLSSは“パフォーマンス”なので内部的には解像度の半分でレンダリングし、それをAIでアップスケールしているが、Tensorコアのボトルネックが発生しやすいフルHDでも恩恵が得られるのはとても良いことだ。

「DIRT 5」ではWQHDでないとメリットはない?

続いては「DIRT 5」で試してみよう。3月末のアップデートでエンジンに手が入り、DXRを利用した影の表現と、FidelityFXを利用したアンビエントオクルージョン(AO)が利用可能になった。

まずはDXRやFidelityFXは除外し、これまで利用可能だった設定のみで検証する。画質は“Ultra High”とし、動的解像度設定は無効とした。内蔵ベンチマーク機能を利用してフレームレートを計測する。

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「DIRT 5」1920×1080ドット時のフレームレート

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「DIRT 5」2560×1440ドット時のフレームレート

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「DIRT 5」3840×2160ドット時のフレームレート

全体傾向としては、Horizon Zero Dawnの4Kで見られた、GPUヒエラルキーの間に見えない壁が立ちはだかっているようなグラフになった。フルHDでは5種類のGPU中4つでResizable BAR有効時の平均fpsがマイナスに、残る1つも1%に満たない増加となった。

しかし、WQHDになるとRTX 3080 FEで5.7%伸びる。Resizable BARでフレームレートが伸びるGPUはRTX 3080より上という印象だ。ただ、4KになるとWQHDよりも効果が減るどころか、わずかにマイナスになるGPUも出てくる。

唯一4Kでフレームレートを大きく伸ばしているのはRTX 3090のみであるため、メモリーバス幅がある程度太くないとDIRT 5ではResizable BARの恩恵に浴することができないと示唆される。

ではDXRを有効化し、さらにFidelityFX AO“Ultra High”も追加した最高画質設定でのパフォーマンスもチェックしよう。

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「DIRT 5」DXR/FidelityFX AOあり、1920×1080ドット時のフレームレート

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「DIRT 5」DXR/FidelityFX AOあり、2560×1440ドット時のフレームレート

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「DIRT 5」DXR/FidelityFX AOあり、3840×2160ドット時のフレームレート

今度はフルHDでほとんどのGPUにおいて平均fpsの上昇が確認でき、WQHD→4KとなるにつれResizable BARがマイナス効果を生む傾向があることが確認できた。ひとくちにDXR有効時といっても、ゲームエンジンの設計次第でResizable BARの価値は異なる傾向を見せるのが面白い。

DXR&DLSS利用時でも最大32%伸びた 「Watch Dogs: Legion」

最後に「Watch Dogs: Legion」で検証してみよう。APIはDirectX 12とし、画質“最大”をベースに、精密度100%を追加した。内蔵ベンチマーク機能を利用してフレームレートを計測する。

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「Watch Dogs: Legion」1920×1080ドット時のフレームレート

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「Watch Dogs: Legion」2560×1440ドット時のフレームレート

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「Watch Dogs: Legion」3840×2160ドット時のフレームレート

平均fpsの上昇率は、F1 2020以上の数値を見せている。フルHDではRTX 3060 Ti FE以上で2ケタ%の伸びをみせているが、GPUの格があがるほどにResizable BARの効果も強まっている。

RTX 3070 FEで平均fpsは10%伸びているが、RTX 3090 FEならば約12%だ。解像度が高まるとResizable BAR有効時の伸びも鈍くなるが、RTX 3060のような下位GPUでも(1~2fpsとはいえ)伸びている。

だが平均fps以上に注目したいのが、最低fps(下位1パーセンタイル点)がResizable BAR有効時に著しく向上している点だ。RTX 3080 FEではフルHD~WQHDで50%前後、RTX 3060 Ti FEでもフルHDなら約32%伸びているのはかなり大きい。

とはいえ、メモリー帯域がボトルネックになるせいか、WQHD以上ではRTX 3080以上でないと最低fpsの伸びが衰える。CUDAコア数の違いはもちろんだが、メモリーバス幅の太さやGDDR6Xの存在などが大きく影響していると考えられる。

次は画質“最大”+精密度100%にレイトレーシングは全て“最大”+DLSS“高性能”設定を追加した時のパフォーマンスも見てみよう。

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「Watch Dogs: Legion」DXR&DLSSあり、1920×1080ドット時のフレームレート

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「Watch Dogs: Legion」DXR&DLSSあり、2560×1440ドット時のフレームレート

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「Watch Dogs: Legion」DXR&DLSSあり、3840×2160ドット時のフレームレート

DXRを有効化すると負荷が増すので、Resizable BARの効果も減ると考えていたが、その予想は完全に誤りだった。DXRを使わない時以上に平均fpsも伸びているし、最低fpsの底上げ効果も健在だ。特にRTX 3090 FEの平均フレームレートは、フルHD時に約32%、4Kでも14%強伸びている点に注目したい。

RTX 3060 Ti FEやRTX 3070 FEといったメモリーバス幅256bitのGPUでは、WQHDでも平均fpsが10~11%伸びているので、どうやらメモリーバス幅の太さがResizable BARの効果を左右する(CPU→VRAMへの転送に影響する機能だから当然といえるが)ことがわかる。

Resizable BARが仇になった「Rainbow Six Siege」

最後に紹介する「Rainbow Six Siege」は、NVIDIAの“Resizable BAR効果有りゲーム”リストにはないゲームだ。この理屈だとResizable BARを有効化しても性能は変わらないと読めるが、今回試しに回してみたら意外な結果が出たので紹介したい。

検証条件はいつもの通り、APIはVulkan、画質は“最高”をベースにレンダースケール100%を追加。ゲーム内ベンチマーク機能を利用してフレームレートを計測した。

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「Rainbow Six Siege」Vulkan、1920×1080ドット時のフレームレート

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「Rainbow Six Siege」Vulkan、2560×1440ドット時のフレームレート

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「Rainbow Six Siege」Vulkan、3840×2160ドット時のフレームレート

まず、Resizable BARを有効にすると、最低fpsの落ち込みが劇的に改善されている点に注目したい。最低fpsが大きく落ち込むのは、しばらく前から筆者を悩ませていた問題で、RyzenのAGESA 1.2.0.0以降のBIOS+RTX 30シリーズの環境でRainbow Six Siege(Vulkan)のベンチマークを起動すると、開始直後の数秒間激しいスタッターが出るのが原因だ。

RTX 30シリーズでもインテル製CPU+チップセットの組み合わせや、CPUがRyzenでもGPUがRadeonならスタッターは発生しない。いわゆる“おま環”(おまえの環境依存)問題を完全に棄却できるほどデータが集まっている訳ではないが、RTX 30シリーズでもResizable BARを有効にするとスタッターは出ず、最低fpsが伸びた。悩みの種の1つが解消されたことは素直に喜びたい。

しかし、新たな悩みの種も誕生した。フルHDやWQHDでは順当な性能(平均fpsはほとんど変化しない)だが、4Kになると平均fpsが全く伸びなくなる。先のBorderlands 3と似たような現象だが、こちらの方は4Kで特異的に発生するパフォーマンスダウンだ。

詳しいメカニズムまでは不明だが、Resizable BARの何かが悪さをしているのは明らかだ。ただ、Rainbow Six Siegeは今シーズンから画質設定周りの挙動がおかしく(具体的には今までの“最高”設定と今シーズンの“最高”設定でconfigファイルの内容が微妙に違う)なっており、このあたりも影響している可能性がある。今後の動向に注目したい。

まとめ:ごく一部でデメリットはあるものの、Resizable BARは RTX 30シリーズの描画パフォーマンスを劇的に改善する

以上で検証は終了だ。今回はNVIDIAの事前検証で「Resizable BAR効果あり」と判明しているゲームを中心に検証した。

ひとくちに効くといっても、Assassin's Creed Valhallaのように平均fpsが数fps上がる程度のものから、F1 2020やWatch Dogs: Legionのように2ケタ%の伸びを示すものまで様々だった。なかにはBorderlands 3やRainbow Six Siegeのように、特定条件では微妙にデメリットが出るタイトルもある。

ゲームによってはResizable BARを有効化することで上位GPUをも食える性能になる点を考えれれば、筆者の感触としてはもう常時有効で良いのではないかと感じた。特に、RTX 3080や3090など基本スペックの高いGPUほどResizable BARの恩恵は強力になる。

RTX 30シリーズ搭載ビデオカードをお持ちなら、CPUやマザーボードを変えてでもResizable BARを有効にする価値があるといえるだろう。

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各ゲームとGPUの組み合わせにおいて、平均fpsがResizable BAR無効時に比べどの程度上がった(下がった)かを%でまとめてみた。各マスに入っている3つの数値は、上からフルHD/WQHD/4K時の伸び幅を示している

■関連サイト

NVIDIA GeForce RTX 30シリーズ

加藤勝明(KTU) 編集● ジサトラユージ/ASCII

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