米フィギュア界「悪役」の実話 壮絶人生描く話題作

  • 日刊スポーツ
  • 更新日:2018/02/13

トーニャ・ハーディング(1994年2月撮影)

平昌冬季五輪(ピョンチャンオリンピック)が開幕しましたが、ハリウッドでは昨年末に公開された実在する五輪フィギュアスケーターを題材にした映画「アイ、トーニャ 史上最大のスキャンダル(原題:アイ、トーニャ)」が評判です。1994年のリルハンメル五輪直前にライバルだったナンシー・ケリガンを襲撃したとしてフィギュアスケート界から追放されたトーニャ・ハーディングの半生を描いた作品ですが、日本でも大きな注目を集めた五輪史に残る「ナンシー・ケリガン襲撃事件」を覚えていらしゃる方も多いのでは?

まずは、ご存知ない方のために事件について簡単におさらいします。ハーディングと熾烈な代表争いを繰り広げていた前大会のメダリスト、ケリガンが五輪代表選考会を兼ねた全米選手権の会場で練習後に何者かに殴打されて膝を負傷し、試合を欠場。ハーディングは五輪代表切符を手にしましたが、その後にハーディングの元夫らが襲撃事件の容疑者として逮捕されるという前代未聞のスキャンダルに発展します。ハーディングの関与が噂されるも、代表の座にとどまり続けて五輪に出場。けがから回復して特例で五輪出場を決めたケリガンは銀メダルに輝いたが、ハーディングは8位に終わりました。その後、元夫の襲撃を知りながら通報しなかった捜査妨害の罪を認める司法取引に応じ、保護観察3年と500時間の奉仕活動などを受け入れたことで、フィギュアスケート界から追放され、その後はプロボクサーに転身。すっかり「悪役」のイメージがついたハーディングは、ボクサーとしても成功することはできず、恋人への暴行容疑で逮捕されるなど転落の人生を歩むこととなったのです。

ハーディングの壮絶な人生をドキュメンタリータッチで描いた本作は、「ザ・ブリザード」(16年)などで知られるクレイグ・ギレスピー監督がメガホンをとり、「スーサイド・スクワッド」(16年)でハーレイ・クイン役を演じてブレイクしたマーゴット・ロビーがハーディングを演じています。9月に発表されたトロント国際映画祭では最高賞にあたる観客賞の次点に輝き、ゴールデン・グローブ賞でも作品賞、主演女優、助演女優賞の3部門にノミネートされ、ハーディングの母親を演じたアリソン・ジャネイが見事に助演女優賞を受賞。来月4日に発表されるアカデミー賞でも主演女優賞と助演女優賞にWノミネートされている他、編集賞にも名を連ねています。

1991年の全米選手権でアメリカ人として史上初めてトリプルアクセルを成功させ、世界では伊藤みどりに続いて史上2人目という栄光を手にして順風満帆のキャリアを歩んでいたハーディングが、なぜ五輪の予選を前にライバルを襲撃して出場不能に追い込んだのか。そこには、幼い頃から罵倒を浴びせて虐待してきた鬼母の存在があったことが描かれています。全米を騒然とさせたスキャンダルをブラックユーモアたっぷりにテンポ良く描いた本作は、美しく優雅な氷上の競技の裏で実際には美しさとはかけ離れた醜い争いが繰り広げられているという皮肉がたっぷり。賛否両論はあると思いますが、ハーディングの気の強さや貧しい家庭から這い上がって五輪出場を手にする根性など、彼女の芯の強さやその生きざまは多くの人の心に訴えるものがあります。スケーティングはもちろんのこと、話し方や立ち振る舞いまで完全に彼女をコピーし、少女時代から太った現在までを熱演したロビーの演技はもちろんですが、トレーナーでもある鬼母ラヴォナの強烈なキャラクターを見事に演じたジャネイは全米映画俳優組合賞、放送映画批評家協会賞などを総なめにしており、その怪演ぶりも注目です。全米で大ヒットを記録中の本作は、日本では5月4日に公開予定です。

【千歳香奈子】(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「ハリウッド直送便」)

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