ロシアに続き米国もネバダ砂漠で"核実験" 緊張高まるNATOとロシア、核戦争の危険性も

ロシアに続き米国もネバダ砂漠で"核実験" 緊張高まるNATOとロシア、核戦争の危険性も

  • JBpress
  • 更新日:2016/10/19
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米空軍が公開した、B52爆撃機の後継となる次世代爆撃機B21〔 AFPBB News 〕

10月初旬、米ネバダ州にあるネバダ国家安全保障施設に2つの爆弾が投下された。日本のメディアではほとんど報道されていない。

爆弾は「本来」、核爆弾であるはずだった。だが1993年以降、米国は爆発を伴った核実験を行っていないので、今回は仮の核爆弾ということになっている。

それでも、「核なき世界」を目指しているはずのバラク・オバマ大統領が、なぜ核兵器へのこだわりを捨てていないのだろうか。

米軍事専門メディアは「米軍がネバダ砂漠に仮の核爆弾を2発投下」と報じ、今回の爆弾投下の真意を探っている。

新型爆撃機B-2Aが爆弾投下

実験に使われたネバダ国家安全保障施設というのは、2010年までネバダ核実験場と呼ばれた場所である。ラスベガスから北西に約100キロ行った砂漠地帯で、鳥取県とほぼ同じ面積がある。

1992年に包括的核実験禁止条約が締結されたことで、同地での核実験は行われなくなったが、51年から92年までに900回以上(約9割が地下核実験)の実験が行われている。

その地の上空に姿を見せたのは、米空軍に所属する戦略爆撃機「B-2A」。垂直尾翼と水平尾翼がない、水中を泳ぐエイのような形状の機体で「スピリット」という愛称がある。

2機のスピリットは700ポンド(約317キロ)の爆弾を1個ずつ投下した。1つは「B61-7」、別の1個は「B61-11」と呼ばれており両爆弾とも戦術核兵器として使用される。

爆弾の開発はエネルギー省国家核安全保障局(NNSA)が担当しており、爆弾投下後にプレスリリースを発表している。

「両爆弾は仮の爆弾であり、核物質は含まれていません。実験は見事に成功を収め、性能を計測するためのセンサーと計測器は確かな数値を示しています。今回の実験目的は核兵器の保証期間を確かめることと、現在開発中の爆弾の耐久性、正確性、性能を検証することでした」

核物質が含まれていないはずだが、どこまで必要なデータが収集できるのかは定かではない。9月に当欄で、オバマ政権が新型核兵器「B61-12」を400個も開発・製造する予定で、連邦予算を約110億ドル(約1兆1330億円)も割くと述べた(「米国が新型核兵器投入、開発配備に1兆1000億円」)。

実は今回の実験も、新型爆弾への助走と考えられる。

NNSAの高官であるマイケル・ルットン氏は「米国は常に核戦略を3本柱(戦略爆撃機、大陸間弾道弾、潜水艦発射弾道弾)で整備しておく必要があります。B61はその中でも中心的な役割を担っていて、今回の実験はNNSAがどれだけ核兵器システムに前向きな姿勢でいるかの証です」と、米政府がいかに新型核爆弾の開発に前向きかを語った。

ただなぜいま、実験をする必要があったのか。

ロシア、NATOで高まる緊張

ネバダ砂漠での実験直後、「エアフォース・タイムズ」という米空軍の事情を伝える週刊誌はこう分析する。

「ロシアとNATO(北大西洋条約機構)の緊張が高まっている。しかも核兵器を使ったイザコザが起こる可能性が増しているので、核兵器実験はたいへん重要である」

日本ではいま、ロシアとの関係は悪化というより良好な方向に進みつつある。12月にウラジーミル・プーチン大統領が訪日することもある。だがロシアとNATOの関係はむしろ逆で、戦争に発展しても不思議ではない「新たな緊張関係」が生じている。

日本国内で大きく報道されないのが不思議なくらいである。緊張の度合いは冷戦終結以来、最も高いレベルとさえ言われている。

米軍の業界誌「ディフェンス・ワン」の記者であるマーカス・ワイズガーバー氏は書いている。「ロシアとの緊張関係が増していることが、今回の実験の背景にあっても不思議ではない。むしろNATOとの緊張が新たな核兵器レースの始まりを予感させもする」

発端はもちろんロシアが2014年3月にクリミア半島を軍事的に併合したことにある。米国をはじめ、西側諸国はプーチン大統領の強権的な軍事行動を読めていなかったばかりか、軍事力で対抗する選択肢を取らなかった。

ロシアの不穏な動きはそれで収まったわけではない。みずから緊張を増長するような言動をとっている。

例えば2015年3月、デンマーク政府に対し、「デンマークが米国主導のミサイル防衛計画(MD)に参加するならば、デンマークの艦船はロシアの核ミサイルの標的になる」と脅している。

リトアニアではロシアからの軍事的緊張を日常的に感じていることから昨年、7年ぶりに徴兵制を復活させている。

オバマ政権誕生後、本来であれば、米ロは核兵器の削減に尽力しなくてはいけなかった。それがオバマ大統領の目指した「核なき世界」のはずだった。しかし現実は違う。

米国で新たなICBM開発も

米国が保有する核弾頭の個数は今春の数字で1750発、ロシアが1790発。新戦略兵器削減条約(新START)は現在、交渉が進んでおらず停滞したままだ。

今年10月に入り、ロシア軍は原子力潜水艦などから核弾頭搭載可能な弾道ミサイルを1日に3発試射する軍事演習を行っている。それに呼応するように、米国でも新たな大陸間弾道ミサイル(ICBM)の建造の必要性が叫ばれている。新STARTとは全く逆の流れである。

すでに具体的に練られた計画があり、航空機・軍事機器メーカーのボーイングが「ミニットマンIII」を新しいICBMに置き換える可能性さえあるという。

ただ反対意見も根強く、コストがかさむばかりか反核の流れと逆行するため、ウィリアム・ペリー元国防長官などは「置き換えの必要はない」と主張している。

一方、米空軍核兵器センターのスコット・ジャンソン准将は戦略核兵器を推す立場にあり、「核の抑止力の効力を保つためには、米国は新しいICBMの製造を進めていくべき」と述べている。

ペンタゴンの中にも軍縮派と軍拡派がいるわけだが、現在はオバマ大統領の表向きの政策とは逆の方向に動いているのが現実のようだ。

つまり冒頭で紹介したB61シリーズの新型爆弾の開発・製造と同時に、長距離弾道ミサイルの新たな導入が本当に始まることになりかねないのだ。そうなると、米ロは核兵器を主体にした新たな軍拡競争へと進むことになる。

いつの時代も有事への備えをしておくことは重要である。最悪のシナリオを想定しておくことも必要だが、被爆国の日本としては通常兵器の戦争だけでなく核兵器による交戦を回避する努力を世界レベルで行う義務がある。

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