NFLのイーグルスを救え!“呪い”を封じるために行われた儀式とは?

NFLのイーグルスを救え!“呪い”を封じるために行われた儀式とは?

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  • 更新日:2017/12/06

【高柳昌弥のスポーツ・イン・USA】17世紀にフィラデルフィア市を建設してペンシルベニア州を整備したのは英国のウィリアム・ペン。なので1901年に完成した市庁舎の屋上には彼の銅像が立っている。そしていつしか、「銅像より高い建物を市内に造ってはいけない」という紳士協定ができあがった。

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イーグルスをけん引するQBウェンツ(AP)

その不文律?が破られたのは1987年。ホテルや商業施設、そして住居などが入った複合ビルの「ワン・リバティ・プレイス」が完成した時だった。63階建てで高さは288メートル。市庁舎のはるか上に屋上はあった。そしてここから「ビリー(ウィリアムの愛称)ペンの呪い」という言葉がフィラデルフィア市内に浸透していく。

同市には大リーグのフィリーズ、NFLのイーグルス、NBAの76ers、NHLのフライヤーズといった北米4大スポーツのチームがすべてそろっているが、「ワン・リバティ・プレイス」の完成後、どのチームもリーグ制覇ができなかった。

そこで、その呪いを解くため、2007年にこのビルの屋上に「ビリー・ペン」のレプリカの銅像が設置された。すると翌年にフィリーズがワールドシリーズを制覇。ついにフィラデルフィア市民は問題を解決する方法を見つけたのだった。めでたし、めでたし…。

いや、喜んでいられたのもほんのわずかな間だった。2008年6月6日。なんと「ワン・リバティ・プレイス」より54メートル高い「コムキャスト・センター」が完成してしまったのだ。

案の定?これを機にフィラデルフィアのチームは低迷と迷走を続ける。「ビリー・ペンの呪い」がよみがえったとフィラデルフィア市民は騒ぎ始めた。

そして2017年11月27日。このビルを建設したL・F・ドリスコル社で現場監督補佐を務めているイライアス・チョキフさんが意を決して(責任を感じて?)高層ビルを登ったのである。

最上部の鉄骨の梁(はり)の部分に置いてきたのは高さ20センチほどのビリー・ペンのフィギュア。もともと今月末にセレモニーを行って設置する予定だったが、「待っていられない。その間にまた呪われたらどうするんだ?」と前倒しで業務外の作業を終えてしまった。

理由はNFLイーグルスの快進撃。スーパーボウルに過去2回出場(1981年、2005年)しているが、いずれも敗れたイーグルスは、11月末の時点で9連勝を飾って今季は10勝1敗という好成績を残していた。久々に息を吹き返して悲願のスーパーボウル初制覇に接近中。だから呪い封じはファンにとっては最優先事項だった。

米国のスポーツ界にはいろいろな呪いがある。ベーブ・ルースをヤンキースに放出したばかりに長期にわたって優勝から遠ざかったレッドソックスの「バンビーノ(ベーブ・ルースの愛称)の呪い」やカブスの「ヤギ(ビリー・ゴート)の呪い」は有名だ。そして、今年はフィラデルフィアの「ビリー・ペンの呪い」が注目されていたのだが、その騒動もこれで鎮まるはず…だった。

12月3日。イーグルスは、コムキャスト・センター最上部の梁(はり)にビリー・ペンのフィギュアが設置されてから最初の試合をシアトル(ワシントン州)で行った。結果は10―24でシーホークスに苦杯。今季12試合で2敗目を喫し、所属カンファレンスのNFCでは同率ながらバイキングスに1位の座を譲ってしまった。

プレーオフでの第1シード確保に赤信号が点灯。さて今、イーグルスのファンは何を思っていることだろう。「あれれ?」「なんでやねん?」。かなりの人がぼやいているかもしれない。

彼らには怒られそうだが、物事はなかなかうまくいかないという典型なのかも。そもそも昨季7勝9敗だったイーグルスにいきなり「頂点を目指せ!」と期待するのがちょっと無理なような気がする。

最後にひとつだけフィラデルフィア市民とイーグルスのファンに言わせてもらいたい。ウィリアム・ペンは実に素晴らしい名言を残しているではないですか?

「No pain、No palm(苦痛なくして勝利なし)。No thorn No throne(イバラなくして王座なし)。No gall、No glory(苦難なくして栄光なし)。No cross、No crown(受難なくして王冠なし)」。

優勝に苦労はつきもの。今の状況はそうお考え下さい。レギュラーシーズンの残りは4試合。民主主義の先駆者、ウィリアム・ペンもきっと天国から応援していると思いますよ。(専門委員)

◆高柳 昌弥(たかやなぎ・まさや)1958年、北九州市小倉北区出身。上智大卒。ゴルフ、プロ野球、五輪、NFL、NBAなどを担当。スーパーボウルや、マイケル・ジョーダン全盛時のNBAファイナルなどを取材。50歳以上のシニア・バスケの全国大会に6年連続で出場。

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