60万匹が棲む「Gの部屋」へ!アース製薬研究部の飼育室に潜入

60万匹が棲む「Gの部屋」へ!アース製薬研究部の飼育室に潜入

  • @DIME
  • 更新日:2017/11/13
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部屋でのんびりスマホを見ていたら、背後で何かがカサコソと動く気配が……。振り向くとそこには「ぎゃーっ!」、テラテラと黒光りする姿をしたあの「G」(ゴキブリ)がっ!!

こんなホラーな状況を誰もが一度ならず経験したことがあるはず。暗くなると部屋のどこからともなく現れるGは、いったいどんな生物なのか? その生態を解明するために作られた研究施設が兵庫県赤穂市にあると聞き、さっそく訪れてみた。

■常時100種類の虫を飼育

その施設とは、『ゴキブリホイホイ』や『アースレッド』などの殺虫剤をはじめとした虫対策用品を製造販売するアース製薬の研究所。工場の敷地内にあるガラス張りの建物は、いかにも研究所らしい雰囲気が漂っている。中へと案内されて2階へ上ると、通路の奥に「生物研究棟」の文字とその横に立つ白衣姿の女性が見えた。

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研究所がある建物はオシャレ。でも、中には……。

「ようこそ、アース製薬の研究所へ。ここ生物研究棟の2階にある生物飼育エリアでは、常時100種類ほどの虫を飼育しています」と説明してくれたのは、飼育歴19年を誇る研究開発本部の有吉立課長だ。「育てているのは主に『家屋害虫』と呼ばれる、殺虫の対象になる害虫で、その効果を試すために飼育しています」

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研究開発本部の有吉立課長が生物飼育エリアを案内してくれた。

■大学などの研究機関に虫を譲渡することも

全体的に明るく清潔な雰囲気で、まるで博物館のように飼育された虫や標本が壁面に整然と展示されている。だが、その中をのぞくと生きた虫が動き回っていて、苦手な人でなくても逃げ出したくなる。

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博物館のように害虫を展示。

「ゴキブリだけで22種類、他にも蚊やハエ、アリ、ムカデ、ダニ、ノミなどもそれぞれ種別に育てて、展示もしています。セアカゴケグモのような国に申請が必要な特定外来生物もいますし、大学や他の研究所からいただいて育てている虫などもいます」

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生物飼育エリアで飼われている虫たちの写真。

製品開発のために虫の飼育を行っている殺虫剤メーカーはあるが、これほどの規模の飼育を行っている所は珍しいという。管理が大変というだけでなく、飼育方法が知られていない虫を一から育てる場合も。何度も失敗しながら実績を積み上げてきた。

有吉課長をはじめ5人の社員が飼育を担当。3階の効力試験エリアで試験を行う研究員は別にいて、互いのフロアに入る際には、白衣や靴などは全て着替えるほど気をつかっている。

「万が一、飼育室内に虫が逃げたとしても、虫が死んでしまうので殺虫剤は使えない。だから叩くしかない。おかげでハエを叩くのはめちゃくちゃうまくなりました(笑)」

■珍しい虫も飼育対象に

飼育されている虫は全て研究対象だが、一部例外もある。虫全体に興味を持ってもらえるよう、クワガタやスズムシをはじめ、タランチュラやオオグソクムシなどの珍しい生物も飼育している。

「15年前に建物をリニューアルした際に事業案内につなげるため、デザイン会社と相談しながら展示機能を充実させました。一般公開はしていませんが、校外学習などで子供たちがよく訪れるので、できるだけ楽しくわかりやすい展示にしています」

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明るいショールームのようなスペースも設けられている。

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オオグソクムシのような珍しい生物もいる。

■試験用に様々な種類が必要

肝心の飼育は展示スペースの奥にある部屋で行なわれている。中をのぞかせてもらうと、棚にずらりとケースが並ぶ。その中にGがすくすくと育っているという……。

「ゴキブリは世界で4600種類、日本で58種類いると言われています。家の中でよく見かけるチャバネゴキブリやクロゴキブリ、ワモンゴキブリは、日本の固有種であるヤマトゴキブリを屋外に追い出してしまった。

ここにはクロゴキブリだけで1ケースに400〜500頭いますが、もともと繁殖力がとても旺盛で、通常は成虫になるのに1年かかるところを、飼育室は25〜27度と快適なので半年から8か月で成虫になります。ただし、生息するのは日本と北米だけと言われて。が、原産国は中国南部とも言われています」

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ずらりと並ぶ飼育ケース。餌はペットフードのようなものを与えている。

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世界的に見ると、害虫としてはワモンゴキブリとチャバネゴキぶりの数が多く、中でもチャバネゴキブリは殺虫剤に対して抵抗性遺伝子を持った個体も存在するそうだ。

「抵抗性のついたチャバネの飼育室があり1ケース内に1000〜2000頭ほど育てています。生まれた時は1mmくらいと小さいが、脱皮を繰り返し、成虫になると翅(はね)が生えてそこからは大きくなりません」

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殺虫剤に抵抗性のある種類を分けて育てている。

■これが「Gの部屋」だ!

そこで他にも専用の「ゴキブリ部屋」があるというので、恐る恐る見せてもらった。

「8畳ほどのスペースで約60万匹のワモンを飼育しています。水や餌をあげたり、試験用に外へ持ち出したりするために、1週間に数回は出入りしています。踏んでしまわないようにほうきで掃きながら中に入ります。また、逃げだすのを防ぐため、ドア付近に『ごきぶりホイホイ』を置いはいますが、部屋が快適なのであまり逃げません(笑)」

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身震いfor you。床や壁を覆うGの群れ。

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白いものはカップに入れた水容器。これで水を与えているのは、ゴキブリが溺れないように配慮したため。

■研究の成果で虫嫌いを克服?!

ゴキブリは恐竜より以前から地球に生息していただけあって、その生命力もかなりのもの。温かいところが好きで、20℃以下になると繁殖できないのは、この研究所ではチャバネゴキブリだけ。それゆえ、電子機器などに潜り込み、ショートさせるため電機メーカーにとっては悩みの種になっているとも。

「目は見えてますが人間の視力に置き換えると0.1以下なので、長い触角を頼りに動いて、よくグルーミングしています。叩こうとすると逃げるのは、お尻にハの字状にある尾毛で風を感じているから。それらを切除すると途端に動きが鈍くなります。オスは翅の下に甘露という甘い蜜を出す器官があり、メスになめさせて隙を狙い交尾しますが、見えてないせいか、時々オスがなめている時もあります(笑)」

また、集合フェロモンを出してるため臭いが強く、それも種類によって違いがあるそうだ。「実は私、ワモンとチャバネとクロの臭いをかぎ分けられる特技を持っていて、場所によっては近くを通るだけで『ああ、クロがいるな』とわかります」

そんな有吉課長は、もともと大の虫嫌いだったそうだ。「こればかりはもう慣れですね。展示用にGの拡大写真を撮影することがありますが、どうやって可愛く見せようか、といったことばかり考えるようになりました」

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カワイく撮れてる?

こうした有吉課長の努力により、飼育室を訪れた子どもから「ゴキブリの生態がわかって、怖くなくなった」とお礼を言われることもあるそうだ。そしてもちろん、この飼育がゴキブリの恐怖に対抗できる同社の製品開発に活かされているのは間違いない。

次回は、3階の効力試験エリアに潜入し、どのような製品試験が行われているかなどを紹介する。

取材・文/野々下裕子

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