映画に見る、地球温暖化の脅威~『不都合な真実』シリーズだけでない、知られざるディカプリオ・プロデュース作品

映画に見る、地球温暖化の脅威~『不都合な真実』シリーズだけでない、知られざるディカプリオ・プロデュース作品

  • シネマトゥデイ
  • 更新日:2017/11/12

オスカー受賞作『不都合な真実』から11年を経て、『不都合な真実2:放置された地球』が、まもなく日本公開(11月17日公開)される。続編のアル・ゴア元米副大統領は、明らかに年齢を感じさせるが、それだけに、今もまだ地球温暖化の問題が非常にタイムリーであるという事実が、なんともやりきれない感じだ 。(Yuki Saruwatari / 猿渡由紀)

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アル・ゴア元米副大統領『不都合な真実2:放置された地球』より - (C) 2017 Paramount Pictures. All Rights Reserved.

この続編は、1月のサンダンス映画祭でプレミア上映されたのだが、6月にドナルド・トランプ米大統領がアメリカのパリ協定離脱を発表したことを受けて、アメリカ公開直前に、映画の最後がアップデートされた。トランプのせいによるこの逆戻りは、歯がゆいかぎり。それでも最後に希望をもたせて終わるところは、1作目と同じだ。これもまた断然、見る価値がある作品である。

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『不都合な真実2:放置された地球』より - (C) 2017 Paramount Pictures. All Rights Reserved.

あまり知られていないが、実はこの2本の間に、地球温暖化についてのドキュメンタリーが、もうひとつ製作されている。レオナルド・ディカプリオが出演し、プロデュースも手がけた『The 11th Hour』だ。アメリカ公開は、『不都合な真実』の翌年の2007年。当初は日本でも公開される予定だったが、結局、DVDスルーになってしまった。

内容的には、地球温暖化の原因、今どれだけ深刻な状況にあるか(タイトルのthe 11th hourとは、もうぎりぎりの段階という意味)、自分たちにできることなどを語るもので、『不都合な真実』と重なる部分が大きい。だが『不都合な真実』は、ゴアの講演をかなりの時間、じっくりそのまま見せつつ、 彼が2000年の大統領選で悔しくも負けたこと、彼の姉が肺がんで亡くなったこと、息子が6歳の時に事故に遭ったことなど、彼自身の話を間にはさんでいくもので、ゴアありきの映画だった。

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『不都合な真実』より - Paramount Classics / Photofest / ゲッティ イメージズ

一方『The 11th Hour』は、ディカプリオが出演はするものの、彼はあくまでナレーターであり、大勢の専門家たちのコメントで構成される。出演者は、科学者、教授、ジャーナリストのほか、元CIA長官、司祭、心理学者など。スティーヴン・ホーキング博士も含まれる。

ディカプリオは、『タイタニック』で世界的スターになった頃から環境問題への関心を公にしていた。トヨタがエコカーのプリウスを発売した時に、いち早く購入してもいる。

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環境と絶滅危惧種の保護のために環境保護財団を立ち上げているディカプリオ - Dave J Hogan / Getty Images

筆者は、今作がプレミアされた2007年5月のカンヌ映画祭でディカプリオにインタビューをしている。その時の彼はいつも以上に饒舌で、今作に相当な情熱を持っていることは明らかだった。 「カンヌにいるんだから、もっと楽しめばと自分でも思うよ」と自分で笑っている。彼が何年も前からゴアと親しくしていることは知っていたので、「今作はゴアにも観てもらったのでしょうか?」と聞くと、「ああ、観てもらったよ。彼は気に入ってくれた。彼が言ってくれたのは、良いことばかりだ」と、得意げに語っていた。

この映画の前に、ディカプリオは短編映画を2本作っている。その2本も今回の監督であるライラ・コナーズ・ピーターソンナディア・コナーズと一緒に作ったものだ。「ウェブサイトに、この問題がよくわかる5分のビデオを入れようと思ってやったんだよね。メッセージを伝える上で、それが一番効果的だと思ったから。そこから『本格的な長編映画を作ろうよ』ということになった。僕は環境問題について、少なくとも10年語ってきている。映画という形でこの問題を語ることは、僕にとって避けられない運命だったんだ」。

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ノーベル平和賞を受賞した元ソビエト連邦大統領ミハイル・ゴルバチョフ氏(右)も『The 11th Hour』に出演 - SGranitz / WireImage / Getty Images

こういった商業性の低い映画は、資金集めがきわめて難しい。ディカプリオという大スターが、プロデュースだけでなく出演もすることは大きな助けになったが、つべこべ言われることを避けるために、あえてスタジオやテレビ局からは出資を募らなかった。「自分でもお金を出したし、ほかの人にお願いもした。だけど内容にあれこれ言われたくないから、スタジオやテレビ局のお金はほしくなかったんだ。資金集めは楽しくない。できればやりたくなかったよ(笑)。でも僕はこの映画で、科学者たちをスターにしたかったんだ。僕は問題を知ろうとするひとりの人として登場する。編集過程にも全部関わったし、これは普通の映画とは違うアドベンチャーになったよ」。

お金以外で大変だったのは、これだけ多くの人たちの話をうまくまとめることだった。「出演してくれた人たちは、みんな知識が豊富だし話すのがうまい。そして話す内容は複雑。でもそれを短くカットして編集しないといけないんだよ。それはとても難しかったが、そうすることで観客の感情に語りかけるようにしたかったんだ。内容を浅くすることなくしてね。この人たちと話していく中で、僕自身も新しい発見をたくさんしたよ。ひとつには、この問題がいかに消費と関係しているのかを再確認した。僕らは、石油を土台にした消費社会に生きている。このままではいけない。そして、この方向性を変えるためのテクノロジーは、すでに存在するんだ」。

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ナレーター役のディカプリオ『The 11th Hour』より - Warner Independent / Photofest / ゲッティ イメージズ

環境問題に興味をもつきっかけとなったのは、幼い時に見た熱帯雨林についてのドキュメンタリー。「僕はまだ小さかったんだけど、熱帯林が切られたせいで、そこに住んでいた動物たちの生命が絶たれるというのを見て、僕は悲しくてしかたがなかった」と、ディカプリオは振り返る。

それから何年も経って彼が作り上げたこの映画でも、「僕がそのドキュメンタリーから受けたのと同じような影響を、この映画の観客に与えられることができたら、本当にうれしいね」と環境と生態系の関係は、しっかり語られている。

『不都合な真実2:放置された地球』は11月17日公開

『The 11th Hour』はAmazonビデオにて発売・レンタル中

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