金曜23時からの西麻布ティーパーティー。「シャンパンよりお茶」が静かなブーム?

金曜23時からの西麻布ティーパーティー。「シャンパンよりお茶」が静かなブーム?

  • 東京カレンダー
  • 更新日:2017/09/21

あなたの遊び方、間違っていないだろうか?

大人になり、ある程度の経済力を手にすると、遊び方の流儀が問われるようになる。

酸いも甘いも経験し、東京で遊び尽くした港区民たちの、次なる遊び方。

彼らの最新事情を、飲食店経営者であり港区おじさんジュニアと呼ばれる剛(32歳)が探っていく。

これまでに、パーティールームで興じるトランプの楽しさ食事会のためだけに香港へ飛ぶ港区女子彼の年収を大声で話す女たちから身を守る方法などを学んできた。

さて、今週は?

No image

金曜の23時。
西麻布交差点で僕は立ち止まり、考えていた。

少し時間は早いが、六本木通りの坂を登り『赤のれん』へ行くか、星条旗通りの方へ行って『五行 西麻布店』で深夜のラーメンでも食べるのか。

それとも、以前健康志向へシフトした港区民の皆様を見習い、ラーメンは我慢して、その代りに『ビラフォッチ』などへ行ってもう一杯飲むべきか。

しかし何と言っても、今夜は金曜日。六本木が、一週間のうち最も光り輝く曜日である。

そんな花金にすべきことは、お洒落なバーで飲むことだ。

—ラーメンより、ウィスキーの方がかっこいいな。

独り言のつもりが結構大きな声になっていたが、まぁいいだろう。そのまま、西麻布の交差点を星条旗通りの方へ向かって歩き始めた時、背後から呼び止められた。

「あれ、剛?お前一人で何やってんだ?」

振り返ると、翔吾さんが立っていた(両脇に、えらく綺麗なモデル風の女性二人を携えながら)。

「翔吾さん!今から一杯飲みに行こうと思ってるんです。翔吾さんはどちらへ?」

「今から、お茶でもしに行こうかと思って。お前も来るか?」

—お、お茶?!

金曜23時の西麻布で、彼らはお酒を飲まないと言う。その代りに何を飲むのか?

何と、お茶を飲むと言うのだ。

お酒を飲まないならお茶を飲めばいい?変わり果てた港区の姿

酒が弱くなった港区民

僕は元々、某大学のゴルフ部にいた。

「内部生・ゴルフ部」なんて聞くと優雅そうだし(モテるし)かなり聞こえはいいが、実態は想像を絶する“ガチ体育会系” だ。

そんな大きな声では言えないが、先輩は怖い。先輩・後輩の上下関係は絶対である。先輩方と飲むときは朝まで付き合わされることなんてしょっちゅうあった。

しかしここ最近、酒を飲まない若者が増えている。若者に限らず、酒が弱い人が多くなったのは気のせいだろうか?

「翔吾さん、金曜の夜に、しかもこの時間からお茶をしに行くんですか?」

もう一度、翔吾さんに問いかける。
深夜に優雅にお茶を飲む、なんて発想はない。

しかし翔吾さんは至って真面目な顔をして、こう答えた。

「そうだよ。お前、2軒目に女性達がお茶をしたいと言った時に、連れて行けるお店のカードが無い、なんて言うなよ?」

深夜にお茶をしたいと言われて連れて行けるお店...

正直、六本木のけやき坂のスタバ以外、咄嗟にどこも思い浮かばなかった。

ウィスキーは諦め、何故か翔吾さんと得体の知れない美女二人と共にタクシーへと乗り込む。

向かった先は、『アッピア アルタ 西麻布』だった。

No image

「今の季節、テラス席が気持ち良いから。」

そう言いながら、半テラスの席で翔吾さんと美女二人(ユカと璃子と言うらしい)は優雅にハーブティーを飲み始めた。

そこにデザートワゴンが運ばれてくる。

「え〜迷っちゃうなぁ❤じゃあ私はプリンと、チーズケーキと、タルトとジェラートで。」

「ほんの一口ずつで、お願いします。」

ユカと璃子が口を合わせたように言う。

毎回思うのだが、この港区女子が言う“ほんの一口”とは何なのだろうか?

だったらしっかり頼めばいいのでは?と毎回突っ込みたくなる気持ちを押さえて、彼女たちのオーダーを見ていた。

そうこうしているうちに、気がつけば、女性二人はデザートを楽しみながら、そこに翔吾さんも加わり3人で楽しそうなティータイムが始まっているではないか。

—なんでこんなにのんびりしているんだろう...

「剛は何を飲むんだ?」

「あ、僕も同じ紅茶を頂きます!」

美女二人を目の前にして、のんきにお茶をたしなむ翔吾さんを見て、何が正解なのか分からなくなってきた自分がいた。

金曜2軒目に選ぶ店のバリエーション。その振り幅が人間の幅?

2軒目がお茶文化に進化中?!その背後には意外な理由あり

「剛。お前は今、心の中で“何でこのオヤジは優雅にお茶なんて飲んでいるんだ”って思ってるんだろう。」

またもや翔吾さんに心の中を見透かされ、どきりとする。

毎回、翔吾さんはすべてお見通しのようだ。

「そ、そんなことないですよ。ただ、えらく平和だなぁと思いまして...」

違う。僕の思っている港区はもっとエネルギッシュで、情熱と欲望に溢れていて、酒と女性と高級ブランド品が湧き出るように集まってくる街だ。

しかし今目の前に広がっているのは、 42歳のまぁまぁいい年齢のおっさんと、美女二人が紅茶を飲むという異様な光景だ。

金曜23時の西麻布にしては、平和すぎる。

「だから剛はまだまだ、だな。」

翔吾さんが2杯目の紅茶をすすりながら語り始めた。

No image

「一昔前に比べて、今はコンプライアンスだの何だのとうるさいだろ?若者は、怒られることも強要されることにも慣れていない。無理やり酒を飲んで盛り上げる必要もなくなってきてるんだよ。」

たしかに、今は昔とは時代が違う。

一昔前なら許されていたことも、今は何かにつけてジャッジされ、すぐにネットで批判される。

ある意味、生きにくい世の中になってしまったのかもしれない。

上の世代も下に気を使わなければならないし、下の世代はそれが当然の如く、怒られもせず、躊躇することもなくNOと強く言える。

それが自分の個性であり、変える必要がないからだ。

「だから2軒目が全てバーとは限らない。カラオケだって嫌いな子もいるし、酒が飲めない子もいる。各々に合わせてアレンジできるくらいの能力がないうちは、まだまだ青二才だな。」

がはは、と笑う翔吾さんを見て、不思議な気持ちになる。

決して、全員が飲めなくなった訳ではない。皆どこかでセーブしていたり、酒に飲まれるのはカッコ悪い、と頭で理解しているから昔のような飲み方をしないのだ。

そんな時代の中でも、少し無理をしてでも先輩の酒には付き合うなんていう考えは、もう古いのだろうか?

僕は紅茶をすすりながら思った。僕はお酒の方がいい。そして思わず口にしていた。

「翔吾さん、僕はやっぱりワインを頼んでいいですか?」

ここは、港区西麻布。時代は変わっても、まわりを気にせず正直に自分の欲望を出して良い街だ。

翔吾さんは笑いながら、“空気を読まないお前も、やはり新世代だな”と呟いていた。

▶NEXT:9月22日 金曜更新予定
何故そこにそこまで費やす?妙にガジェット好きな港区おじさん達

この記事をお届けした
グノシーの最新ニュース情報を、

でも最新ニュース情報をお届けしています。

外部リンク

コラム総合カテゴリの人気記事

グノシーで話題の記事を読もう!
飛行機の搭乗券に「SSSS」とプリントされたらヤバいことが起こるらしい...
頭痛もちの人に朗報!「あるもの」をとると、痛みが起こりにくくなるんです。
「僕はゲイだからお泊りさせて」直談判してきた娘の男友達に、母親がイカした切り返し
もう戻れない!「エッチ大好きにさせられた...」元カレのテク3つ
この線が出ていれば成功者に!? 手相でわかる「出世」のサイン
  • このエントリーをはてなブックマークに追加