絶対に勝つ! プレゼンテーション教室

絶対に勝つ! プレゼンテーション教室

  • JBpress
  • 更新日:2017/11/14
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米カリフォルニア州サンフランシスコで行われたグーグルの新製品発表会で紹介されたワイヤレスイヤホン「ピクセル・バッズ」(2017年10月4日撮影)。(c)AFP/Elijah Nouvelage〔AFPBB News

久しぶりに、学生にプレゼンテーションを教えました。なかなか良かったようで、いろいろな反響があり、価値還元できるのなら、また教えてみてもいいかなと思っています。

18年前に東京大学に呼ばれてから最初の7年間、4000人ほどに「必修情報処理」という科目を教えましたが、3年目あたりから、パワーポイントを用いた「1分間2か国語プレゼンテーション」という課題を実施しました。

すべて学生同士で(班の中で順繰りに)デジタルビデオで撮影し合い、相互評価し合うというものです。

翌週になると数百人分のビデオが集まりました。当時教育助手としてコースを支えてくれていた現在は中部大学で教鞭を執っている福田貴成君の尽力で、初期はディスクに焼かれていたり、サーバにアップロードされていたり・・・。

ユーチューブなどが普及する10年近く前に、フルデジタルのオーディオ・ビジュアル環境でこうしたことが学べたわけで、当時の履修者諸君(いまは30歳前後と思いますが)は相当得したはずだと思います。

受講中は学生は文句しか言いませんが、こうした進んだ教育を、私は個人研究費を割いて実施していました。ちなみに「学内非常勤」で、先生はいくら働いても謝金は「ゼロ円」。一切ありません。

大学生時代の家庭教師アルバイト以来、私は自分が担当した学生を受験で失敗させたことがありません。もとから無理というターゲットではなく、その子に可能な範囲ですが、学部入試でもきちんと東京大学理科Ⅰ類などに合格しました。

また、大学院入試は「学部は入学、院試は入院」というぐらいで、元から入りやすいので、私自身が学生時代から、サポートした受験生が落ちたことは一度もありません。

特に面接のプレゼンテーションと質疑応答は、完璧な指導をします。

実は、とある出来事がありました。あらゆる就職に失敗した某私大4年生が、大学院に籍を置いてしのぎたいと言うので、合格後、福島にボランティアに行くという約束で、謝礼ゼロで30数時間教えたのですが・・・。

合格すると一切何もしなかった。ひどいものでした。

実際、かなり無理な学力の人でも、何とか合格させてしまうというのは功罪両面あった、と反省していたこともあり、もう今後の人生で、こういう指導は絶対にしないと数年前に心に決めたことがありました。

しかし、今回はビジネスプレゼンテーションということで、久しぶりにやってみて、生徒からも、また周りの方々からも感謝などしていただき、「そうか、ニーズがあればまたやってもいいかな」と思うようになりました。

いままでJBpressの主催で何回か、講演会など開きましたが、ニーズがあるようなら「無敵のビジネスプレゼンテーション」教室講座など、開いてみてもいいかな、と思います。

どうして私のプレゼンテーション指導が無敵かと言うと、音楽のレッスンと同じことをするんですね。ここでは斉藤秀雄先生方式でいきます。つまりメソッドがあるので、才能無関係、まじめにやれば100%できるようになる。

どういうことか、いくつかお話してみましょう。

「大きな声で話せ!」は効果が少ない ビジネスプレゼンを音楽のメソッドで鍛える

学生がビジネスプレゼンテーションをするコースがあります。第1線のベンチャーキャピタルなどが居並ぶ場で、まじめな発表をする・・・。

はず・・・なのですが、なかなか「まとも」でないケースが目についたりします。

真っ直ぐ立てない。肩がふらふらする。落ち着かない、声が小さすぎて聞こえない。パワーポイントが蟻の行列・・・。

一つひとつ言い立てたら、いくらでも直すところがあります。

また、世の中にはたくさん、ビジネスプレゼンテーション初級講座みたいなものが開講もされていることでしょう。

そういうところでは、逆立ちしても教えない、でも私のところでは最初に教える、分かりやすいピンポイントのレッスンをいくつかご紹介しましょう。

例えば、声が小さすぎて聞こえない、というケースがあります。

何をしゃべってるのか、ぜんぜん分からない。早口で、ぼそぼそしていて、言いたいことの意味内容がそもそも分からない。

しかし、これはビジネスプレゼンテーションであるはずです。相手を口説いて落とさなければならない。大きい声で、しっかり、一言一言伝わるように話しましょう。

ここまでは、誰でも言えると思います。

この先が微妙で、「心をこめて話しましょう」的な話は、悪くはないのですが、下手すると精神主義に陥ります。

桐朋学園を率いられた斉藤秀雄先生(1902-74)は、チェロや指揮にメソッドを持っており、飛びぬけた才能がなくとも、まじめに一生懸命やれば、食べていけるだけの方法を確実に教える教育方針を徹底されました。大切な貢献と思います。

私自身は斉藤先生に直接指導を受けたことのない世代で、斉藤門下最初期のOBである橘常定先生に師事しましたが、斉藤先生のメソッドなしには、私自身、自分の受けた教育も、大人になってからの仕事も、何一つあり得ないと痛感しています。

しかし斉藤先生も神様ではなかった。「歌う」というようなことについて、きわめてナイーブだったんですね。

「心で歌え!」

いいんですよ。それは必要なことです。でも、フレーズやアーティキュレーション、ソルフェージュといった観点に斉藤先生はメソッドを持っておられなかった。そしてそのことを一番よく理解しているのは、ほかならぬ斉藤先生ご自身だった。

そこで、斉藤先生は、そうしたことに透徹した方法を持つ音楽家を桐朋に招聘しました。

白羽の矢が立ったのは三善晃(1933-2013)さんで、東大仏文の学生としてパリに遊学、音楽院は1日通っただけで嫌になってしまい、気ままなフランス生活を切り上げて25歳で帰国します。

後々日本の音楽アカデミアの最右翼のごとく見なされてしまった三善さんですが、実は徹底して独学自習の人で、ゼロから彼自身で積み上げたメソッドで、日本の音楽の世代を1つ先に進められた。大変な傑物と思います。

東大仏文を出ただけ、パリは音楽院に1日通っただけの三善さんが東京芸術大学や桐朋に講師として着任、ゼロから自分で考えて音楽の基礎を作ったのは、師である池内友次郎氏の力が絶大でした。

池内友次郎は高浜清=俳人「虚子」の次男で、20世紀フランス由来の音楽を日本に定着させた最大貢献者の1人ですが、矢代秋雄、三善晃といった門下の俊才同士を競わせて、水準を高めさせるのです。

私自身もこの<楽風>で教育され、エライ目に遭いました・・・。

ともあれ三善さんが責任を持つようになってたった数年で桐朋学園は「ソルフェージュの桐朋」として鳴り響く名門となりました。

音楽の話を少ししたのは、「心で歌え」ではなく、きちんと説明できる方法を持つことのメリットを強調したいからです。

ビジネスプレゼンテーションでも「声が小さい」「大きな声で」ではなく、もっと違う、方法とその背景を、当人自身が理解できて初めて、応用が利くようになるんですね。

それを1つだけ、特別に誌上公開いたしましょう。

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聴き手の心を動かす:オペラ歌手の方法

ビジネスプレゼンテーションの目的はなんですか?

ただ話をすればいいんですか?

違いますよね?

聴いてくれているビジネスのカウンターパートに、提案を受け入れてもらい、商談を成立させることです。端的に言えば、相手の心を動かすことが最大のポイントです。

ここで暴力や薬物を使って人の心を動かすと、犯罪になります。「洗脳(brain washing)」という言葉がそうした場では用いられます。そうではない、薬物も暴力も使わずに、相手の心を動かすのはマインドコントロールと呼ばれる方法を用います。

音楽家のメソッドはすべて、基本、マインドコントロールでできています・・・。

こんなふうに言うと、幻滅される人もいるでしょう。でも私たちが教授職として生徒にレッスンするすべては、暴力も薬物も用いずに、その人の演奏を初めて耳にする人が サッと顔色を変えるくらい、鮮やかなパフォーマンスを確実にできるようにすることです。

ですから、「マインドコントロールである」と冷徹に割り切って徹底して教えるのが職業人と言うものでしょう。

声が小さく説得力のある歌が歌えない声楽の受験生がいたとしましょう。実際よくいます。

声楽を志望するくらいですから、歌は嫌いではない。でもそれは人に聴かせる歌になっていないのです。自分でいい気になってしまう。これでは謝礼をいただいて音楽で食べていくことはできません。

そういう学生に指導する1つに「壁を狙え」という方法があります。

自分の歌声を、部屋の中の特定の壁に向けて歌いかけ、その反響音を、確実に自分の耳で確かめながら、歌ってごらん。ゆっくりでいいから・・・。

といったレッスンを進めていくと、45分以内に全然違うものが出来上がってきます。そうして若き日の私はいくばくかのレッスン料を頂戴し生活の足しにしたわけです。

ここには明確な方法があります。文字で読むだけでは絶対に無理なので安心して記しますが、声を壁に当てる、それを聴く(アプリシエートすると言います)だけで、実は背筋も伸び、肩口などもふらふらしなくなります。

また無駄に早口にもならず、子供タイプのビジネスプレゼンテーション病の問題、8割方は解決してしまいます。

それでも、人間の体ですから、いろいろ問題が残ります。そこでは「アレクサンダー・テクニック」とか「フェルデンクライス・メソッド」などを援用して、ちょっとだけ修正をしてやります。これはさすがにレッスン室に来ていただかないと指導できません。

そうすると、まずもって100%、かなりきちんとしたことが、1回はできるようになります。

これは相手への思いやりなのです。部屋の後ろの壁に届き、かつ反響して返ってきた声が自分自身の耳にも届くということは、同じ部屋の中にいるすべての人に、きちんと言葉を、あるいは歌を、演奏を届けるという思いやり、いや、「届けずんばあらず!」という音楽人の意地のようなもので、それを徹底するのがプロの方法にほかなりません。

その後も、そのようにすぐできるかは人によります。一発でうまくなる子もいれば、何回やっても最初から、というケースもある。音楽も、一般学生も同じことです。

こういう方法は、いま一般の大学で全く教えられなくなっているように思います。紙の上だけ、言葉だけ、口先だけのプレゼンテーションばかり、という状況は、読者の皆さんの方がよくご存知かと思います。

「熱意」は大事です。でも「熱意があれば大山も動く」は精神主義と言うべきで、頭の涼しい人は方法を考え、実践に結びつけることを考えるように思います。かつての三善晃青年がそうであったように・・・。

いま私は、芸大に私を呼んでくださった先生方にお声がけをいただいて、パリ音楽院の基礎テキストの和訳を隙間時間に進めています。

日経ビジネスオンライン以来、一般向けの原稿を多くの読者の方が楽しみにしてくださるようになりましたが、私自身は極めて狭い領域に関する厳密な職人が本来の仕事です。

ただ、それだけだと社会と隔絶してしまうので、40歳を迎えて以降、一般向けの原稿も書くようになったのでありました。

音楽のメソッドは人の心を動かすメソッドです。これを適切に用いれば、人の心を動かすビジネスプレゼンテーションを、自身の創意工夫で組み立て、実演できるようになります。パフォーマンスは決して無手勝流だけでできているわけではありません。

相手を思いやり、自分のメッセージを確実に届け、相手の心を動かす・・・。

何百何千とあるこうした方法の1つを、簡単にご紹介しました。ご希望があればレッスンの場を設けるようにと思います。

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