牛車に積んだ草の上で揺られて、うとうと......「今はありえない」遊牧民の秋

牛車に積んだ草の上で揺られて、うとうと......「今はありえない」遊牧民の秋

  • THE PAGE
  • 更新日:2017/11/19

日本の3倍という広大な面積を占める内モンゴル自治区。同じモンゴル民族のモンゴル国は独立国家ですが、内モンゴル自治区は中国の統治下に置かれています。近年目覚しい経済発展を遂げた一方で、遊牧民の生活や独自の文化、風土が失われてきました。

内モンゴル出身で日本在住の写真家、アラタンホヤガさんはそうした故郷の姿を記録するためシャッターを切り続けています。アラタンホヤガさんの写真と文章で紹介していきます。

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草刈り作業の昼休みにみんなでミルクティーを飲み、油揚げのお菓子を食べる。子供の時、私たちは各家族の休憩所を周り、そのお菓子などをもらって食べるのが楽しみのひとつだった=シリンゴル盟・シローンフブートチャガン・ホショー(2014年9月撮影)

定住化と草原の私有化によって、毎年、多量の乾燥草の備蓄が必要になった。草は遊牧民にとっては命以上の存在である。

8月中旬から草が枯れ始める。この時に草刈りが始まる。完全に枯れて、折れてしまう前に草を刈ることで、草の栄養が残され、緑のままに備蓄ができる。

私が子供の時はいくつかの家族が一緒に草刈りを行っていた。当時、2メートル以上長い柄がついた大きな鎌を使う手作業で行われ、牛車や馬車で運んでいた。

小学校に入る前、母について、草刈りに行き、牛車に草を乗せた後、草の上にくぼみを作って、その中に乗せてもらった。その牛は家まで迷わずに行ってくれる。ゆったり、リズムよく揺れる牛車の上で、私は寝てしまった。気づいたら、誰か大人に起こされるのである。

その時は鉄条網もなく、作業用の機械もほとんどなかった。田舎の学校は草刈りのための休みがあり、子供たちが家に戻り、草刈りの手伝いをすることもあった。今ではありえない話になった。(つづく)

※この記事はTHE PAGEの写真家・アラタンホヤガさんの「【写真特集】故郷内モンゴル 消えゆく遊牧文化を撮るーアラタンホヤガ第5回」の一部を抜粋しました。

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内モンゴル自治区の地図

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アラタンホヤガ(ALATENGHUYIGA)
1977年 内モンゴル生まれ
2001年 来日
2013年 日本写真芸術専門学校卒業
国内では『草原に生きるー内モンゴル・遊牧民の今日』、『遊牧民の肖像』と題した個展や写真雑誌で活動。中国少数民族写真家受賞作品展など中国でも作品を発表している。
主な受賞:2013年度三木淳賞奨励賞、同フォトプレミオ入賞、2015年第1回中国少数民族写真家賞入賞、2017年第2回中国少数民族写真家賞入賞など。

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