日本企業が参考にすべき「GEジャパン」のマネジメント手法

日本企業が参考にすべき「GEジャパン」のマネジメント手法

  • Forbes JAPAN
  • 更新日:2016/11/30
No image

GEが持つ革新的な”戦略と仕組み”を日本でいかに実践するか。”リーダーシップと文化醸成”でこれを成し遂げたGEジャパンには日本企業が参考にすべきイノベーション・マネジメントの姿がある。

創業約140年、従業員数30万人。グローバルトップ企業、米ゼネラル・エレクトリック(GE)。これまで「ワークアウト」「シックス・シグマ」といった問題解決手法により経営を推し進め、イノベーションを起こし続けてきた。変化が速くかつ激しい経営環境の中、GEが2012年頃から導入しているのが「ファストワークス」だ。文字通り「素早く動く」を意味する、新たな製品開発プロセスだ。重厚長大企業を代表するGEの経営の中にシリコンバレー企業のスピード感を埋め込む革新的な取り組みだ。そんな新たなマネジメント手法が、イノベーションを起こすための”基礎”を構築する。

ー「ファストワークス」の導入に、経営者として躊躇はなかったか。

躊躇がなかったと言えば嘘になる。しかしそれ以上にショックだったのは「危機はそこまで来ているのか」という現状認識だ。実際に、我々の競合相手は、従来の重電企業から米グーグルや米アマゾンになりうる社会に変わってきている。市場環境の変化に対応するには我々も変わらなければならない。ITカンパニー的な考え方や組織づくりから逆に学ばなければならないことも多い。

ファストワークスはチャンス

ー短期利益中心の既存組織の中で長期ビジョンに基づく新しい取り組みを導入するのは簡単ではない。GEではスムーズに進んだか。

こうした変革はいつも「危機感」から生まれる。ただGEジャパンの中では、むしろファストワークスは「チャンス」と捉えて導入をリードした。グローバルで日本の存在感が低下する中、いい機会になるのでは、と考えたのだ。というのも、中国やアフリカなどの巨大市場と比較され、日本からの革新的な新製品の提案が日の目をみないことが多く、悔しい思いをしてきた。小さく、早く、少しずつスタートし、うまくいきそうならまた次のステップへというアプローチは、初期投資も少なく済む。そのため、これまでとは違い、「ちょっとでも面白ければ、まずやってみよう」となる。結果が出ればグローバルに展開できる。それは市場規模で負けていた日本には最大の武器になる。だから「ファストワークスという仕組みは日本にとってチャンスだ」と社員の意識付けをうまくできれば、高いモチベーションを引き出せると考えた。

ー「チャンス」と捉えることから、どのような成果につながっているか?

こうしたファストワークスの組織への浸透は、”優等生”と言われがちな社風を改革するきっかけにもなる。品質管理をはじめ完璧を目指す組織文化を意識的に改革する際にボトルネックと考えたのは、成功体験を持つ中間層。ファストワークスでは、その仕組みを導入するだけでなく、私自身が意識的に若手をモチベートし、若手主導で「ファストワークスでやりましょう」と中間層をたきつけさせた。実際にファストワークスによる成功事例が生まれると、中間層の意識も少しずつ変わっていくという好循環が生まれた。

14年からは「ファストワークス・エブリデイ」という、あらゆる日々の仕事、業務プロセスにもファストワークスを広げるトレーニングも始まった。これまですでに社員の3分の1の1,000人以上がトレーニングを受けている。その数は世界を見渡しても、日本がずば抜けて1位である。

ー15年にはソフトウェア企業を標榜し、新組織・GEデジタルを立ち上げた。会社全体でも大きな変革を進めているが、これをどう捉えたのか。

「デジタル・インダストリアル・カンパニー」もファストワークス同様に危機感から生まれた。もちろん「危機感が現実である」ということをしっかり伝えないといけない。とはいえ「過去についてリスペクトすること」も同様に重要である。

私の解釈も含むが、GEが目指すのは「デジタルなインダストリアル・カンパニー」であり、「デジタル・アンド・インダストリアル・カンパニー」ではない。我々が目指しているのは、ソフトウェアカンパニーに変わるというのではなく、これまで築いてきたハードウェアでの強みを基本に、時代に合ったソフトウェアを”足す”ということだ、という伝え方をしている。

ーそういった捉え方にトップのリーダーシップがあると感じる。

変革において重要なのは「大義」であり、実は、殺し文句は「日本のために」。GEはGEの強み、日本は日本の強みを持っていて、誇りを持っている。それを生かして上乗せする発想をいかに促せるかが重要だ。

GEジャパン◎世界170カ国以上の事業拠点で30万人の社員が働く米GEの日本法人。1999年にGEジャパン・ホールディングスとして設立され、日本におけるさまざなGEの事業会社を統合して現在の形になった。「課題大国」日本の諸問題をさまざまな切り口で解決することを使命としている。

熊谷昭彦◎(くまがい・あきひこ)◎1979年、米カリフォルニア大学ロサンゼルス校経済学部卒業。三井物産をへて84年にGE入社。GEのコーポレートオフィサー(本社役員)就任をへて、2014年にGEジャパン代表取締役社長兼CEOに就任。

この記事をお届けした
グノシーの最新ニュース情報を、

でも最新ニュース情報をお届けしています。

外部リンク

経済カテゴリの人気記事

グノシーで話題の記事を読もう!
47歳、勤続15年でも年収360万円。真面目に働いても年収が上がらない“稼げない病”とは?
安いジェネリック医薬品を薬局がすすめる理由
安倍さんの“おかげ”です! 日本でも“富裕層”が増加?
町田市(の一部)、本当に神奈川県になる...ネタでもデマでもなく、本当の話です
ニッポンの自動車史に名を刻んだオモシロ軽自動車大集合!
  • このエントリーをはてなブックマークに追加