北原みのり「そりゃないよ、山尾さん!」

北原みのり「そりゃないよ、山尾さん!」

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  • 更新日:2017/09/15
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女の不倫は男性よりもきつく叩かれる?(※写真はイメージ)

作家・北原みのり氏の週刊朝日連載「ニッポンスッポンポンNEO」。北原氏は山尾志桜里議員の不倫疑惑を嘆く。

*  *  *

山尾志桜里議員の「不倫」報道は残念だった。不倫の是非というよりは、議員でもなんでもない私ですら代表選挙前後の週は「安倍政権にさよならするために、がんばろー!」と、鼻息荒く気張ってたのに、まさかの、あの週に4回の「密会」。それって恋の真っ最中じゃないか! そりゃないよ、山尾さん!と言いたい気持ちにもなる。

女の不倫は男性よりも不当にきつく叩かれる。不倫で再起不能になるほどボコボコに叩かれるような社会などどうかしているし、理不尽だ。とはいえ、ベッキーさん以来、不倫への風当たりがますます厳しくなっている最中、山尾議員の行動が報道通りならば、あまりに恐れを知らない蛮勇だし(なぜ「自分だけは大丈夫」と思えるのだろう)、政治家として軽率すぎる。しかも報道の週刊誌発売当日にすぐに離党届を出したけれど、もし報道が事実でないのなら、離党する理由は一切ない。どこをとっても無理を通すばかりに、道理が通ってない感が拭えない。そういうの、山尾議員が一番批判していたことだったのではないだろうか。

世間的に山尾議員の人気は高いし、私だって応援していた。ネットでは「人が人を好きになるのは自由だ!」と山尾議員に同情するあまり、結果的に違う方向に追い詰めるような擁護をしたり、「民進党の男性が離党を強いている。嫉妬だろう」と方向違いな民進党批判を繰り広げたり、「もっと酷い議員は自民党にいっぱいいる」「もっとひどい男性議員はいる、女性差別だ」と、確かに事実だけれど誰も救われない援護射撃をする人が少なくない。不思議だ。

ここ数年の過熱化する「不倫報道」の経験から私たちは十分に学んできたじゃないか。「事実無根」と言った後に必ず新たな「証拠物件」が出てくる……それが致命的な結果を導く……というシビアな現実を。週刊誌の取材力、周囲の人間の裏切りを甘くみてはいけない。そういう教訓を得た者としては、すぐに「事実無根」と断定し離党する力業にハラハラしてしまって、応援したくても応援できないのが現状だ。

こういう時は、リベラルを標榜する個人よりも、テレビのワイドショーのほうが、むしろ率直だ。

「(幹事長に内定した夜に男性とホテルに行ったことが)もし、仮に事実だとすれば、僕自体も相当あたまおかしな人間ですけど、まったく信じられないですよ」(カンニング竹山)という驚きは、全くその通りだと思うし、「(内定の)お祝いを好きな人としたかったのかな」(生稲晃子)には説得力がある。

フツーそんなことできないだろう、いやフツーだからこそやっちゃったのよ、どちらも一般的な感覚で、こういう人を説得できなければ政治家は務まらない。

今回のことで最も気の毒なのは、前原代表だろう。出鼻をくじかれるとはまさにこのことだ。繰り返さないためにも、フツーの感覚をもった、フツー以上の仕事をする、誠実な議員を辛抱強く私たち社会が育て応援していくしかないのだと思う。

※週刊朝日  2017年9月22日号

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