「本土で基地を引き取る」運動が、安保法制を考え直す出発点に

「本土で基地を引き取る」運動が、安保法制を考え直す出発点に

  • 日刊SPA!
  • 更新日:2016/11/30
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市街地に囲まれ、「世界一危険な基地」と言われている沖縄・普天間基地

◆日米安保を維持するなら、本土が基地を引き取るべき

11月21日、沖縄の米軍基地負担の軽減を目指した全国知事会の研究会初会合が東京・千代田区の都道府県会館で行われた。これに出席した翁長雄志沖縄県知事は「米軍基地が沖縄経済発展の最大の阻害要因」と発言、沖縄の負担軽減を訴えた。沖縄では、辺野古や高江など、基地建設予定地では現在も激しい反対運動が繰り広げられている。

そんな中で、基地反対運動の中に新たな潮流が生まれている。これまで基地建設反対運動をしてきた大阪、福岡、新潟の住民たちが、自ら「基地引き取り」を表明しているというのだ。「基地反対」だったはずの彼らがなぜ、「基地引き取りへ」と変わったのか。

彼らの理論的支柱となり、以前から米軍基地の「本土引き取り」を提唱している東京大学大学院の高橋哲哉教授に聞いた。

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私はかつて「日米安保をなくせば沖縄から米軍基地をなくせる」と言ってきました。しかし、それだけではダメだと思ったのです。それには2つの理由があります。

1つは、安保は何十年経っても維持されているし、その支持率は減るどころか逆に9割近くに達している。それなのに「本土の負担率が圧倒的に低い」というのはおかしいということです。

もう1つは、1950年代に本土の海兵隊が沖縄に移設されるなど、歴史的に本土が沖縄に負担を押しつけてきたことです。安保を維持するなら本土が引き取るべき。

皮肉にも「基地はどこにもいらない」との反基地スローガンが、沖縄の「県外移設」を望む声を阻む壁になってきました。

◆引き取る運動の過程で、自分が「加害者」であることに気づいてほしい

この「基地引き取り」を提唱するときには、私も覚悟を決めました。まず何よりも、基地反対派からの「戦争を認めるのか」とか「(基地容認に)転向したのか」といった誤解を払拭する努力が必要です。いざとなれば、私の住む地域に米軍基地が来ることも認めなければならない。

引き取る運動の過程で、私たちが沖縄への加害者であることに気づいてほしい。いろいろと議論は起こるでしょう。でも、そもそも米軍基地の問題は自分たちの問題。それなのに、まるで沖縄だけの問題のようにとらえられ、議論がないことがおかしいのです。

その議論を通じて、私たちは「加害者」であることをやめ、米軍に守ってもらうという安保体制を見直すこともできる。

昨年、安保法制の反対運動に多くの人々が参加して盛り上がりましたが、結局そうした議論はありませんでした。「基地引き取り運動」が、日本の安全保障体制を考え直す出発点になればと望んでいます。

【高橋哲哉】
1956年、福島県生まれ。東京大学大学院総合文化研究科教授。著書に『犠牲のシステム――福島・沖縄』『沖縄の米軍基地「県外移設」を考える』(ともに集英社新書)など

『週刊SPA!』11月29日発売号に掲載の記事「[]米軍基地を本土へ]運動を追う」では、基地反対運動の新たな潮流である「基地引き取り」運動を始めた大阪、福岡、新潟の住民を直撃、なぜあえて「基地を引き取る」と宣言しているのかを聞いてみた!

<取材・文/樫田秀樹>

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