LIXIL、燻る“日本脱出計画”...売上は国内依存、創業家CEO復帰で株価大暴落

LIXIL、燻る“日本脱出計画”...売上は国内依存、創業家CEO復帰で株価大暴落

  • Business Journal
  • 更新日:2019/02/22
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住設機器・建材の総合メーカーの最大手、LIXILグループが大混乱に陥った。「日経ビジネス」電子版が、潮田洋一郎会長兼最高経営責任者(CEO)がMBO(経営陣が参加する買収)を行った上で本社をシンガポールに移そうとしていると報じ、波紋を呼んでいる。

LIXILグループは1月31日、2018年4~12月期の連結決算(国際会計基準)を発表した。売上高にあたる売上収益は前年同期比1%増の1兆3811億円、純利益は同94%減の21億円と、惨憺たる成績だった。人件費の高騰に加え、採算の悪化したイタリアの建材子会社、ペルマスティリーザで赤字幅が拡大したことが響いた。

2月4日付の株式専門紙「日本証券新聞」は、潮田氏が決算説明会の席上で、MBO観測を報じた日経ビジネス記者と“対決”した、として異様な会見模様を伝えた。

1月21日付「日経ビジネス」電子版は、『スクープLIXILがMBOを検討、日本脱出も』とのタイトルで、「LIXILグループは昨年、MBO・本社移転・シンガポール上場という一連の計画を検討することを取締会で決議している」と報じた。

この日経ビジネスの報道を受けて、LIXIL株式は一時、売買停止となった。その後、「MBO・本社移転・シンガポール上場という一連の計画に関する一部報道」ついて、「取締役会において、検討および決議を行った事実は一切ない」とする、否定コメントを発表した。

1月31日の決算説明会の席上でも、山梨広一最高執行責任者(COO)は「現在、過去の取締役会において、報道のような案件を検討、議論、決議したことはない」と、改めて全面否定した。

さらに、「日経ビジネス」(日経BP社/2月11日号)のコラム「時事深層」で、『株主から物言い相次ぐLIXIL、不可解人事の波紋』と報じ、普段は強硬手段を行使しない“穏健派株主”といわれる世界最大級の投資家、米ブラックロックが、潮田氏のCEO復帰について疑義を唱える書簡をLIXILグループに送ったことを明かした。

そのうえで、「迅速な対応が不可欠だ」としている。

●瀬戸氏解任はシンガポール移住を進めるため?

潮田氏がプロ経営者、瀬戸氏を解任したのは、シンガポールへの移住計画を進めるためとも報じられている。会員制情報誌「FACTA」(ファクタ出版/2018年12月号)が『LIXIL潮田の逆噴射 「俺に操縦桿を握らせろ」。過去の買収失敗はどこへやら。邪魔者を消して次はシンガポールへ移住。危険な火遊びが再び』とのタイトルで報じた。

「仰天計画の中核は本社のシンガポール移転である。これは潮田の悲願で、5年ほど前、野村証券にスキーム作りを依頼した。その野村が『本社を移す場合、どうしても移転価格税制がネックになる』と結論付けると、今度はM&AアドバイザリーファームのGCAを雇って、実現可能性を探った。関係者によると、GCAはこんなスキームを提案した。まずLIXILグループをMBOで非上場化する。次にシンガポールで買収する企業と合併させ、合併会社をシンガポールで上場させる」

潮田氏は周囲に、「日本に納税するつもりはない。いずれ国債が暴落し、日本は破綻するだろう」と吹聴して自宅もシンガポールに移したとし、潮田氏が日本を見限って公私にわたって海外に拠点を移す様子を報じている。

創業家出身の潮田氏がCEOに復帰した途端に、LIXIL株は大暴落した。18年12月25日には昨年来安値1270円を付けた。昨年来高値の3255円(18年1月23日)から実に60%の下落だ。1兆円を超えていた株式時価総額は瞬時にして6200億円が消えた。2月15日の終値は、安値からおよそ300円反発し、1563円である。

潮田氏の復権以降、国債より先にLIXILの株価が急落した。LIXILグループの売り上げの75%は日本に依存している。本社がシンガポールに移れば、外国企業とみなされ、消費者や工務店などのLIXIL離れが進むとみられる。

潮田氏が悲願とする「日本脱出」計画は、満願成就するのだろうか。

2月8日、住宅やビルのメンテナンスを手掛ける子会社、LIXILリニューアルで、過去に取引実態のない受注案件があったことが判明。13日、監査法人による追加審査が必要なため、19年3月期第3四半期報告書の提出を1カ月延長すると発表した。弁護士と公認会計士による特別調査委員会を12日付で設置。取引内容や原因を調べるほか、他の子会社で同様な案件がないかどうか確認する。

株価の低迷は深刻だ。18年12月の昨年来安値1270円は、9年7カ月ぶりの安値だった。その後も安値圏で推移している。時価総額も直近のピークだった18年1月の水準に比べて半分になった。突然のトップ交代後も、投資家が納得、安心するような経営の方向性は明確に示されていない。
(文=編集部)

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