構想50年、着工30年、複々線化がついに完成!来春から劇変する小田急電鉄

構想50年、着工30年、複々線化がついに完成!来春から劇変する小田急電鉄

  • @DIME
  • 更新日:2017/11/13

■連載/阿部純子のトレンド探検隊

とにかく朝が混んでいる。ピーク時は列車が数珠つなぎになっていて急行でものろのろ運転で遅い。路線が長い小田急線が慢性的に抱えてきた問題だ。ラッシュピーク時の最混雑区間(世田谷代田~下北沢間)の混雑率は192%と、主要31区間でワースト3位。町田~新宿間の所要時間はラッシュピーク時だと49分。50分近くもすし詰めの列車でひたすら耐えて通勤しなくてはならない。

こうした状況を改善するために、小田急電鉄では混雑の激しい近郊区間の複々線工事を進めてきた。1989年の東北沢~和泉多摩川間の着工から約30年を経て、2018年3月に登戸~代々木上原間の11.7km、上下線2本ずつ計4本の複々線がようやく完成する。列車の通過待ちや詰まりが解消され、列車の増発や所要時間の短縮が可能になり、「混む、遅い」のイメージを覆す新しいダイヤが来春からスタートする。

No image

下記左画像は1997年の喜多見~和泉多摩川間の複々線使用開始の様子。写真は狛江~和泉多摩川間。画像右は2009年に撮影された多摩川橋梁複々線化における和泉多摩川~登戸間(画像提供:小田急電鉄株式会社)。

No image
No image

「複々線化構想から50年、着工から30年、混んでいて遅いというイメージの一新をようやく果たすことができる。弊社は1日約200万人のお客様にご利用をいただいているが、同時に朝の通勤時間帯の混雑という深刻な問題を抱え、2016年度ワースト3など不名誉な状況が続いていた。しかし今回の複々線化による圧倒的な輸送量の増加で、混雑率が150%程度に劇的に改変する」(小田急電鉄 星野 晃司 取締役社長)

No image

◆列車大増発で混雑緩和

平日朝のラッシュピーク時に都心に向かう列車を9本増発、現状の27本から36本に。編成車両の増加と合わせて輸送力を約40%増。これにより現在の最も混雑する区間の192%(体が触れ合い圧迫感がある状態)から、新ダイヤでは約150%に緩和。東京主要31区間における平均混雑率160%を下回り、現在のワースト3位から20位圏外にまで混雑率が改善。混雑緩和によりの乗り降りがスムーズになり定時性の向上も期待される。

◆所要時間の短縮

複々線化で列車の通過待ちや詰まりの解消に加え、新ダイヤでは列車種別と停車駅を見直した。速達性の高い停車駅の少ない「快速急行」を、線路に余裕ができることで朝の通勤時間帯(代々木上原着6:00~9:30)に現在の3本から28本にする25本の大幅増加。1日の平均乗降客数の多い登戸も新しい停車駅にする。

No image

さらに小田急多摩線からは朝の通勤時間帯限定の「通勤急行」を新設。小田急多摩センターから新宿への所要時間をラッシュピーク時最速40分と最大14分短縮。1日の平均乗降客数が約30万人、全線第2位の町田から新宿まではラッシュピーク時でも最速37分と最大12分短縮し通勤40分圏内エリアに。

「小田急線と並行して走っている東急線、京王線からの利用者が3~4%程度シフトして、売上で50億円プラスを見込んでいる。中でも多摩センターは圧倒的に京王線のお客様が多い状況。今回、小田急多摩センター駅始発を作ったことで、長らくご不便をおかけしてきた小田急線利用者のお客様に快適な利用をしていただければ」(星野社長)

乗り入れをしている東京メトロ千代田線の表参道、霞が関、大手町などへの所要時間も大幅に短縮される。世田谷エリアの経堂から大手町は30分圏内、町田や小田急多摩センターから大手町まで1時間圏内となる。

No image

◆乗換えなしで都心へ

1978年から相互直通運転を行っている千代田線へは、平日朝の通勤時間帯に乗換え不用の「千代田線直通列車」を11本から28本へ17本増発する。しかし、新ダイヤ改正後も懸念されるのが、相互乗換えに伴う遅延の伝播だが、こちらは解消しきれない部分があると小田急側は話す。

「ダイヤ管理、運行管理している部署と調整中だが、JR、メトロ、小田急の3線の直通運転の車両を順番を入れ替えても走れるようにするなど、今までの制約を解消して遅延していてもスムーズに入るように努力をしていきたい」(田島 寛之運転車両部長)。

「千代田線乗り入れは向ヶ丘遊園、成城学園前が始発になっており、複々線をうまく使い分けることで、新宿方面、千代田線方面を切り分けて、なるべく遅れが伝播しない工夫をしている」(五十嵐 秀 取締役/交通サービス事業本部長)。

小田急多摩線や小田急江ノ島線から新宿へのアクセスも向上。朝の通勤時間帯に新宿に直通する速達性の高い列車を運転する。多摩線から新宿直通は「通勤急行」「急行」を13本新設、江ノ島線から新宿直通は「急行」から「快速急行」へ種別変更して現状10本から15本に増発して、所要時間を短縮、乗換えなしで新宿へ行くことができる。

◆着席通勤の拡大

小田急電鉄は他社に先駆けて通勤時間帯の有料特急を運行してきたが、朝の通勤時間帯に新宿に向かう通勤特急ロマンスカーを7本から11本に増発。中でも通勤客にニーズの高い朝の7時~8時台に新宿や大手町に到着する特急ロマンスカーを現行2本から5本運転する。新ダイヤの運転に伴い、新宿行きの朝のロマンスカーを「モーニングウエイ号」(9本)、千代田線直通のロマンスカーを「メトロモーニングウエイ号」(2本)として運転する。

さらに途中駅からの始発列車も大幅に増加。成城学園前、向ケ丘遊園、海老名、本厚木、小田急多摩センター、藤沢の6駅始発の列車を増発する。とくに成城学園前は6本、向ヶ丘遊園は7本と大幅に増加、小田急多摩センターは始発ゼロから6本新設する。

No image

◆夕夜間も列車増発

帰宅で込み合う平日18時~0時までの時間帯も、下り方面列車を39本増発、計176本運転。速達性の高い「快速急行」を28本増発の計35本運転、「快速急行」は新宿から多摩線へも直通を開始する。千代田線からの直通列車を24本増発、計45本運転。通勤特急ロマンスカー「ホームウエイ号」も1本増やして計24本運転する。

さらに終電時間の繰り下げを行い、深夜時間帯の利便性を向上。新宿発の多摩線各駅には0:38と33分の繰り下げ、海老名行きは0:20発と25分の繰り下げ、本厚木行きは0:08発と13分繰り下げる。

◆新ダイヤで観光も便利に

沿線にある観光地の箱根、江ノ島・鎌倉へのアクセスも向上。箱根方面は土休日には新宿から小田原までノンストップの「スーパーはこね号」を2本から4本に増発。新ダイヤで新宿~小田原間は最速59分と5分短縮、箱根湯本へも9分短縮となる最速73分で到着。

「新宿から小田原への60分以内の運転は、小田急線開業以外の悲願だった。新ダイヤによりついにその目標を達成することができる」(五十嵐取締役)。

箱根湯本から新宿に向かう最終列車も22:07発と74分繰り下げ、ゆっくりと箱根での観光を楽しめることになる。また、新ダイヤに合わせて新型特急ロマンスカー・70000形の導入も予定している。

江ノ島線に関しては、北千住~片瀬江ノ島間の特急ロマンスカー「メトロえのしま号」を新設。下り、上り各2本で最速95分。新宿~片瀬江ノ島間を乗換えなしで結ぶ「快速急行」も上下合計で83本運転する。

◆12年ぶりに制服も一新

運転士、車掌、駅係員の制服も新ダイヤに合わせて12年ぶりにリニューアル。下記画像(提供:小田急電鉄)の右から順に男性用駅長、女性用駅長、運転手・車掌の乗務員、駅係員の各制服。

No image

ジャケット、ベストはグレー、ズボンはブラックという異なるカラーの組み合わせは小田急では初めての試み。上衣の襟、袖、ボタンなどには金ラインが入り上質感やおもてなし感を表現している。着心地について、小田急初で唯一の女性駅長である水島 悦子登戸駅長は「ストレッチがきいていて着心地のよい制服。新しい制服で仕事ができるのが今から楽しみ」と話す。

No image
No image

将来的な人口減少も懸念される中、小田急線沿線は東京一極集中の拡大で今年も過去最高の輸送人員を計上する状況となった。東京一極集中や東京オリンピックなどで今後10年ぐらいは利用者が増える期待感があると星野社長は話す。さらに混雑率が低下することで、戸袋に物が挟み込まれるなどの遅延事象の減少や、乗換えもスムーズになり遅延の原因が縮小傾向になると考えられる。

「混んでいる、遅い、遅れるといった問題は複々線化によってかなり解消されるが、我々が取り組んでいるのは、複々線にすべてを頼るのはやめようということ。ベースである定時性を努力と工夫でもっと積み上げる必要があると考えている。複々線化して便利なダイヤになったにもかかわらず、すぐに遅れるということでは問題がある。列車運行の指令の仕方、日々の係員の動き、運転操作、技術系基盤整理をもう一度見直して、複々線完成のときにしっかりと、今までよりさらにいいサービスを提供するべく取り組んでいる」(星野社長)

【AJの読み】小田急線には縁があるのだけれども……

祖師ヶ谷大蔵、狛江、町田と生まれたときから小田急線沿線に住んでおり、新卒で就職した会社も小田急グループの小田急トラベルだったため、一番縁のある路線ではあったが、最終的に実家がJR横浜線沿線になってからは、新宿に出るときは京王線、渋谷方面やメトロに乗り継ぐ場合は東急線をもっぱら使っていた。なぜなら、小田急線は社長自らが汚名と話していた「混んでいる、遅い、遅延する」が頻繁に起こっていたからだ。帰路は眠って帰りたいとわざわざ1時間後のロマンスカーを予約しても、特急なのに混雑時は線路が詰まってのろのろ運転。だったら3本待って急行(当時は一番早いのが急行だった)に乗って座った方が早いとため息。独立して23区内に家を借りたとき、結婚して家を買ったときも小田急線沿線は避けていた。

用地買収に時間がかかった経緯もあり、複々線化は何年後になるのやらと冷めた目で見ていたが、着工から30年経過してようやく来年春に完成することになった。取材で時折行く代々木上原、下北沢より先の下り方面は20年近く乗っていないが、新ダイヤになったら実家の行き来に久しぶりに小田急線を使ってみようか。

文/阿部 純子

■連載/阿部純子のトレンド探検隊

この記事をお届けした
グノシーの最新ニュース情報を、

でも最新ニュース情報をお届けしています。

外部リンク

社会カテゴリの人気記事

グノシーで話題の記事を読もう!
金塊“奪う”も...暴力団員の男ら、転倒して御用
滋賀県、ブーム到来の謎...なぜ観光客激増?
事故ってグチャグチャになったBMWを、歪みなく直すロシアの修理工
【アメリカ】海軍のパイロットが戦闘機で空に描いた絵が問題になり、飛行停止処分に^ ^;
「パンチラ撮らせて!」真っ昼間から女子生徒にムチャぶり 品川
  • このエントリーをはてなブックマークに追加