「やってはいけないコトなのに...」。友人にそそのかされ、男に内緒で女が取った行動とは

「やってはいけないコトなのに...」。友人にそそのかされ、男に内緒で女が取った行動とは

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  • 更新日:2019/09/28

男も女も、誰だって恋愛しながら生きていく。

だから愛するカレには、必ず元カノがいる。

あなたの知らない誰かと過ごした濃密な時間が、かつて存在したかもしれないのだ。

愛するカレは、どんな相手とどんな人生を歩んでいたのか――?

幸せな未来のため、相手の過去を知ることは、善か悪か。あなたは、愛する相手の過去が、気になりますか?

◆これまでのあらすじ

29才の南美は、6才年上の恋人・数也がプロポーズを考えていると知り、幸せの絶頂にいた。

だが同時に、これまで意識していなかった彼の2度の結婚歴がどうにも気になっていく

出張先のクアラルンプールで数也と前妻が密会する疑惑が生まれ、友達に背中を押された南美は数也の出張に同行することに。しかし疑惑は深まるばかりで……。

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クアラルンプールの街並みが、どんどんと小さくなる。

離陸時の小刻みな揺れに包まれながら、南美は飛行機の窓から五日間を過ごした街を見下ろしていた。

上空から俯瞰することで、散策時には洗練された都会だと思っていた街にも、少し離れれば退廃した地区があると分かる。

―どんなに綺麗な場所でも暗部はある。

それはまるで、南美の心の内のようだ。

数也を愛し信じる心。そこに生じた、ほんのわずかな疑念。

「本当に楽しかったね。ありがとう。ついてきてくれて」

隣のシートから数也は微笑みかける。

「こちらこそ、お仕事なのにごめんね。でも私も楽しかった」

思いがけずスラスラと返事をした自分に、南美は驚いた。

どうやら数也と付き合い、安定した交際を続けていく中で、怒りや苛立ち、そして不安という感情を隠すことが上手になったようだ。

―数也さん、あなたは仕事のミーティングのフリをして前妻と密会していたんじゃないの?

渦巻く疑念を数也にぶつけなかったのは、これまでの恋愛人生を反省したからだ。

迷ったら即行動し、思ったことを口に出すことで、いつも失敗してきた。確たる証拠もないままに数也を問い詰めれば、関係が破綻するかもしれない。

愛するがゆえの行動から、愛する者を失う結果にはしたくなかった。

だから何も聞かないまま、いや、聞けないままマレーシアを発った。

「正直、数也さんのことが分からなくなりそうなの」

東京に戻るなり南美は、広尾の『ボンダイカフェ』に茉里奈と秀人を招集し、深すぎるほどのため息をついた。

「なんか、ごめんね。でも俺も正直混乱してる」

秀人もまた、ため息をつく。

会社は数也にクアラルンプール出張を命じてない、という衝撃の情報をもたらした張本人は、責任を感じているらしい。

「そう言うだろうと思って、私、いいこと考えてきた」

茉里奈は落ち着いた口調で、話に割って入った。

「私が思うに、南美は数也さんの浮気を疑ってるわけではないんじゃない?」

「うん…前の奥さんとランチしたぐらいじゃ、浮気とは言えないし…」

「南美は、数也さんのことを、もっと知りたいのよ」

「どういう意味?」

「数也さんは理想の男すぎて、裏が見えないわけ。だから不安なのよ。表も裏も全部ひっくるめて、数也さんのすべてを知れば安心するし、もっと数也さんのことを好きになるんじゃないかな?」

たしかにそれはある。南美は反射的に思った。でも…。

「でも、すべてを知るって、どうやって? 数也さんに『あなたの裏側を教えてください』なんて言えるわけないよ」

「数也さんの裏側を知る人間に会えばいいの」

「そんな人いる?」

「いるでしょ? 数也さんの元奥さんたち」

ふたたびとんでもない提案をしてきた親友。南美はまたもや行動を起こしてしまうのか…?

南美と出会う前、数也は二度結婚している。子供はなく、いずれも2年ほどで離婚に至っているそうだ。

数也はその過去を隠してはいない。むしろ初めて会った時から、事実としてちゃんと伝えてくれた。

勇気を出して離婚理由について訊ねたこともある。

「男としては恥ずかしいんだけど、2回とも奥さん側の浮気なんだ。でも向こうが悪いわけじゃない。女の浮気は、浮気に走らせた男の責任だから…」

数也の傷口をえぐるような気がして、南美はそれ以上は聞けなかった。でも結婚が現実味を帯びてきた今は…。

「数也さんから詳しく聞けないなら、相手の元奥さんに聞けばいいの」

「…それが茉里奈が思いついた『いいこと』なの?」

茉里奈の大胆すぎる提案に、南美は飲んでいたコーヒーを吹き出しそうになった。

「うん。昨日の夜、飲みながら考えた」

「飲みながらって…。楽しんでない?」

「楽しんでる。でも私、難しいこと言ってないよ?だって南美、本当ならクアラルンプールで福原ほのかと会うつもりだったんでしょ?」

しかし福原ほのかはトークイベントを急きょ欠席し、直接会って話すことはできなかった。

「けど、あれは数也さんとの関係を隠して会うつもりだったから…」

「だから今度は正体を明かしてから会うの」

茉里奈が言うには、クアラルンプール在住の福原ほのか以外にもう一人、数也の元妻がいるはずだから、その女性と密会して話を聞けばいい、とのことだった。

「『私はこれから数也さんと結婚する予定の女です。つきましては数也さんとの結婚生活の注意点を教えてください』って聞くのよ」

茉里奈はまくし立てるように言った。

長年の付き合いで分かる。こういう時の茉里奈に何を言っても無駄だ。

南美は、別角度からの疑問を投げ、親友の提案をやんわり拒否しようと考えた。

「聞けるもんなら聞きたいけど、もう一人の元奥さんなんて、どうやって捜すの?数也さんから連絡先を聞くことは、私にはできないからね」

「当たり前よ。全部、数也さんに内緒でやるの」

「内緒で捜すなんて、できっこないよ」

「できる。私たちには強力な情報屋がいるじゃない」

茉里奈はそう言うと、秀人に視線を移す。つられて南美も秀人を見た。

「…俺!?」

「そう、秀人なら捜せない人なんていないでしょ?」

テレビの放送作家として働く秀人は、番組に出演する素人を捜すリサーチャーとしても有能だった。

秀人は大げさに声をあげる。

「やだよー。こう見えて俺、忙しいんだよ?そもそもプロだよ?リサーチを頼むなら、それ相応のギャランティをもらわないと…」

秀人の言葉も終わらないうちに、南美はかぶせて言った。

「とにかくリサーチは結構。私は、数也さんに内緒でこそこそ嗅ぎまわるのは、もうやめるって決めたから」

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三日後。秀人は、数也の元妻の連絡先と資料を見事に揃えて、南美と茉里奈に提出した。

もともと数也と行きつけのバーの常連同士だった秀人にとって、この程度のリサーチは朝飯前のようだ。

「とはいえ、プロを働かせたわけだからギャラ払えよ」

「いくら?」と茉里奈が返す。

「そのうち夜メシおごってくれたらいい」

「ありがとう秀人。ほら南美も、秀人にお礼を言って」

「ありがとう…って、私、別に元奥さんと会うって決めたわけじゃないし。秀人も秀人だよ。頼んでもないのに、どうして勝手に調べちゃうの?」

南美は抗議するが、茉里奈も秀人も聞いていない。

「どれどれ。数也さんの最初の奥さんはどんな人だ?」

資料をめくり始めた茉里奈は、ほお、とか、へえ、とか感嘆の声をあげる。

―もうダメ。気になっちゃうじゃない。

しばらく我慢したものの、目の前に自分の知らない数也の過去があるとなれば、無視することのほうが難しい。

「ほら、やせ我慢しないで見たらいいの」

茉里奈に資料を押しつけられ、南美はついに秀人のリサーチ結果に目を通す。

クアラルンプールに移住した「福原ほのか」は、数也にとって二人目の妻だ。

最初の妻の名は「竹中桜」。

現在35才の数也が、同い年の桜と結婚したのは25才だった。一度目の結婚時期については南美も知っていた。

その後27才で桜と離婚し、30才でほのかと再婚、そして32才で離婚。

最後の離婚が今から3年前であることは知っていたが、数也の2度に及ぶ結婚と離婚のタイムラインを把握するのは、初めてだった。今まで無意識に知ることを避けていた。

結婚当時、専業主婦だった桜は現在、結婚前の仕事であるパティシエに復職しているらしい。

二人目の妻・ほのかがインフルエンサーの経営者であるため、数也は最初の妻にどんなキャリアウーマンを選んだのかと気にかけていたが、案外、家庭的な女性を選んでいたようだ。

「で、南美どうするの?秀人がここまで調べてくれて、会わないって選択肢はないと思うけど?」

茉里奈は大きな瞳を細め、南美に決断を迫る。

―迷ったら、走れ。

自らのモットーが脳裏をよぎる。

やってはいけない、とは、わかっている。愛する男と結婚するために、その男の前妻にわざわざ会いに行く女が、一体どこにいるというのか。

でも…。

今、行動しなければ一生後悔するかもしれない。後悔したまま数也と一緒にいることは、数也にも自分にも失礼だ。

―“行動”を起こすのは、今回が最後。

今回のことを乗り越えたら、もう二度と、数也に黙って“行動”はしない。

むしろ、数也を心の底から信用するための“行動”だ。もはや、これしかない。決断の時。

「数也さんに全部内緒でやれるなら…」

か細い声で南美が答えると、それを補うほどの声を茉里奈が張り上げた。

「そうこなくっちゃ!」

間髪入れずに秀人は吹き出す。

「声、デカすぎ。自分ごとかよ」

「南美の悩みだよ?他人ごとにはできないじゃん」

大きく息を吐いてから南美は言った。

「ありがとう二人とも。持つべきものは親友だわ」

数也の最初の妻と、南美はついに接触する。彼女は一体、何を話すのか…?

秀人にもらった連絡先には、竹中桜のケータイ番号があった。

その夜、南美は時間をかけてショートメールの文面を作った。

「はじめまして。ご無礼を承知でメールさせていただきます。私は上条南美と申します。藍沢数也さんとお付き合いをしている者です。桜さんの連絡先は偶然、彼の部屋にいる時に知りました。

このメールのことは数也さんは知りません。もし良ければ、お会いして話せませんか?』

熟考を重ねた文章を、勇気を振り絞って送信する……つもりが、なかなかできない。

―もし桜がこのメールのことを数也に漏らしたら。

その時は仕方ない。数也に抱いた疑念と不安を正直に伝えよう。クアラルンプール行きは本当に仕事の出張だったのか…。福原ほのかと密会するためだったのではないか…。

今、大事なことは、数也のすべてを知ること、だ。

決意を新たにし、南美はメールを送信した。

全身の鼓動が否応なしに高まる。体がじわじわと熱くなり、送信後1時間近くもボーッとしてしまった。

AppleTVで見ていた映画はいつの間にか終わっていた。画面はスクリーンセーバーとなり、海外の絶景を漫然と流している。

やがてハッと我に返る。スマホが鳴ったのだ。

それはショートメールの受信音。日頃はあまり聞かない音だった。

相手は…未登録の番号だ。

『こちらこそ初めまして。いつかこんな日が来るかと思ってました笑。ぜひお会いしましょう。竹中桜』

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竹中桜は、骨董通りのあのカフェを、待ち合わせ場所に指定してきた。

南美と数也が日頃から「世界一美味しいクロックムッシュが食べられる」と言っている、あのカフェだ。

ウィークデーの仕事帰り。しかし南美はいつもの高さのヒールは脱いで、あえてスニーカーで向かった。メイクも朝から薄めにし、服も派手ではないものを選んだ。

あなたの敵ではありません。全身からそれを伝えたかった。

戦闘服に身を包むような高揚感すらあった福原ほのかの時と違っているのは、「桜は家庭的な女性だ」という先入観があったからだろう。

しかし指定された店に面食らった。

待ち合わせ時間より30分も早く到着した南美は、居心地悪いまま桜を待った。

―いつもは数也さんと休日のブランチをする店で、今は数也さんの元奥さんを待っている。

20分後、桜が来た。

秀人の資料に桜の写真はなかった。もちろん数也から桜の写真を見せられたこともない。でも一目見て、どういうわけか理解した。

あの女性が、数也の最初の妻・竹中桜なのだ、と。

高いヒールを履いていた。メイクもばっちり決まっていて、服にもセンスがあった。

南美と同じファッション業界の人間だと言われても、福原ほのかのようなインフルエンサーだと言われても、信じてしまいそうになる。

竹中桜は、戦闘服をまとって現れたのだ。

「上条南美さんだよね?」

桜は頬を緩めて言った。しかし目は笑っていない。

「はい。初めまして。上条です」

挨拶ののちに着席すると、桜は店内を見渡して言った。

「実は、この店、すごく懐かしいの。数也と一緒に『世界一のクロックムッシュが食べられる』って言ってたから」

その瞬間、南美は殴られたような衝撃を覚える。

丸腰で現れた南美に対し、桜は戦いを挑んできたのだ。

「いきなりだけど、驚かないでね」

注文も決めずに桜はラッシュをかけてくる。

「あなたのことを思って言う。数也は嘘つきよ」

「えっ…」

「悪いことは言わないから、騙される前に逃げなさい」

「……」

南美は言葉を失った。

桜は申し訳なさそうに、それでいて満足げに言った。

「あなたに会いに来たのは、そのことを忠告したくて。もし数也と結婚を考えているなら、すぐにやめた方がいい」

南の心の内から明かりが消え、すべてが暗部と化した。

▶Next:9月29日 月曜更新予定
最初の妻が暴露する、数也の衝撃過去とは…!?

▶明日9月23日(月)は、人気連載『立場逆転』

~高校卒業後15年。再会した2人の人生は180度違うものとなっていた…。女のプライドをかけた因縁のバトル、続きは明日の連載をお楽しみに!

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