千葉県民が見た千葉ダービー。9年前のライバル関係はそこになかった

千葉県民が見た千葉ダービー。9年前のライバル関係はそこになかった

  • Sportiva
  • 更新日:2019/06/24

毎年、プレシーズンにチバテレ(千葉テレビ放送)で流れていたから、千葉県民である筆者にとっては久しぶりという感じはなかったが、リーグ戦での対戦は9年ぶりだそうだ。千葉ダービーのことである。

9年前も、舞台はJ2だった。前年にともに降格の憂き目にあい、ついに千葉県からJ1のチームが消えた年である。

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千葉に帰ってきた佐藤寿人はチームの現状を憂う

もっとも、両者はそこから対極の道を歩む。柏レイソルは1年でJ2から抜け出すと、翌年にはJ1優勝も実現。クラブワールドカップにも出場し、ACLの常連にもなった。

一方、ジェフユナイテッド千葉は、あれ以来、すっかりJ2が定位置となっている。J1昇格に迫った時もあったが、近年はJ2でも低迷し、昨季は史上ワーストの14位に終わった。イビツァ・オシム監督に率いられ旋風を巻き起こしたのも、今や昔。今年でJ2在籍は10年目を数えている。

両者の関係性は、すでにライバル同士のそれとは異なるのかもしれない。1年でのJ1復帰を目論む柏と、J2にどっぷりとハマってしまった千葉。「やるか、やられるか」というダービーマッチ特有の殺伐とした雰囲気を、この試合から感じることはできなかった。

試合は立ち上がりから、柏が主導権を握った。開始早々に江坂任が決定機を迎えると、10分にもクリスティアーノが惜しいチャンスを迎える。激しいプレスでくさびを潰し、相手の高いラインの裏を鋭く突いていく。一方的な展開に、両者の実力差が早くも浮かび上がった。

25分にクリスティアーノが豪快に先制点を叩き込むと、39分には右サイドを完璧に崩して、瀬川祐輔が追加点を奪取。前半のうちに勝負は決したと言っていい。

後半は千葉がボールを持つ時間が増えたものの、柏は落ち着いた対応でこれをいなし、カウンターから決定機を次々に創出。追加点こそ奪えなかったものの、2−0と危なげなく勝ち点3を手にしている。

「今日は我々が最初から最後まで、ほぼゲームを支配することができたんじゃないかなと思います。相手の分析に基づいてトレーニングを積み、こういう形で結果を収めることができて非常によかった」

ネルシーニョ監督は、穏やかな表情で試合を振り返った。

一方、敗れた千葉の江尻篤彦監督は、悔しさを押し隠しながら、完敗を認めている。

「試合は見てのとおり、前半は相手の圧力に後手を踏んでしまい、それが後半も続いてしまった。負けを受け入れないといけない試合だった」

柏にとっては、今後につながる大きな1勝となった。なぜなら、ここまで相手を圧倒する戦いを示せていなかったからだ。

柏は昇格候補の筆頭に挙げられながら、対戦相手の警戒にあい、思うように勝ち点を積み上げられていない。とりわけ、得点力には大きな課題を残し、押し込みながらも人数をかけて対応する相手の守備を崩しきれない試合が目立っている。

「他のチームは『何とか食ってやろう』という高いモチベーションで僕たちに挑んでくると思います。去年も落ちたチームが上がれなかったように、J2のレベルも上がってきている」

開幕前に大谷秀和はそう語っていたが、図らずもその言葉が現実のものとなりつつあった。

そのなかで迎えた今回の千葉ダービー。しかし、そんな停滞感を払拭するに十分なパフォーマンスを示したのだ。

17対2というシュートの数もさることながら、複数得点を奪えたのも好材料だろう。第19節にして、これは3度目のこと。これまで、いかに柏が苦しんできたかがうかがえる。

「あれだけ高いラインで来る相手はなかなかないので、裏を取りやすかったし、ハマった部分はある」

大谷は、攻撃が機能した要因が千葉の対応にあったと分析する。実力上位のチームに対し、ゴール前に人数をかけて守るのが常套手段。ここまでの柏は、そうした相手に苦戦を強いられてきた。

しかし、千葉はリスクを承知で高いラインを保つ戦いを標榜するため、前線のスピードを生かしやすい状況にあったのである。それを認めつつ、大谷は手応えも口にする。

「この間の福岡のように、下がってスペースを消してくる相手に対してどうするか。今日は3人目の動きでリュウ(小池龍太)が抜けたりしていたので、ああいう動きは引いた相手に効果的だと思う。全体の距離感も福岡戦に比べればよくなってきているので、もっと合ってくれば攻撃はよくなると思う」

1得点・1アシストで勝利の立役者となった瀬川も、前向きなコメントを残している。

「相手をポゼッションでいなすシーンが何回かあったし、レイソルらしいサッカーが垣間見えた。常にこのサッカーがベースだと思うので、これからもハードワークを続けていきたい」

これで柏は6位に浮上。自動昇格となる2位の大宮アルディージャとの差は4ポイントに詰まっており、1年でのJ1復帰に向けて視界が開けてきている。

一方、千葉にとってはポジティブな側面を見出しにくい完敗となった。高いラインを保ち、後方からボールをつなぎながら主導権を握る狙いはあったものの、柏のプレッシャーの前にパスをつなぐことがままならず、結果的にロングボールを狙う場面が増えていた。その意味で、結果だけでなく、内容的にも乏しい一戦となっただろう。

後半頭からピッチに立った佐藤寿人は、不甲斐ない戦いに、厳しい表情を崩さなかった。

「後ろにもいい選手がいる今日の相手を考えれば、アバウトなボールで(1トップの)クレーベがひとりでがんばるのは、決していいアイデアとは言えない。相手の嫌な場所に入ってボールを受けて、前に運んでいく。それを前半からなかなかうまくできていなかった」

そんな状況をベンチから見つめていた佐藤は、FWながら中盤に下がってボールを引き出す役割を率先してこなしていた。ストライカーとすればゴール近くにとどまりたいのが本音だろうが、佐藤は状況改善を図るべく、その欲求を抑えてまで、本来の役割とは異なるプレーを実践したのである。

18年ぶりに古巣に復帰したストライカーは、チームの現状にもどかしさを感じているようだった。

「みんな、できないわけではない。でも、アバウトなボールに全体として逃げていた。相手のプレスがそんなに激しかったわけではないのに、必要以上に受けてしまっていた」

たしかに、柏はJ2では図抜けた実力を備えたチームである。佐藤自身も力の差があったことは認めている。それでも、および腰で臨んでしまえば、ハナから勝負は決まってしまう。やれるのに、やらないことこそ、もったいないことはない。

「その差を埋めていって、上回っていかないといけない。『力の差があったな』というふうに終わらせてはいけない。この悔しさをどう変えていくか。下を向く時間もないし、そんな立場でもない。はっきりとしているのは、もっとやらないといけないということだけ」

J2を安住の地としてはいけない――。佐藤の主張には、そんな思いが込められているように感じた。

まもなく今季も、折り返し地点を迎える。置かれた状況は異なるものの、このダービーマッチが両者にとってのターニングポイントとなる可能性はある。それぞれ手応えと危機感を得た千葉県の2チームは、今後いかなる戦いを見せるのか。千葉県民にとして、興味深く見守っていきたい。

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