クリエイティブとPRで“共感”を得る極意

クリエイティブとPRで“共感”を得る極意

  • JBpress
  • 更新日:2017/10/16
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BIRDMAN創業者でデジタルディレクターの築地ROY良氏(左)とアウル代表取締役兼CEOの北村俊二氏(右)。BIRDMANのミーティングスペースに設置されているバーカウンターにて

2017年7月20日、クリエイティブプロダクションのBIRDMANとPR会社のアウルが業務提携を発表した。「今回の提携はよりお客様の要望を汲み取り、効果のあるクリエイティブを生み出すための足がかりです」と語るアウル代表取締役兼CEOの北村俊二氏。どんな未来像を描いて今回の提携に踏み切ったのか、北村氏とBIRDMAN創業者、デジタルディレクターの築地ROY良氏に話を聞いた(以下、敬称略)。

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プロジェクト早期からPRとクリエイティブを並走させる

――アウルとBIRDMAN、それぞれの事業領域を教えてください。

北村 アウルは戦略を意識したPR会社です。メディア露出を増やすほか、クライアントの広報、マーケティングなども含めて分析を行い、戦略を一緒に考えて行くことを強みとしています。弊社が提供しているトレンド記事を素早く発見できる検索エンジン「RUNDA」はインターネット上のニュース2000万件のデータを保存しています。このエンジンから“いま”、”これから”何がトレンドになっているのかを調べて、提案していくことで素早く成果につなげていくことができると自負しています。

築地 BIRDMANは、東京とニューヨークにオフィスを構え、特にデジタル領域を得意とするクリエイティブ集団です。YouTube動画はもちろん、今年はNIKEの施策としてランニングコースにLEDスクリーンを立てて、自分のゴーストと併走できる屋外広告を作りました。いまはイベントや屋外広告など、あらゆるものにデジタルが関わっています。当初はWEBが主だったのですが、「デジタル」が介在するものなら何でもできる集団です。

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ゴーストと併走できるNIKEの屋外広告

北村 BIRDMANは今年、カンヌライオンズ(※1)でも17の賞をとりました。毎年数多くの広告賞をとっているクリエイティブ集団です。初めてお仕事でご一緒したのは、2015年に行ったクロックス・ジャパンの「空中ストア」のイベントです。軽さは視覚的になかなか表現がしづらいのですが、BIRDMANさんはドローンを使って表現してくれました。

築地 あれは上手くタッグが組めましたね。アウルさんがドローンを商用に使うというトレンドを創ってくれたので、ドローンの目新しさもあったのか開発段階から取材が入り、テレビで放送してもらいました。

北村 結果、CLIO賞も受賞でき、世界60カ国で報道してもらえました。

(※1 )ONE SHOW、CLIO賞と並ぶ、世界3大広告賞の一つ。

――トレンドを“創る”というキーワードが出ましたが、トレンドを掴むのと創るのは違うのでしょうか?

北村 掴むと創るは別です。トレンドを追っていると、トレンドが月、週、日時と細かく変動していることがよくわかります。夏前に“アイスクリームピザ”が注目されていたのですが、調べていくとピザのカタチをしたアイスクリームが話題を呼んでいることがわかりました。これが「掴む」ですよね。アイスクリームなのにピザのカタチをしているユニークさは、ほかの商材でも生かせるかもしれない。単純ですけど、中華屋さんにアイスクリーム餃子を提案しても面白いですよね。これが「創る」になると考えています。

築地 空中ストアの目玉はドローンがクロックスの靴を運んできてくれることでした。今ではみなさんドローンと聞けばどんなものか分かりますけど、2015年当時はまだ「ドローン?」という感じでしたよね。

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ドローンがクロックスを運ぶことで視覚的にも軽さを表現することができた空中ストア

北村 アウルの強みはAmazonの配達ドローンやセコムの警備ドローンなど「有名企業が採用した」など話題性のあるニュースが出る前夜、「どうもドローンって面白そうだぞ」というトレンドを拾えるところにありました。しかし、拾えたところでカタチにできないと意味がないですよね。その想いが今回の提携の足がかりにもなっています。

クリエイティブが“バズる”根拠を数値化する

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BIRDMANには世界3大広告賞を受賞した際のトロフィーが数多く並んでいる

――アウルとBIRDMANが提携することで双方、どんなメリットがあるのでしょうか?

築地 僕らクリエイティブ側の人間はクライアント企業に対して「きっとバズると“思います”」と曖昧な表現でしか言えない弱みがありました。正直な話、賞なんていくら取ってもクライアントの商材が売れてなければ意味がありません。斬新であったか、発想が今までになかったのか、それはすべて「どれだけ売れたのか」に結びつけるためだと常に考えています。アウルさんは斬新、面白いなど定性的な感覚を独自の視点を持ってリサーチ、数値化してくれます。私たちのアイデアも数値を元に「メディアにこのように広がっていきます」と言ってもらえることは大きなメリットです。

北村 私たちPR会社は社会で何が話題になっているのか、各メディアの傾向を見て、文脈に沿ったストーリーを描いていきます。今まではアイデアが決まって、クリエイティブが進んだ最後に「PRはどうしよう」となることが多かったんです。その段階で私たちにできることは「どう告知しよう」ぐらいでした。トレンドは分かるし何を作ればいいのかは分かるので、実際にカタチにできるBIRDMANさんのお力を借りることで、双方の利点を生かすことができます。

築地 ここ数年で、広告に求められることが“共感”に変わってきています。SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)の普及によって、ユーザー一人一人がメディア化している時代に、いかに人に伝えたくなるようなものを作るか。しかし、意図しないことで共感が広がってしまい「炎上」になってしまうこともあります。不満、違和感を書く人は一部であるにも関わらず、社会に与えるインパクトが大きくなってしまいます。同じ共感なら「楽しい」「面白い」で広がって欲しい。アウルさんには、意図とは違う共感にならないようにパブリックリレーションの視点と経験もお借りできればと考えています。

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アウルの検索エンジン「RUNDA」の高機能版「RUNDA Pro」の表示画面。話題順、Facebookいいね!数順、はてなブックマーク数順、掲載日順で検索結果をソートできる

――背景には、実際にPRとクリエイティブとの仕事に壁を感じたり、苦労されたりしたことがあったのでしょうか?

築地 私たちに対応してくれるクライアント企業の担当の方は若く、チャレンジ精神も旺盛ですが、決裁権を持つ方はやはり数字でわかる根拠を求めます。立場だけではなく、SNSを自身で日常的に使っていなければ、SNSでの拡散効果も肌感覚で掴むことは難しいものです。

クライアント企業の皆さんもこうした課題を感じながらも、面白いもの、話題になるものを作りたいと考えていらっしゃいます。私たちが自信を持って「面白いです」「話題になりますよ」と言い切れる根拠があれば、思い切ったアイデアをカタチにできるのでは?と思っていました。

北村 消費者に拾ってもらえるかは、小さな気持ち、想いを汲み取れるかにかかっています。スマートフォンがない時代、CM制作に1億円かけることもありましたが、今はテレビを持っていない人も増えています。そのため、クライアント企業はどこにどう露出すれば良いのかと模索をしています。BIRDMANとアウルが協力して「このメディアにこのクリエイティブで出してみませんか?」と提案できれば、こうしたみなさんの悩みを解決に導けます。

コンドームのプロモーションで共感を得るには

築地 オカモトの日本でのコンドーム着用率を上げるためのプロモーション「LOVERS研究所」を弊社で担当しました。コンドーム専用ウェアラブルデバイス「ゼロワンベルト」を開発したというストーリーで動画を作成し、プロモーション用に「ゼロワンベルト」も完成させるというものです。

ベルトからコンドームが飛び出すというアイデアを至って真面目にプランニングしているのですが、アイディアが奇抜なために、あと一歩が踏み込んで実行するための客観的な根拠を持つことができずにいました。どうすればクライアントに納得してもらえるかと悩んでアウルさんに協力してもらっています。

北村 コンドームは主なメディアで広告展開ができず、既存メディアで露出するのが難しい商材です。真面目なメッセージを本気で伝える企業の姿勢を、SNSのユーザーに好意的に拡散してもらう仕掛けが必要です。アウルがなぜその商材がメディア露出しづらいか、その商材が世界的、日本ではどういう印象を受けているのか、また利用者の数、傾向を分析して定量的な数字を出すことで「これだったらやりましょう!」と一歩を踏み出してもらえました。実際にTwitterでは150万アカウント以上に拡散し、動画は関連動画も含めて数10万回再生されました。

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プロモーション用に実際に作成した「ゼロワンベルト」。Twitterでは「欲しい」「かっこいい」など高評価のコメントと共に拡散した

築地 世界的にもコンサルティング会社がデザイン会社を買収したり、さまざまな業界と私たちのようなクリエイティブに関わる会社が結びついています。どの業界でも共感がキーワードになってきているのではないでしょうか。

「面白そう」という定性的な感覚と「これだけ成果が出る、拡散する」というロジカルな定量的要素を結びつけて、クライアントや消費者に“共感”をしてもらいたい。北村さんも言うように、壁を感じたというより、両社が力を合わせればより思い切ったことができる、面白い、楽しいと感じてくれる人が増えることを期待しています。

――提携の強みはどんな部分で生かそうと考えていますか?

北村 企業には何人にリーチしたのかだけではなく、その先の何人に繋がったのかソーシャル反響に興味を持って欲しいと考えています。そのためにアウルがリサーチと企画部門、BIRDMANさんがクリエイティブ部門として、両社が一つになって“面白くかつ広まる”企画を実現していきたいと考えています。

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