アメリカが、中国経済を潰すまで「貿易戦争」を止めない理由

アメリカが、中国経済を潰すまで「貿易戦争」を止めない理由

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  • 更新日:2018/07/17
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現在、アメリカ経済は絶好調で日米ともに株高となっていますが、この景気はいつまで続くのでしょうか。そして、米国が中国から輸入する多くの品目に関税をかけて「米中貿易戦争」が始まっていますが、この戦いは日本にどのような影響を及ぼすのでしょうか。メルマガ『国際戦略コラム有料版』の著者・津田慶治さんは自身のメルマガで、日々変わる世界経済の動きと、日本人のとるべき行動について、その根拠を並べながら解説しています。

円独歩安で円変調か?

円独歩安(えんどっぽやす)で、日米ともに株高になり、バブルが大きく成長している。米国消費者物価は2%になり、米経済は過熱で今以上の物価上昇も視野。FRB(連邦準備理事会)は年内に4回の利上げを行うという。今後を検討しよう。

0. 米経済過熱

米国経済が順調である。米国消費者物価が2%以上も上昇して、FRBは年4回の利上げを行うとしている。この金利上昇でドルの還流が起きてドル高になり、企業決算も利益幅が上昇し、実質的な失業率も下がり、経済は絶好調である。還流したドルで10年国債を買っているために、10年米国債の金利も低下してきた。

このため、10年国債と2年国債の金利差が縮小し、イールドカーブの平坦化が起きている。しかし、この現状は心配ないという意見が出てきた。

ホワイトハウスの経済顧問だったジャレッド・バーンスタインなどが、景気後退の前触れとされるイールドカーブの平坦化ないし逆イールドカーブは、今回は心配するに及ばないという。今回は今までとは違い景気が良いからであるという。現時点の米国景気は絶好調であることは間違いないが、現時点が最高点を示しているともいえるわけである。そして、野村證券の見解も同じ様だ。

またもや、「今回も心配ない」が出てきた。今までのすべてで「逆イールド」になって1、2年程度で、景気後退して株価が下落していた。強い相関がある。でも毎回、「今回は心配がない」という株アナリストや学者が出てくる。

1. 円変調

しかし、今回は何かが違う。「イールドカーブの平坦化」や「米中貿易戦争へのリスク回避」で円買いになるはずが、逆イールドは心配なく、米中貿易戦争は中国の負けだから中国が妥協するはずで貿易戦争は心配がないと、リスクオンではなくリスクオフになり、米株価のナスダックは最高値を更新し、ダウも2万5000ドルを回復している。リスクオフなので円安になって、日経平均は400円も上昇している。このように、日米でヘッジファンドがバブルを作り始めた。

このため、貿易戦争で世界経済に変調をきたすというファンダメンタルではなく、当面の企業収益を期待したテクニカル的な取引が中心になっているようである。このため、円が急落したことで、コンピューター取引で売りが売りを呼んでいる。ヘッジファンドも円持ちを解消したという。

今まで成り立っていたいろいろな相関関係はトランプツイードで破壊されているが、とうとうリスクオンの考え方も変化して、円は多くの通貨に対して安くなり、円独歩安ということになっている。ドル円だけで円安というわけではない。これには理由がある。

世界の投資家たちの円の見え方が変化したように感じる。日本の将来は、人口減少で経済規模が縮小して、2019年にも衰退が始まり将来が暗いと見られ始めている。「アベノミクスで経済発展する」と安倍首相は数年前に宣言したが、そうなっていないことに気がついて、日本投資を引き揚げている。海外投資家の日本売りが始まっているからだ。5月のGDPはマイナスで、やはりという感じになっている。

2. 新規日本国債の売却できず

それと同時に、新規日本国債が売れない。日本の金融機関は金利0.1%程度の日本国債を買えない。今までは米金融機関が日本国債を買っていたが、その買いが出ない。ドルプレミアムを取り、日本の金融機関にドル・円交換の際は、年利2.5%乗せていたので、金利0.1%程度の日本国債でも買えていた。日本の金融機関は交換したドルで米国債を買っていたが、金利が下がり、10年米国債でも金利2.8%になり、実質年利0.3%しかないので米国債を買えなくなり、ドルプレミアムを介した取引をしなくなっている。

しかも、株価には反映していないが、現時点で10年米国債は最高値で売れるので、日本金融機関はそれを売って、円安になり円に戻して巨額の儲けを出している。このため、米金融機関も円を持てなくなり、日本国債を買えないことになってしまった。

これらのことから、日本国債が売れない事態となっている。今後、日銀が直接、新規国債を買うことになりそうである。もちろん、それができないので、日銀が依頼して、手数料を払って日本の金融機関に買ってもらい、そのまま日銀へ転売となる。

この事態が発生すると、海外投資家への円に対する信頼がなくなり、円安になり始める。その事態が起きていると見た方が良い。

心配していた事態が、とうとう起きてしまったようだ。日銀もこの事態を知って対処を考えているが、財政支出を拡大し国家予算の赤字幅が増えたため新規国債を大量に売るしかなく、そのままにすると金利が上昇してしまうので、日銀は新規国債を買うしかない。つまり、日銀の金融緩和により円安が起きている。日銀が予算ファイナンスをやりすぎた結果が、このような事態になったのだ。

このため、円独歩安は気を付けてみる必要がある。これは「ハイパーインフレ」への道に入り始めているように感じる。安倍首相の経済政策「アベノミクス」の失敗が明らかになる日も近い。総裁選挙までは持つと思うが、参議院選挙まで円が持つであろうか?

同様に東京市場の株価も、日銀のETF(上場投資信託)買いにより、株価が上昇しているように見えるが、海外投資家は徐々に売り主体になっている。それが、空売り比率が50%以上になっている理由でもある。しかし、日銀が介入しているので売り崩せないでいるので、一度、株を上昇させてバブル化させ、バブル崩壊の売り崩しに来る可能性がある。要注意である。

3. ドル高をいつまで我慢するのか?

トランプ大統領は、製造業を取り戻して、賃金水準が高い白人労働者の職を確保したいはずである。そのために、貿易戦争をして自動車や鉄鋼・アルミなどに関税を掛けると騒いでいる。

製造業の製品輸出には、ドル安の方が良いはずであり、ドル高は製造業にとっては良くない。また、米国債の償還でもドル安の方がよいに決まっている。

しかし、今はドル高になっている。これは、いつかトランプツイード攻撃が出てくる。その時、逆回転が起きて円高ドル安になり、その途端、バブル崩壊で一気に株暴落になってしまう可能性がある。どうか気を付けて下さいと言うしかない。最後まで「株高」についていかない方が良い、どこかで降りることである。

4. 中国経済

米国は、中国が関税を掛ける農産物に補助金を出すという。中国は米国の関税に対して、輸出品目が多いので人民元を安くして対応するが、そのために中国企業のドル債務返済が難しくなる。

人民元安ドル高という状況下、中国経済は大変なことになるかもしれない。ドル建ての貿易量は増えているが、今年の上半期の経常収支は300億ドルの赤字になり、資金繰りがつかない会社が多数、存在しているようだ。事実、中国企業がNECの半導体会社を買収するはずが、資金繰りがつかず断念している。

このままだと、中国は「米中貿易戦争」の敗者になる可能性が高いが、「中国製造2025」を撤回できないので、中国は米国への対抗処置を取らないだけの可能性も出てきた。しかし、米国製品の不買運動は、中国国民の中で出てくることになる。

5. 中国の強国論が早すぎた

トウ小平は、「爪を隠して、身をかがめて米国に追従し、実力が出たら、その時に中国は出るべき」と言っていた。習近平は国内での権力を強固にするために、中国の強大化と覇権を取ることを目指して、「一帯一路」と次に「中国製造2025」を提唱して、米国に戦いを挑んで覇権を取りに来た。

しかし、結果的には早すぎたようである。このままでは、米国が中国経済を潰し、中国経済はメチャクチャにされてしまう。もう一度、トウ小平の教えに戻るべきであるが、それが習近平国家主席にはできない。

とすると、中国国内でリーダー交代が起きる可能性も出てくる。団派が太子党から権力を奪い返す可能性である。そして、もう一度、米国との関係を元に戻し、米国をはじめ世界各国と公平で互恵的経済関係を中国が構築することである。

それには知財権を侵害するような商品を作る企業を撲滅するために、社長以下重役たちを重罪にするほどの強い政策が必要である。また、中国政府は、軍事秘密情報を盗むためのハッカー攻撃を止めることである。先端技術でも政府の補助金などを出さないで、公平な競争条件を確保することが必要になる。

そうしないと、米国は中国経済を潰すまで、貿易戦争の戦いを止めない。

米中貿易戦争を日本は見ているだけであるが、中国経済破壊の影響は大きい。中国の指導者が変わった段階で、日本は米中の仲介をするべきである。

さあ、どうなりますか?

image by:photocosmos1 / Shutterstock.com

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