「それ、取るんだ」 日本最強FKキッカー・中村俊輔が明かす二人の“天敵GK”

「それ、取るんだ」 日本最強FKキッカー・中村俊輔が明かす二人の“天敵GK”

  • Football ZONE web
  • 更新日:2017/11/12
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【天才レフティーの思考|No.2】「隅っこに入ったもの以外は正直あまり嬉しくない」

J1ジュビロ磐田の元日本代表MF中村俊輔は、9月23日のJ1第27節、本拠地の大宮アルディージャ戦(2-1)でFKから1ゴールをマークし、自身が持つJ1リーグ最多直接FK記録を「24」に更新した。現在39歳のレフティーは、欧州の舞台や日本代表でも幾度となく鮮やかなFKを叩き込んでファンを魅了し、生ける伝説として日本サッカー界に君臨している。そんな男にとって、FKの際に印象に残ったGKがいるという。中村は“天敵”とも言える二人の選手を挙げている。

中村のFKといえば、セルティック所属時代に名門マンチェスター・ユナイテッドから奪った鮮烈な一撃が有名だ。

2006年9月13日のUEFAチャンピオンズリーグ(CL)グループステージ第1節、敵地ユナイテッド戦(3-2)。“夢の劇場”と呼ばれるオールド・トラッフォードで中村が放った約30メートルのFKは、元オランダ代表GKエドウィン・ファン・デル・サールも反応できない完璧な一撃だった。さらに同年11月21日のCLグループステージ第5節の本拠地ユナイテッド戦(1-0)、こちらも約30メートルの位置から強烈な弾道のボールを右上隅に決めた。これが決勝点となり、セルティックはクラブ史上初のCL16強入りを決めている。

いずれも世界的に高い評価を受けたが、中村は自身の“FK観”について次のように語った。

「キャリアのなかで、いろいろなFKを決めてきたけど、最終的にゴールの隅っこに入ったもの以外は正直あまり嬉しくないですかね」

「普通に弾かれた」と中村もショック隠せず

中村はここ一番のゲームでFKを決めて特大のインパクトを残してきた過去がある。 2007年4月22日のスコティッシュ・プレミアリーグ第34節、勝てばリーグ優勝という敵地キルマーノック戦では、1-1で迎えた後半アディショナルタイムに低い弾道のFKを左サイドネットに突き刺し、劇的な一撃でチームを優勝に導いた。

また日本代表では、2003年6月20日のコンフェデレーションズカップ・グループリーグ第2節フランス戦(1-2)で、名手GKファビアン・バルテズも届かないシュートが右ポストを叩き、そのままゴールに吸い込まれる圧巻のFKを沈めている。

それ以外にも、レッジーナやJリーグでも数々の美しいFKを決めてきた。しかし、意外にも本人の印象に残っているFKは、鮮やかにゴールネットを揺らしたものではなく、相手GKに止められたものだと明かす。中村が真っ先に挙げたのは、当時ブラジル代表でACミランの正守護神に君臨していたジーダだ。イタリア1部レッジーナ時代に対戦した経験を持つ。

「特に印象に残っているのは、GKジーダですね。よくFKキッカーが蹴る瞬間、GKがわざと一歩動いたりして牽制してくることがある。ジーダもそういうタイプで、絶対にニア誘っていると思ったので、逆を突いて良いコースに蹴ったんですけど、普通に弾かれた。あれはショックでしたね、今でも鮮明に覚えてる。でも、止められはしたけど、すごく充実感があったんですよね。それ、取るんだって」

「最近だと…」と挙げたJリーガーGKとは

中村からすれば、GKジーダの裏を取り、良いコースに蹴ったFKは、通常であればゴールに吸い込まれているはずだった。ところが、ジーダは中村に裏を取られたように見せつつ、難なくストップ。世界最高峰の攻防がそこにあった。

そのFKは失敗に終わったが、中村は純粋にその勝負を楽しんだのだろう。名GKジーダと対戦した時の様子を楽しそうに話す姿は、まさにサッカー少年のそれである。

さらに中村は「最近だと……」と続け、FKを止められて印象に残っている意外なGKの名前を挙げた。それは、今季から磐田でチームメイトとして共闘しているポーランド人のカミンスキーだ。

「カミック(カミンスキーのニックネーム)ですね。磐田に来た当初のFKで、ファーに蹴った時、カミックにも(ジーダと)同じように止められた。悔しいけど、後で本人に『あれ読んでたの?』って訊ねたら、『いや蹴ってから動いた』って。それを聞いて、なおさらショックだった」

悔しさを噛み殺しつつ、カミンスキー本人に話を聞くあたりは、強い向上心の表れとも言える。この話には続きがあり、それを聞いてようやく中村も腑に落ちたという。

解けたカラクリ「よくよく聞いたら…」

「でも、よくよくカミックに聞いたら、壁の下からボールを覗いて、こっちが蹴る瞬間に動くんじゃなくて、自分が助走を踏みそうだなと思ったら、キッカーに分からないように一歩少しずれるという工夫を密かにしていたみたいで」

カラクリが解け、胸のつかえが取れた中村は、新たな発見が嬉しかったのだろう。「GK側も、こっちが知らないところで駆け引きをしていたってことですね」と柔和な笑みを浮かべながら振り返った。

ジーダ、カミンスキーと、いずれも止められたFKの場面を今でも鮮明に覚えているという。「ショックだった」という悔しさが、さらなる成長の原動力であり、“最高の一撃”を追求する貪欲な探究心こそ、中村を世界屈指のFKキッカーたらしめている一つの要因なのかもしれない。

【了】

大木 勇(Football ZONE web編集部)●文 text by Isamu Oki

神山陽平●写真 photo by Yohei Kamiyama

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