回復した元野良猫「ぽんた」 スポンジ拾いは健康のバロメーター

回復した元野良猫「ぽんた」 スポンジ拾いは健康のバロメーター

  • sippo
  • 更新日:2019/05/24

腎臓への負担を軽くするために、血圧を下げる薬を毎朝家で与え始めてから、ぽんたの体調は目に見えて回復した。

(末尾に写真特集があります)

まず、フードを安定してよく食べるようになった。ぽんたには、療法食のドライフードを数回に分けて与えていたが、以前は、毎回の量を完食することはなく、ちょっと口をつけては残し、数時間後に残りを食べる、ということを繰り返していた。食欲のない日は、半日以上も放置されたままのこともあった。私は、療法食のウェットフードや療法食と似た栄養設計になっている高齢猫用のウェットフードも併用しながら、なんとか必要カロリーを摂取させていた。

それが、毎回のドライフードを残さず食べるようになった。食べ終わったあとも、もっと欲しそうな様子で器の前に座り続けたり、早朝に空腹を訴え、私を起こすようにもなった。

また、これまで登らなかった本棚の上に飛び乗ったり、ベランダに出たがったり、夜中にひとり徒競争のように廊下を疾走するなど、動きも活発になった。毛づくろいも爪研ぎも頻繁にし、むしろ腎臓病になる前より元気なぐらいだった。

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「なんかうまいもの食べてるの?」(小林写函撮影)

投薬を始めて1カ月後の血液検査では、腎臓病の進行を判断する血液中のBUN(尿素窒素)とクレアチニンの数値が、ともに少し下がっていた。体重は4.6kgから4.8kgに増加。これは、食事をねだるぽんたの様子がうれしく、ときに規定量以上のフードを与えていたからだ。

今後も投薬は続けて、特に問題がなければ、2カ月に1度の通院で、血液検査をしながら様子を見ていくことになった。点滴治療も、食欲が落ちた場合にのみ行えばよいとのこと。

野良猫だったぽんたを保護してから、10カ月が経っていた。慣れたと思ったら腎臓病発覚に膀胱炎と、初の猫との暮らしは予想もしていなかったことが続いたが、少し落ち着く兆しを見せていた。

自分が飼い主であるという自覚は強くなり、ぽんたとの距離も縮まっていた。

他の家の飼い猫の様子から判断するに、ぽんたはおっとりとした猫のようだ。「なーなー」とよく鳴き、おしゃべりではあるが、活動的なタイプではない。

いたずらもしないし、猫用のおもちゃにも、それほど興味は示さない。ぽんたが家に来たばかりの頃は、いろいろな種類のおもちゃを買って試してみたが、夢中になったのはじゃらし棒だけだった。

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「獲物を狙うときは左半身(はんみ)の姿勢が基本だぜ」(小林写函撮影)

そんなあるとき、ツレアイの部屋のドア下に貼っていたスポンジ製の隙間テープがボロボロになっているのを見つけた。ドアと床の隙間を埋めるために床に貼っていたもので、表面にボコボコ空いた穴の様子からして、どうやらぽんたの仕業らしい。

貼り替えると、その日のうちにまたちぎられていた。ぽんたにしてはめずらしい行動だと思っていたところ、その現場を目撃したので「あーあ、だめじゃない、ぽんちゃん」とたしなめた。

ぽんたはすぐにちぎるのをやめた。そして自分で食いちぎった2㎝ほどのスポンジを前脚でつつきながら、サッカーのドリブルのごとく、追いかけっこを始めた。

どうやら、このスポンジで遊びたかったらしい。

そこでツレアイは、未使用の隙間テープを3㎝ほどにいくつかカットし、両面テープを貼り合わせ、立方体とも球体ともいえないような「なんとなくボール状」のものを作った。

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「なぜかノーバウンドで捕球したくなるんだ」(小林写函撮影)

これを投げると、ぽんたは走って追いかけた。ボールを捕まえると前脚でつつき、蹴飛ばしては飛びつき、追いかけ、を繰り返しながら、ひとりでいつまでも遊んでいる。こちらが拾って投げてやると、のび上がってキャッチした。

この手製のスポンジボールは、ぽんたのお気に入りのおもちゃとなった。床に転がしておくと、毎日のように遊んだ。ただ、家具の隙間やソファの下に入ってしまうと、ぽんたは自力で取り出せず、じーっとボールながめてその場に座り込む。そうするとこちらが取り出し、また投げてやるのだが、毎回は面倒だ。

そこで私たちはこのスポンジボールをいくつも作り、見失ったら次のボールを与えるようにした。

掃除をすると、床のあちこちからグレーのスポンジの塊が出てくる。それを拾い集めるのは、ぽんたの健康のバロメーターであり、うれしい作業だった。

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(次回は6月7日に公開予定です)

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