韓国と香港の問題が激化するウラで、ビットコインが急騰しているワケ

韓国と香港の問題が激化するウラで、ビットコインが急騰しているワケ

  • 現代ビジネス
  • 更新日:2019/08/25
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韓国・香港問題のウラでいま起きていること

足元、国際社会でさまざま問題が噴出してきた。

2018年に韓国大法院(日本の最高裁に該当)が徴用工訴訟の差し戻し審で日本企業に対する損害賠償を命じたことに端を発して、いまや日韓対立が燃え盛っているのは周知の通り。韓国の文在寅大統領はいまだ「反日」を煽る言動を繰り返しており、韓国国内では日本製品の不買運動にまで発展している。

そこへきて、香港では逃亡犯条例改正問題をめぐるデモが過熱。昨年来より続いている米中貿易戦争も相変わらず収束する気配がない。

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〔photo〕gettyimages

このような国際問題は株や為替などの金融資産の価値を「棄損」するケースが多いことから、国際問題が過熱するほど、マーケットでは金融資産の価値下落に対するリスクヘッジ取引が増加する。

リスクヘッジ取引のセオリーは「有事の金」であり、確かにすでに上昇基調にあるのだが、じつはここへきて仮想通貨(暗号資産)にもそのヘッジマネーが流れ込んでいる動きに注目したい。当初からビットコインについてはその流通量が限られることから、金と同等の安全資産化するという見方が出ていたが、ここにきて仮想通貨が果たす安全資産としての役割が顕著になってきているようなのだ。

5月末に1300ドル/1トロイオンスだった金は、1500ドルをすでに突破。国際社会で有事リスクが広がる中、セオリー通りの値動きを見せている。かたや代表的な仮想通貨であるビットコインの値動きは足元、沈静化している。しかし、ここで大切なのはこの値動きが「堅調なまま」であることだ。

というのも、ビットコインは6月末に150万円近くまで上昇。一気に注目されたが、その後、7月中旬に一時、100万円を割り込む場面が見られたばかりである。しかし、その後は値崩れすることなく、ここへきて120万円水準まで値を戻しているのである。

もともとビットコイン相場の上昇は大規模な「売り方の買い戻し」といった需給主導での上昇だったことから、その後は「利益確定に押されて失速」というシナリオが容易に想像できた。が、最近のしっかりとした値動きを見る限り、明らかに仮想通貨に買いを入れる投資家が出現していると考えられるのである。

中国がどう動くか

こうしたビットコインの値動きの背景には、過熱する日韓関係などの政情不安があるのは間違いない。中でも、ここからは香港の大規模デモの「渦中」にある中国がカギになりそうなのだ。

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もちろん中国側は香港への政治的な介入を行っていないと主張するだろうが、現実としては香港の議会にあたる立法会が「中国寄り」となっているほか、親中派が多数を占める委員会にて承認された人物が香港の行政長官に立候補できるという法律が存在する点は見逃せない。

香港のトップである行政長官は、当選後、中国政府の承認を得る必要もあることから、中国による政治的な介入は明確に存在するともいえる。

また、来年2020年1月には台湾で総統選挙が行われる。

再選を目指す「反中派」の民主進歩党の蔡英文総統は、今年春まで劣勢が伝わっていたが、香港の大規模デモが長期化したことで、世論が中国による台湾への影響力強化を警戒する「反中派」に傾いている。実際、7月に実施された世論調査では「親中派」の中国国民党の候補者である韓国瑜氏を逆転する格好となった。

香港の大規模デモさえ発生しなければ、もしくは早い段階で抑え込んでいれば、台湾で「親中派」の中国国民党政権が楽に誕生した可能性が高かったので、香港の大規模デモの長期化は中国政府にとって大誤算といえよう。

政治的な介入を積極的に行っている中国だが、香港に駐屯している人民解放軍守備隊をデモ隊鎮圧に動員することは今のところ回避している。人民解放軍によるデモ鎮圧は、1989年6月の天安門事件を連想させるに十分だからだ。

ただ、10月1日には、中国政府にとって今年最大のイベントである「建国70周年」の式典が予定されている。中国が威信をかけて香港の大規模デモに対する強硬措置に動く可能性はあるが、その代償は大きい。

特に中国からすれば、軍事的な介入にともなうトランプ米大統領の攻撃的なツイートだけは避けたいところだろう。

すでに、ストレートな意見を発する「親台派」の米大統領補佐官のボルトン氏も8月に「香港で同じような記憶を作り出すことは大きな過ち」という発言をしている。香港の大規模デモに対する対応次第では、ただでさえ泥沼化している米中貿易問題がよりヒートアップすることにもなるだろう。

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「ゴールド」が40年ぶり高値へ

仮に中国が香港問題で強硬措置に動いた場合、米国は一部先送りとなった「第4弾」の対中制裁関税を早期に行い、中国も報復措置として直ちに対米制裁関税を行うことだろう。では、そのときマーケットにはどんな「有事」が起こり得るだろうか。

現在の株式、為替市場は追加関税を感覚的に織り込みつつあるが、企業業績への影響を数値として織り込むのは難しい。世界第一位と第二位のGDPを誇る国同士の経済戦争によって、工場の移転などに伴い一時的に設備投資が膨らむといった恩恵を享受できる企業や国はあるかもしれないが、総合的にはネガティブな影響を受けるイメージだ。

冒頭で述べた通り、先行き不透明感が高まっていることで金に注目が集まっており、「有事の金買い」は健在だ。NY金先物が6年ぶりの高値を更新しているほか、為替市場での円高ドル安も加わったことを背景に、円建ての金は40年ぶりの高値を更新しており、街中では手持ちの貴金属を売却する個人が増加している。

市場の不透明感が高まった際のリスク回避の金買いは当然のシナリオだが、オルタナティブ投資(株式、債券と相関しない運用を目指す手法)の一環として仮想通貨のビットコインにも資金は向かっていると見られる。

6月末、CME(シカゴ・マーカンタイル取引所)グループが手掛けるビットコイン先物の建玉が過去最高の水準まで積みあがっているとCMEグループがツイッターで公表した。

ライバルであるCBOE(シカゴ・オプション取引所)が6月19日にビットコイン先物取引サービスを終了させたことも影響しているが、機関投資家が先物を利用(先物を利用する理由は、ハッキングへの警戒とレバレッジだろう)してビットコイン取引の関心を高めていることが建玉増加の背景にあるのだろう。

ビットコイン爆上げへ…?

今のところ積極的なリターンを狙いに行くヘッジファンドが主体となってビットコインの買いに動いているようだが、いずれ年金資金も入るのではないかという声も出でてきた。

7兆ドルといわれる金の時価総額と比較すると、ビットコインの時価総額はわずか1700億ドルとトヨタ自動車のそれ(8月14日時点で22兆円)にも満たない小さな市場だ。

オルタナティブ投資の一環で金に投資してもリターンはわずかである(もっともリスクヘッジなので、金投資で大きなリターンを得ることは考えていないだろうが)。それならば、オルタナティブ投資の一環として、金に投じる10分の1の資金をビットコインに投資しても十分リスクヘッジはできるだろう。年金はすでにビットコインに資金を投じているかもしれず、ただ情報が伝わっていないだけかもしれない。

2000年初頭、原油先物市場に世界の年金が投資資金を振り分けたことで、原油先物は大相場を演じた。小さな市場に膨大な投資資金を投じて身動きが取れなくなるような投資(池の中のクジラ)は投機だが、オルタナティブ投資の一環として金への投資資金をビットコインに分散させるような動きは現実的に起こりうると考える。

今後、流動性の高い先物市場とオプション市場が整備されれば、2017年の個人主体だった投資資金とは比較にならない投資資金がビットコイン市場に流入することだろう。

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