「僕らが何者でもなかったら、もっとTwitterに依存していた」朝井リョウ(小説家)×三浦大輔(劇作家)対談

「僕らが何者でもなかったら、もっとTwitterに依存していた」朝井リョウ(小説家)×三浦大輔(劇作家)対談

  • 日刊SPA!
  • 更新日:2016/10/20
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就職活動を通して自分が“何者”かを模索する大学生たちの姿を描いた小説『何者』で、平成生まれ初の直木賞受賞作家となった朝井リョウ。現在公開中のその映画版『何者』で監督・脚本を務めたのが、『愛の渦』など卑近な人間の本質をえぐり出す作風で知られる演劇界の鬼才・三浦大輔だ。お互いの作品にシンパシーを感じたという2人に、現代人の自意識がだだ漏れになるツールであるTwitterについて辛辣に語り合ってもらった。すると、話はいつしか赤裸々な創作論へと展開していき……。

――映画でも重要なキーアイテムとなっているTwitterですが、お二人は、このSNSメディアとどう付き合っていますか?

三浦:昔はTwitterを毛嫌いしていて、正直こんなもので自己顕示欲や承認欲求を満たすのは格好悪いなと思っていました。でも、いざ自分でやってみるとやっぱり気持ちいいんですよ。だから今は、これは快楽を得るためのツールなんだと割り切って使うようにしていますね。

朝井:僕は中高生のTwitterを見るのが好きなんですが、物心ついたときからSNSに触れている彼らは“自分より幸せで楽しそうな人がいる”ことを恐れたり妬んだりする発想が僕ら世代より少ない印象です。自分自身の幸福を発信することにも抵抗がない感じ。そういう社会学的な気づきがあるので、新しいツールには触れるようにしています。

三浦:それは感じますね。『何者』の主要キャスト以外のオーディションをしたとき、「自分が最近つぶやいた一番イケてると思うツイートを、感情を込めて読んでください」という課題を出したんです。そしたら、「今日は素敵な人たちに出会えて超ハッピー」みたいなことを、みんなためらいもなく読み上げるんですよ。そこにもう含羞はないんだなと、少しカルチャーショックを受けました。

朝井:僕らより上の世代にはない感覚ですよね。たとえば以前、回転寿司屋で鼻に醤油差しを入れた写真をアップした学生客が叩かれたことがありました。あのとき、そのコの不用意な行動よりも、世間が「調子に乗っている楽しそうな大学生」を絶対に許さないことのほうに衝撃を受けたんです。それに比べたら、他人の幸せを屈託なく受け入れたり、自分の幸せを素直に表現できる今の若いコたちはとても健康的で、むしろいい方向に変化してると思います。

三浦:ただ僕は、『何者』の原作を読んだ後や、映画を撮影してからは、なおさら敏感になってストレートにはつぶやけなくなりましたよ(笑)。これは恥ずかしいことだとわかってますよ、とあえてお茶目な感じを装っているアピールをしちゃったり。

――小説や演劇といった世界で活躍していなかったら、ご自身もTwitterにイタいことを書いていたかも……と思ったりしますか?

三浦:全然してたと思います(笑)。

朝井:僕もです。自己表現欲求は全員に等しくあって、それをどこで発露するかの違いだと思うので、小説という出口があってよかったです。

三浦:それこそ、自分が“何者”にもなれていなかったら、もっとTwitterに依存していたでしょうね。今でも、ツイートの送信ボタンを押す瞬間は「食らわしてやる!」みたいな気分になることがあります。

朝井:「かめはめ波!」みたいな?

三浦:そうそう。ツイートする瞬間の「言ってやったぜ」みたいなドヤ顔の高揚感はなんなんでしょうね。あのときの自分ほど醜いものはないなと思ってますから。朝井さんはそういうときないですか?

朝井:ちょっと違うかもしれませんが、小説は、執筆中は高揚していてもラストを書き終えた瞬間に全部ウソになってしまったような冷めた気分になることがあります。Twitterも同じで、140字しかないからいろんな言葉を削ぎ落とすじゃないですか。そうして選んで残った言葉に自分の本質が表れていると思うと、途端にウソくさいような恥ずかしいような気持ちになりますね。『何者』は、そんなTwitterのウソ臭さと就活の面接が似ているなと思って書いたんですよ。

※このインタビューは10/18発売の週刊SPA!のインタビュー連載『エッジな人々』から一部抜粋したものです

【朝井リョウ】
’89年、岐阜県生まれ。早大在学中の’09年に『桐島、部活やめるってよ』で小説すばる新人賞を、’13年に『何者』で直木賞を受賞。2作は映画化されたほか、『チア男子!!』はアニメ化、『武道館』はドラマ化もされた。『何者』のアナザーストーリー『何様』が発売中

【三浦大輔】
’75年、北海道生まれ。演劇ユニット「ポツドール」を主宰し、センセーショナルな作風が話題に。’06年に『愛の渦』で岸田國士戯曲賞を受賞し、近年は海外の公演依頼も多い。’10年に『ボーイズ・オン・ザ・ラン』、’14年に『愛の渦』で映画の監督・脚本も務めた

取材・文/福田フクスケ 撮影/菊竹 規

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