金融危機から10年、いまだ消えぬ暗い影

金融危機から10年、いまだ消えぬ暗い影

  • WSJ日本版
  • 更新日:2017/08/10
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――WSJの人気コラム「ハード・オン・ザ・ストリート」

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時がたつのは早いものだ。それとも、思ったより長引くものだろうか。

世界金融危機を決定づける出来事の1つが起きてから、8月9日で10年を迎えた。それまでさまざまな前兆はあったが、2007年8月9日、フランスの金融大手BNPパリバが米国の住宅ローン担保証券(MBS)を組み込んだ3つのファンドについて、評価ができず「流動性が完全に枯渇した」として解約を凍結すると、金融市場が機能不全に陥った。各国の中央銀行はすぐに動き、欧州中央銀行(ECB)は950億ユーロを供給した。

それから10年がたち、中銀による資金供給はまだ続いている。08年の相次ぐ銀行破綻やユーロ圏危機、新興国の成長減速、原油価格の下落が立て続けに起き、全てが大きな問題をもたらした。ECB、米連邦準備制度理事会(FRB)、日本銀行のバランスシートは合わせて約14兆ドルに拡大している。

中銀が現在、異例の金融政策の解除について議論しているのは確かだ。世界各国の経済成長はここ数四半期でようやく足並みがそろうようになった。だがインフレ率は依然として低く、中銀は極めてゆっくり物事を進めている。

先の金融危機は今も市場心理に影を落としている。資産価格の高騰やボラティリティーの低さに対する懸念、慢心への恐れが広がっている。上昇相場は高揚感ではなく不安を生み出している。しかしこの根強い懸念は、市場の暴走を防ぐのに役立ち、プラス要因になるかもしれない。市場の低いボラティリティーは単に経済のボラティリティーの低さを反映しているだけかもしれない。米資産運用会社ブラックロックは、市場のボラティリティーが低い状態はあと数年続く可能性があり、これが持続的な成長をもたらしていると指摘する。

間違いなくショックはいつか発生する。北朝鮮を巡る地政学的緊張はまさに注目すべき新たな問題だ。中国の債務依存、ユーロ圏が今なお抱える脆弱(ぜいじゃく)性、金融刺激策の解除、ポピュリズムはいずれも注視する必要がある。しかし誰も警戒していない時にこそ警戒すべきだ。07年8月から10年たったが、その日はまだ訪れていない。

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