【現地発】真価が問われるバイエルン監督やドルトムントの智将など――ブンデス全18チームの指揮官を徹底分析 PART1

【現地発】真価が問われるバイエルン監督やドルトムントの智将など――ブンデス全18チームの指揮官を徹底分析 PART1

  • サッカーダイジェストWeb
  • 更新日:2019/08/24
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右上から下に、コバチ(バイエルン)、ローゼ(ボルシアMG)、グラスナー(ヴォルフスブルク)。左上からファーブル(ドルトムント)、ナーゲルスマン(RBライプツィヒ)、ボシュ(レバークーゼン)。 (C) Getty Images

2019-20シーズンのブンデスが開幕した。各クラブ、それぞれの目的に向けて戦力を補強し、思惑通りのシーズンを送るために準備を重ねていたようだ。

ただ、チームの戦績を左右するのは保有する選手の質と充実差だけではない。相手の力との戦力差を考慮したうえで戦い方を選択し、各々の力を引き出すための戦略を見つけ出さなければならない。監督の手腕は間違いなくカギとなる。

そこで、今季ブンデスリーガで指揮をとる全クラブの監督について、それぞれの特徴を解説していこう。パート1では6チームを紹介する。

バイエルン(昨季優勝)
監督【ニコ・コバチ】
期待度:○

昨季はバイエルン就任監督1年目でリーグとカップ戦の2冠獲得。この結果は大いに評価できる。自意識の高いスター選手ぞろいのチームをまとめ上げるのは簡単なことではない。選手起用や戦い方の折り合いをつけながらも、大事なところでは自分の意見を通し、チームとして成長させた点は高く評価されている。

今季はよりコバチ色を出していきたいところだろう。プレシーズンでは連日のハードなトレーニングで選手を追い込むなど、フランクフルト監督時代の“らしさ”も出てきている。2年目となり、バイエルン監督としての立ち振る舞いに慣れてきた様子も窺える。

また、戦術的にも変化がみられている。昨季以上に前線から積極的にボールを奪い、より攻撃的なサッカーを目指すようだ。課題は、ベンチワーク。選手交代でゲームを動かすことができないと、とくに強豪がひしめき合うチャンピオンズ・リーグ(CL)での上位進出は難しいだろう。
ドルトムント(昨季2位)
監督【リュシアン・ファーブル】
期待度:○

昨季は彼にとって、そしてドルトムントにとってセンセーショナルなシーズンになるはずだった。ファーブルは期待通りの手腕を発揮し、魅力的なオフェンシブサッカーを展開。シーズン前半戦はブンデスを席巻した。細かくポジションを修正させながら、素早いパス交換とタイミングよく裏に抜け出すフリーランでの崩しは、相手にとって脅威となる武器となった。

だが、相手チームが対策を講じ、ペナルティエリア付近で守備を固められると、それまでの迫力が薄れていった点は、今季の課題だろう。新戦力では、ドイツ代表SBニコ・シュルツに注目したい。1対1に強く、相手守備ラインの裏に抜け出すスピードがあるシュルツがいることで、ファーブルのアイデアは一層広がるはずだ。

また、彼に必要なのは、チームがうまくいかない時期でも選手を自信づける、強力なパーソナリティだ。前任のユルゲン・クロップほどのものを求めるのは酷だが、特に若い選手は、監督からのポジティブで力強い声が局面を分かつこともある。モチベーターとしての手腕を発揮できるかが、鍵となりそうだ。RBライプツィヒ(昨季3位)
監督【ユリアン・ナーゲルスマン】
期待度:◎

監督人事ではブンデスにおいて今季一番の注目株が、ナーゲルスマンだろう。ホッフェンハイムで確立したダイナミックなサッカーを、さらに昇華させることができるかが、対戦チームや選手を分析し、自チームの長所を生かすための戦略を考え出す能力は非常に高い。

だが、クラブ的には今季は就任1年目なので高すぎる目標を背負わせるつもりはないようだ。リスクを恐れず、切り替えの早い、チャレンジフルなサッカーを得意とするだけに、選手もナーゲルスマン流になじむ時間が必要だろう。

ホッフェンハイム時代はヨーロッパリーグ、チャンピオンズリーグを経験しながらも、選手層の薄さから主力選手を常時起用し続けなければずならず、シーズンを通しての安定感に欠けていた。

より戦力層が充実しているライプツィヒでは、選手起用のローテーションに関する手腕も求められる。また、時に選手が対応できないほど頻繁に戦い方を変えることもあるので、その辺りの細かいさじ加減に、選手たちが対応できるかどうかも注目だ。 レバークーゼン(昨季4位)
監督【ペテル・ボシュ】
期待度:◎

ポゼッション主体の魅力的なオフェンシブパスサッカーを得意とする。ボシュは多くのポジションにアタッカーを配置し、狭いスペースに選手をタイミングよく集め、ショートパスの交換で相手守備を崩す確かな戦術を持っている。

主力のユリアン・ブラントがドルトムントに移籍したのは痛いが、そこに次期主力候補である18歳、パウリーニョを起用するのはさすが。ドイツ代表主力候補である若きエース、カイ・ハベルツを最大限生かした戦い方で、上位争いに絡んでいきたい。

注目は、ボールの保持を条件に戦い方が整理されていることが多いので、不用意なボールロストが他のチーム以上にピンチに結びつきやすい点。これをどう修正するのか。さらに、攻撃的に考えるのか、あるいはバランスのとれた配置に落ち着くのか。ボシュの選択した戦術が注目される。ボルシアMG(昨季5位)
監督【マルコ・ローゼ】1年目
期待度:◎

大事なところで勝ち切れないことがクラブ気質になりつつあるボルシアMG。ザルツブルクからやってきたドイツ人指揮官マルコ・ローゼは、攻撃時には4-2-2-2を基盤に、ダイレクトパスとスペースへの飛び出しで、相手が反応するよりも速くゴールを強襲。守備では、前からプレスをかけていくサッカーを志向している。

スピードとテクニックを持つ選手が多いボルシアMGだけに、選手起用さえハマれば、うまく機能させる可能性は高そう。キーになるのはボールを回収する中盤の底。ここにハマる選手を見つけ出すことが、新戦術を機能させるために重要になるだろう。今のところトビアス・シュトロブルが安定感のあるプレーをみせており、期待がかかる。

また、ザルツブルクではローテーションをうまく機能させて選手を起用していた。その手腕を新天地でも発揮したいところだ。 ヴォルフスブルク(昨季6位)
監督【オリバー・グラスナー】
期待度:○

世間的にはまだそこまで知られていないかもしれないが、オーストリアのLASKリンツを躍進させた名監督だ。

ザルツブルクとの対戦では攻守の切り替えが非常に速く、見どころの多い試合を展開していた。グラスナーは理論的で選手へのアプローチもうまい。チームには質の高い選手がそろっているだけに、戦術が機能すればリーグをかき回す存在にもなれるはずだ。

ただ、前任監督ブルーノ・ラッバディアのもとでチームは堅守速攻をベースに戦っていただけに、新機軸となる3-4-3を選手に浸透させるまで時間はかかりそうだ。特に、守備におけるバランスが崩れるシーンが多く、ドイツカップ1回戦では3部リーグのハレに3失点。シーズン前半から多くを求めすぎず、じっくりと自分たちの基盤づくりをしながら、シーズン後半での追い上げという形にもっていきたい。

LASK時代と違い、各国代表選手をそろえるヴォルフスブルクで、グラスナーがどのような采配を振るうのかにも注目だ。
筆者プロフィール/中野吉之伴(なかのきちのすけ)
ドイツサッカー協会公認A級ライセンスを保持する現役育成指導者。執筆では現場での経験を生かした論理的分析が得意で、特に育成・グラスルーツサッカーのスペシャリスト。著書に「サッカー年代別トレーニングの教科書」「ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする」。WEBマガジン「中野吉之伴 子どもと育つ」(https://www.targma.jp/kichi-maga/)を運営中。

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