上場企業社長が新入社員に「学問のすすめ」を手渡す理由

上場企業社長が新入社員に「学問のすすめ」を手渡す理由

  • Forbes JAPAN
  • 更新日:2016/11/30
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各界のCEOが読むべき一冊をすすめる本誌の連載「CEOS BOOKSHELF」。今回は、不動産事業を展開する株式会社イーグランドの江口久社長が新入社員に渡している福沢諭吉の『学問のすすめ』を紹介する。

「天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らず」

福澤諭吉の著書である『学問のすゝめ』に書かれたこの一文を知らない人はいないでしょう。

しかし、当時の文体で書かれた書物を読み切るのは難しく、訳者が教えている大学生数百人のうち、読了した人はゼロ。福澤諭吉が創立した慶應義塾大学に通った私ですら、手にとったのは大学を卒業し、大手建設会社に勤務し始めた頃だったと記憶しています。

ご存じの通り、福澤諭吉は幕末から明治維新にかけて、海外の文化を日本国内に取り入れ、人々の生活を一新させました。また、病院や中央銀行、学校の基盤を築いたことでも知られています。

ペリーが黒船で来航し、開国を迫ったこの時代に、すでに福沢諭吉はグローバルな視点を持ちあわせ、困難や反対にも負けずに新しい制度をつくりあげたのは、いったいなぜでしょうか。

理由のひとつに、「学問」を通じて才能や人間性を高め、リーダーとして政府と同等に話ができたことがあげられます。

ただし、ここでいう学問は、「わかりにくい昔の文章を読み、和歌を楽しみ、詩を作るといった、世の中で実用性のない学問ではなく、手紙の書き方や帳簿のつけ方、そろばんや天秤のはかり方など、普通の生活に役立つ実学」だと訳者は記しています。

これを、現代に置き換えると、「事を成し遂げるためには、優れたビジネスマン、経済人としての知識を身につける必要がある」と読み解くこともできます。

世の中には、数えきれないほどのビジネス書があります。仕事ができるようになる方法、成功への道しるべが書かれたその本を参考にされる方も多いでしょう。しかし、企業も仕事もひとつとして同じものはなく、成功する方法もたくさんあるのです。

私は、就職が内定した段階で、新入社員に本書を一冊ずつ渡すことにしています。現代の言葉に訳された本書であれば、若い人たちの心にも自然に浸透し、易しく読み進めることができるでしょう。そして、学ぶことの本質をきっと理解してくれるでしょう。

福澤諭吉の教えのひとつに「独立自尊」があります。これは、「依存心の強い国民では国家は保てない。独立した人でなければ、他との交渉もうまくいかない」という意味ですが、国を企業に置き換えてみると、企業が社員に求めるものが見えてくるでしょう。

本書をきっかけに、社員一人ひとりが物事の良し悪しを自分で判断できるようになり、さらに自分を磨き、人として成長を目指し続けてくれるようになれば、彼ら自身のためだけにとどまらず、会社や社会全体のためになると考えています。

title:『現代語訳 学問のすすめ』

author:福沢諭吉 著 齋藤孝 訳

data:筑摩書房 820円+税/251ページ

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江口 久(えぐち・ひさし)◎1957年生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。80年鹿島建設に入社。89年に同社を退社後、恵久ホーム(現イーグランド)を設立。2013年、東京証券取引所JASDAQスタンダード上場。15年、東京証券取引所市場第二部へ市場変更した。

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