平昌オリンピック 韓国人から小平奈緒が注目される理由

平昌オリンピック 韓国人から小平奈緒が注目される理由

  • 文春オンライン
  • 更新日:2018/02/18

「おっ、コダイラ、コダイラ」

2月14日夜に行われたスピードスケート女子1000m。小平奈緒選手が登場すると、店内はしんと静まりかえった。

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平昌オリンピックのスピードスケート女子1000mで銀メダルに輝いた小平奈緒選手 ©雑誌協会代表

「知らないわけがないですよ」

ソウル市内にあるプデチゲ屋には、15日から始まる旧正月の4連休を前に家族連れが5組ほどいた。プデチゲは、チゲ(辛い鍋料理)の一種で、“部隊の鍋”を意味する。米軍基地が放出したソーセージを肉や野菜、豆腐などと辛いスープで煮たのが始まりといわれる韓国で人気の鍋だ。

角の壁にかけられた大型テレビでは、スピードスケート女子1000mのレースが映し出されていた。

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銅メダルの高木選手(左)と小平選手 ©雑誌協会代表

小平選手の前に高木美帆選手が登場した時にも、「速いなあ」という感嘆するような声が漏れたが、小平選手が登場すると、それぞれのテーブルからは話し声がぴたりと消えて、それぞれの視線は食い入るように画面に注がれた。

「おーっ、はやっ、速いなあ~」

競技が終わると、こんな声が口々に漏れてきた。

近くに座っていた夫婦に、小平選手を知っているのかと聞くと、

「知らないわけがないですよ。李相花のライバルでしょう。それにしても、速いなあ。李相花もがんばらないと……」

50代後半という夫婦は、平昌オリンピックで唯一関心があるのがスピードスケートの李相花選手だと話していた。

韓国の李相花選手は、スピードスケート女子500mで「36秒36」(2013年)という世界記録を保持している。

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ソチ五輪の女子500mで優勝した李相花選手 ©雑誌協会代表

この日、小平選手が銀メダルに輝いた女子1000mを李選手は棄権していた。18日に行われる500mで、バンクーバー、ソチに続く「五輪3連覇」に賭けるためだ。

李選手は1989年生まれで、1986年生まれの小平選手よりも3歳若いが、先に注目を浴びたのは李選手だった。李選手は、中学校時代から頭角を現わし、2010年のバンクーバー冬季オリンピック、スピードスケート女子500mで金メダルを獲得。韓国だけでなく、世界的にも一躍スター選手となった。

韓国では抜群のスタイルと切れ長の目の「オルチャン」(美人)といわれ、CMをはじめ、雑誌のカバー写真にも登場している。2014年には、すわ結婚相手かと囁かれた元アイスホッケー選手で軍人の存在が話題になったが、今のところシングルだ。

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オリンピックの個人種目では初のメダルを獲得した ©雑誌協会代表

レース棄権直前、母親に「会いたい」

韓国ではスピードスケートの女王の座をめぐり、大会前から「李相花は上昇曲線、小平は決戦地入城 氷速女帝争奪の幕が上がった」(スポーツ朝鮮2月5日)などと騒がれた。

李相花選手は、「氷速女帝」などと韓国で呼ばれ、その見事な太ももは「クム(金)ボクチ(太もも)」や「クル(蜜)ボクチ」といわれる。小平は、スケーティングの姿勢から「怒った猫」や「恥ずかしがり屋の奈緒ちゃん」と韓国で紹介されている。

ワールドカップの女子500mでは小平選手が昨季から負けなしの15連勝を飾っており、シーズン最高記録も小平選手が「36秒75」で、李選手の「37秒48」を大きく引き離した。

李選手は慢性的な膝の痛みに、ふくらはぎの痛みも加わり、昨年春にはふくらはぎの手術を受けている。そして、その間破竹の勢いで実績を積み重ねてきたのが小平選手だった。

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韓国では、そのルックスにも注目が集まる ©雑誌協会代表

14日の1000mを棄権する2日前、李選手は母親に「会いたい」と電話をかけたという。ソウルに住む李選手の母親は予定を繰り上げて選手村にいる娘に会いに行ったと伝えられたが、1000mを棄権するかどうか、苦渋していた姿が浮かび上がる。

日韓最大のライバル決戦は18日。スピードスケート500mは競技1回で勝負が決まる。

プデチゲ屋にいた夫婦は、

「李選手が頑張って勝つとは思うけど、小平がこれだけ速いなら負けても清々しいよ」

そう笑っていた。

(菅野 朋子)

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