実は日本が学ぶべき点の多いドゥテルテ氏の言動 国連の僕ではなく、活用して国家の威厳を高めよ

実は日本が学ぶべき点の多いドゥテルテ氏の言動 国連の僕ではなく、活用して国家の威厳を高めよ

  • JBpress
  • 更新日:2016/10/20
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フィリピンの首都マニラで演説するロドリゴ・ドゥテルテ大統領(2016年10月4日撮影)〔 AFPBB News 〕

「治安の改善」を選挙公約の1つに掲げて当選したロドリゴ・ドゥテルテ氏のフィリピン大統領就任は、超法規的殺人を問題視する米欧、国連、人権団体から批判を浴びることになった。

そうした中で、米国のバラク・オバマ大統領を名指しで愚弄し悪態をついたこともあり、首脳会談が流れ、米比関係が著しく悪化している。南シナ海などで航行の自由を掲げて米国と共同歩調をとってきた日本としても他人事では済まされない。

ドゥテルテ氏はミンダナオ島のダバオ市長として麻薬と犯罪撲滅に尽力し、22年間在任した。そうした手腕が高く国民に評価され、国家の再生を担って6月末に大統領に就任した。

「ドゥテルテの超法規的な犯罪取り締まり政策は、法律的に間違っているかもしれないが、人々に支持され『民主的』であり、政治的には正しい」(「田中宇の国際ニュース」2016年10月5日)

国際社会はフィリピンの人権無視のみを強調するが、治安維持は国家の存続に関わることであり、二者択一といったように簡単ではない。特に開発途上国などでは、人権よりも治安が優先されることもしばしばである。

国連は人権を天下の宝刀のように振りかざし、慰安婦問題や南京事件などでは日本政府の意見を聞くこともなく、反日的立場の「人権無視」という提言のみを取り上げて糾弾するが、不公平さだけが目立つ。

国家主権を問いかける大統領

ドゥテルテ氏が市長であったときはほとんど国際問題化することもなかったが、大統領となって以降は「人権」問題が正面に押し出され、批判の対象になってきた。

特にオバマ大統領が表立って批判してきたが、ドゥテルテ大統領は、米国が比国を占領していた時には人権無視も甚だしく、虐殺をやってきたではないかと反論する。

欧州列強の植民地経営時代は、植民地の人権が蔑ろにされたわけで、先進国の勝手な、今日的基準ばかりでの人権批判は通用しないということでもあろう。今日でも人権軽視の常任理事国がある。

フィリピンでは麻薬犯罪が横行し、また麻薬を資金源とした反政府系組織による暴動も起き、国を建て直そうにも、生ぬるい手法では上手くいかなかった。

ドゥテルテ氏はダバオ市長時代に麻薬撲滅と真剣に向き合ったから、住民から信頼され長く市長を続けられたという自負がある。そして、その麻薬撲滅の手法も超法規的ではあるが、国内では信任されて大統領にも選ばれたのだ。

フィリピンをかつて統治し、今日も治安等で一部関わっている米国であるならば、もっとフィリピンの実情を理解してもいいのではないかという思いもドゥテルテ大統領にはあるのであろう。

だからこそ、理解しようとせず、表向きの人権尊重のみを主張することに対し苛立ちも覚え、過激にもなっているのであろう。

もう1つは、米国一極から多極化への対応という視点もあるようだ。従来は米国が超大国として君臨し、一極構造と言われてきた。米国は世界の警察官そのものであり、米国に依存しておれば安全は保障されたが、一方ではフィリピンの主権が侵害されても我慢せざるを得なかった。

しかし、今日では相対的に米国の力が落ち、米国に頼りっきりでは必ずしも安全とは言えない状況になりつつある。そこで、侵害されてきた主権の奪還を目指すには、中国(やロシア)に近寄るぞと見せかける必要もある。米中(露)を天秤にかけた、一種の高等戦術ではないかという見方もできよう。

ただ、国際裁判所の仲裁裁定を「紙屑」と言って無視し、覇権の拡大に我武者羅な中国である。そうした点からは、中国への接近で主権が保障されるか大いに疑問である。

むしろ、米国以上に主権が侵害され、ついには自治区として取り込まれる危険性すらある。ベトナムがことあるごとに中国に抵抗するのは、そうした歴史が刻印されているからである。

現大統領の後ろ盾とも言うべき存在であるフィデル・ラモス元大統領は、米国の軍学校を卒業し、安全保障上は米国との関係を重視したこともあり、オバマ大統領への暴言などを嗜め、苦言を呈したようだ。

そうしたことから、軌道修正があるかどうか注目されるところである。

日本が学ぶべき点もある

主権と人権の観点から、日本はドゥテルテ大統領に学ぶべき点がある。ただし、相手は米国ではなく国連である。従来、日本は国連に対して幻想を抱き、国連神話とも言うべき意識を持っていた。

しかし、外相時代から反日言動をしていた藩基文が国連総長となってからは、中立・公平でない言動が目立った。また、ユネスコ(国連教育科学文化機関)などまでが韓国や中国の反日的なロビー活動に影響され、弊害をもたらすようになってきた。

象徴的で目に見える形をとったのが、昨年9月、中国が「抗日戦争勝利70年記念行事」と銘打って行った反日宣伝の式典に、日米欧の首脳らが欠席する中、あえて参加し、天安門前広場の軍事パレードにも立ち会ったことである。

国連加盟は安保理の専決事項であるにもかからず、2007年に台湾が加盟申請した時は事務総長が「支那は1つ」と申請を却下した。2014年に香港で2か月にわたった民主化運動の大規模デモが続いた時は、「(中国の)内政問題」と片づけた。このように、越権行為と中国政府におもねる姿勢が目立った。

藩事務総長は次期韓国大統領の有力候補とも言われ、そのことを意識してか韓国向けの姿勢も顕著である。国連総会開催時の朴槿恵大統領の優遇や、国連への韓国人重用(約30%も増大)は縁故主義として顰蹙を買った。

前ソウル支局長の名誉棄損裁判では海外の人権団体やメディアが韓国の司法システムを批判し、国連本部でも疑問の声が上がったが「無言」を通した。

一方で、韓国人元慰安婦を国連に招き「被害者の声に耳を傾けることが重要」と発言するなど、ことごとく韓国よりの言動に終始した。

また、(女性の)人権に関しては、国連特別報告者が揃って反日的報告をまとめて、日本を糾弾する状況が続いてきた。

内容が正しければ致しかたないし、反論のしようもない。ところが、日本語も分からない人物が、長くて1週間程度の滞在調査で、「日本の人権状況はこうだ」と言い募る。日本を犯罪国家にしたい、自虐史観に染め抜かれた日本人シンパからもらった資料を鵜呑みにするのはあまりにも軽率であり、無責任である。

調査と言うからには、逆の立場の者からも聴取して、資料の確かさを確認するのが筋というものだ。(出鱈目な)資料で造り上げた、日本批判の文章を日本の然るべき省庁などに見せて確認することもなく、いかにも承認された公式文書であるかのように弄んで平然としている。

国連の横暴は主権の侵害

河野談話は確かに日本の外務大臣が発出した文書である。日本の迂闊、外務大臣の失態以外の何物でもないことを認めるのに吝かではない。それを認めたうえで、韓国が牽強付会の解釈をしており、日本国家や軍人を貶める材料として使っている。

韓国どころか、反日的朝日新聞などは進んで拡大解釈して韓国に迎合してきた。日本政府をはじめ、多くの国民は韓国流の解釈に不満の声を上げてきた。しかし、異議申し立てを忖度しない横暴さだけが国連人権委などには顕著であった。

反対者の意見にも耳を傾けるのが現地調査であろう。しかし、最初から日本を犯罪国家に仕立てる意識で来日しているとしか思えないため、調査した振りをして、頑なに日本政府の言い分には耳を傾けようとしない。慰安婦の性奴隷化はこうした状況下で造り上げられた。

「人権擁護」には目もくれないが、「人権無視」と言えば、具体的に事象を精査することもなく「そこのけそこのけ、お馬が通る」式に、登録する杜撰さである。

また、日本では女性の社会進出が少ないとして、いかにも女性蔑視であり差別であるかのような報告書を書き勧告してくる。ざっくり言って「日本において、女性に対する差別はほとんどない」(杉田水脈氏)し、「日本はもう(差別で)勧告を受ける必要はない」(山本優美子氏)(いずれも「国連女子差別撤廃委員会レポート」『WiLL』2015.10号所収)というのが実情である。

その最たるものが、男系継承は女性差別で、女系継承も可能とする皇室典範に改正すべきだと勧告しようとしたと報じられたことである。幸い政府の抗議で削除されたが、日本の歴史を理解せずに、平然と内政干渉に等しい言辞を弄する。厚顔無礼とはこのようなことを言うのではないだろうか。

日本は国連分担金もユネスコへの分担・拠出金も滞納したことがない。ただ昨年、中国が行った「南京大虐殺」の記憶遺産登録に対して、不快感表明と登録手続きの透明性を要求して今年の支払いは留保している。

政府の反対を押し切って不十分な資料で一方的に登録し、あるいは皇位継承などについて越権的な勧告を行うような組織に対しては、国際社会では分担金留保のように目に見える然るべき対処も必要であろう。

そもそも、日本ほど差別をしないで、人権や人道を重視している国はないと思えるが、国連の人権委員会や女子差別撤廃委員会などはそうは見ない。

日本のNGOなどの「告げ口」で、ありもしない差別を作り出している感じもあるが、委員会はもう少し意見聴取の仕方などを工夫して、実情を反映させるようにする必要がある。

日本は「人権」「人道」の先導国

日清戦争、日露戦争を勝ち抜いた日本は5大国の一国となった。国際連盟創設に当たっては、規約に「人種平等」案を提案する。当時の議決は多数決が原則であり、賛意を示す国が多かったので日本の提案は議決されると見られた。

ところが、米国は黒人を奴隷のように酷使していたし、人種平等となれば黒人の解放が必要になり、米国社会の生活スタイルを全く変更する必要に迫られ、社会的混乱も予測された。そこで、当時の議長であったウッドロー・ウイルソン大統領は、特に重要な案件については全会一致が必要であると主張して日本の提案を葬った。

日本の人権重視、人種平等には歴史がある。明治国家ができて間もなく、ペルー船のマリア・ルス号が修理のため横浜港に寄港した。その時、積荷の苦力(クーリー)1人が逃げ出し、英国艦に助けを求めた。英国は奴隷運搬船と判断し、彼を日本政府に引き渡し清国人救助を要請する。

時の外務卿は副島種臣である。明治天皇の名代で訪清したとき、三拝九拝の跪坐礼式にこだわる中国の官衙によって、英国使節などの拝謁が半年間も叶わずにいた。副島は中国古典を引用して官衙を説得、最初に拝謁の栄誉に浴する。外国使節は大いに感謝し、中国は帰国時に礼砲で送り出している。

日本とペルー間には条約が締結されていなかったので、日本政府内では国際関係上不利との意見もあったが、副島は人道主義と日本の主権独立を主張し、神奈川県権令にペルー船の船長を拘留させ、苦力231人を解放させる。

苦力は米国のラッセル商会の商品で、ペルーを通して日本政府に賠償請求訴訟を起こす。そこで、ロシア皇帝アレクサンドル2世を裁判長とする国際仲裁裁判が開かれることになる。米国は苦力を奴隷ではなく契約労働者と主張するが、日本は榎本武揚を送り込んで苦力貿易の非道を批判する。

デラノ(フランクリン・ルーズベルトの義父)が仕切るラッセル商会はアヘンと奴隷貿易で稼いでいる悪徳商会であることを知っていたロシア皇帝は、「日本側の措置は一般国際法にも条約にも違反せず妥当なものである」との判決を出し、ペルー側の訴えを退け、日本の勝ちを認める。

日清戦争で日本が勝利したことで、満州族の漢民族支配にとどめを刺し、ラスト・エンペラーの愛新覚羅溥儀は清朝を追われ、満州に帰り満州国皇帝となる。

ところがその後のリットン調査団は、「旧植民地の支那に宗主国・清の版図の継承権を認め、さらには宗主国の領土満州も支那のものだと公式に認めた」。

これは「英国の植民地インドが独立して『人口の多さでインドこそ大英帝国の正統な後継者だ。宗主国英国もマレーもビルマも俺のものだ』というのと同じこと」(高山正之著『オバマ大統領は黒人か』)である。

この延長線上に、清の版図に入っていたチベット、ウイグル、モンゴルを中国は、「歴史的に我が固有の領土」として取り込んだ。その不条理が人権抑圧となり、今日のテロや暴動につながっている。

ルーズベルト米大統領とチャーチル英首相の「大西洋憲章」は、ドイツに主権を奪われた東欧白人国家の解放を謳ったが、アジア・アフリカの植民地解放には適用しないとした。それに対して「大東亜共同宣言」は、「米英の桎梏より解放して、自存自衛を全うする」とした。

目的を達する前に日本は敗戦したが、米英仏蘭などがもっていた植民地は解放された。これこそは自国を犠牲にして日本が成し遂げた偉業であり、人種平等、人道主義の率先・体現であった。

おわりに

国連常任理事国の中国がチベットやウイグルなどで行っている人権弾圧は、フィリピンに勝るとも劣らないであろう。ただ、中国はすべて内政問題として、また報道統制も厳しく外国の監視が届かないため、表面化することが少ない。

西アフリカのナイジェリアに拠点を置くボコハラムに拉致された多数の女性たちはいまだに行方不明である。

日本政府の異議申し立てにも関わらず、国連の特別報告者たちは中韓のロビー活動に動かされているのであろうが、80年余も前の第2次世界大戦前の日本の事象に焦点を当てたがる。

しかし、現在進行形の中国やボコハラムの問題、さらには韓国内における韓国軍や米軍慰安婦問題などには頬かむりである。また、近年明らかになってきたベトナム戦争時の韓国軍の慰安所経営などにこそ焦点を当てるべきであろう。しかし、国連が積極的に動いているという情報は聞こえてこない。

なお、相模原の障害者施設で起きた事件は、人命軽視の殺傷事件であることは確かだ。ただ、当人が衆院議長や首相あての手紙などを認めた行動からは、少子高齢化時代における人権と国家の存続という、重い問題意識を提示している。

現在は立件のための捜査や犯罪防止に重点が置かれて検討されており、また識者たちは多くを語ろうとしないが、少子高齢化時代に生産性を低下させないでいかに共生社会を築いていくかという視点から、日本の将来を危惧した相克のようにも思えるが、いかがであろうか。

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